抽出について―ドリップの心得

大草原でコーヒーをたてる・・・・ コーヒーの抽出を練習しているとだんだん細かいことにこだわるようになっちゃうんです。 つまり、お湯を細く注ごうとかお湯できれいに円を描こうだとか思っちゃうんです。 すべて大切な技術なんですが、最終的にはコーヒーがうまければいいんです。 ある程度技術ができてきた人には、大草原でコーヒーをたててるようにイメージしてもらいます。 そうすることで細かいことにこだわらずにコーヒーをたてることができます。 それと、必ず左手を腰に手をあてて胸をはってもらいます。 これは、腰に手をあてることにより重心が安定するし、 胸をはることによりコーヒーと目の距離が遠くなります。 コーヒーは全体を見ながら抽出するものなのです。 一点を見ながら抽出するとコーヒー豆の状態がわからなくなってしまうのです。 ちなみに、人間の目は真剣にじっと見るときは望遠レンズのように視野が狭くなり、ほげーっと しているときは、広角レンズのように視野が広くなります。コーヒーは、ほげーっとした状態での抽出が ベストです。
ほげーっとした状態・・・・なーんも考えていない無心の状態

大草原でコーヒーをたてているつもりになること・2020年8月6日

抽出について-豆の種類とたて方

ふかいりのコーヒーをたてる・・・・ コーヒーとしてはアイスコーヒーやカフェオレなどに使うコーヒーをイメージしてください。 このコーヒーの特長は、成分が溶けやすいこととコーヒー豆が持っている炭酸ガスの量が 通常の2倍あるということです。
(通常のコーヒーが200gあたり500ccの炭酸ガスを持っているのに 対してふかいりのコーヒーは、200gあたり1000cc持っている)
つまり、蒸らしの時間を長く取らないと完全にガスが抜けきれないのです。
(通常3分の蒸らしのところを5分ぐらいすると良い)
ふかいりのコーヒーのもっているうまみと甘味を引き出すには、低温で抽出します。 これは、うまみ、甘味は低温でも溶けるのに対してふかいりの豆に一番多い苦味は 高温で溶ける傾向があるからです。つまり、高温で抽出すると苦味が強くでて うまみと甘味が判りにくくなってしまうのです。
そこで、うまみや甘味を強調するのに 苦味がたくさん溶けないように低温で抽出するわけです。

苦味系のコーヒーをたてる・・・・ コーヒーとしては、マンデリンをイメージするとわかりやすいと思います。 苦味の強いコーヒーは、酸味系のコーヒーよりも渋みがでにくい傾向にあります。 そして、少しぐらい渋みがはいっても苦味が味として強いのであまり、気になりません。 その少しの渋みとミルクが混ざるとコーヒーのコクが増します。
つまり、抽出のときに普段よりも長めに抽出してもいいのです。 そうしたほうが、苦味系のコーヒーが、そのコーヒーらしくなるような気がします。
(この苦味系のコーヒーは、豆が持っている苦味のことでふかいりの苦味ではありません。)

酸味系のコーヒーをたてる・・・・ キリマンジャロのような酸味系の豆をイメージしていただくとわかりやすいと思います。 酸味の強いコーヒーは、渋みを必ずといっていいほど持っています。 となると、この渋みをださないように抽出すればいいわけです。
つまり、酸味系のコーヒーは、普通のコーヒーよりも渋みを多く持っていて、 普通のコーヒーを抽出するときよりも早めに渋み、いやみがでてくるというわけです。
そのぶん、普通のコーヒーよりも早めに抽出をきりあげてお湯で薄めればいいわけです。

モカをたてる・・・・ モカの特長といえば、あの独特の強い香りとコーヒーの甘さだと思います。 (ふかいりのコーヒーの甘さではなくコーヒー豆が持っている甘さ)
欠点は、死豆が混入していたり、発酵豆が混ざっていたりしたときかびくささでしょう。 (焙煎でモカの持っているかび臭さをある程度消すことができますが・・・・)
いれ方のポイントとしては、蒸らしをしたあと、抽出の時できるだけ早くひたひたの 状態にします。お湯の太さを太くするのではなく細く少しスピーディーに円を描くのです。
そして、ひたひたになったらその状態を維持するようにお湯をさします。もし、お湯が よく通るように感じたら、ほんの少しだけコーヒーを細かくひきます。 こうすると、非常に高い濃度のコーヒー液ができることになりかび臭さが溶けにくくなります。 そして、普通より少し早めにきりあげます。(人数分より手前)

抽出について-挽いたときの香りをカップの中にいれる

香りを残す方法・・・・ これは、相当技術がいります。松屋式の抽出をひととおりマスターしていなければなりません。
ミルで挽いた瞬間の一番いい香りをコーヒーカップの中まで残す方法なのです。
普通にコーヒーを抽出するとコーヒーを挽いた瞬間の香りとコーヒーを抽出してカップに入ったコーヒーの 香りは少し違います。これは、揮発性の高い香りは抽出したコーヒーまで残らず、 抽出時に飛んでしまうのです。
そこで、この揮発性の高い一番いい香り(挽いた瞬間の香り)の残し方を教えちゃいます。 はっきりいって科学的ではありません。たぶんいつかは科学的説明がつくと思いますが、今のところ 方法だけしかわかりません。
蒸らしは、普通におこないます。
抽出は、30cm以上高い位置からお湯を非常に細く注ぎます。
そのときに、お湯とコーヒーの粉が垂直になるように注ぎます。

たったこれだけなんですが、はっきりいってむずかしいです。
ひまなときにでもチャレンジしてみてください。 そうすると、ミルで挽いたときの香りと同じ香りがコーヒーカップの中まで残すことができます。

焙煎について-イメージによる焙煎

* ここでかかれていることは、ぼくの焙煎に対する勝手な見解です。
他のコーヒー屋さんは、他の考え方でコーヒーを焙煎していると思います。
どちらが正しいかは、ぼくも良くわかりません。
読んだ方が勝手に判断してください。


焙煎の基本
・焙煎は熱によって起こる化学変化である。
・生豆の成分を煎り豆の成分に変化させるには、
一定のプロセスを与えるために一定の時間が必要である
・焙煎の時間を決めるのは、火力と豆の投入温度である。
・コーヒー豆は、水分が抜けなければ煎れない。
・排気を開けすぎると、成分が抜けたスカスカのコーヒーになる。
・排気を絞りすぎると、コーヒー豆が煙をかぶってしまう。
・豆のはぜに必要なのは、熱エネルギーである。
・排気を開けると、火力が相対的に落ちる。
・ドラム内の湿度が高い方が、豆に熱が伝わりやすく豆の成分が飛びにくい。
・外気温が低ければ、排気力は強くなる。
・鋳物の焙煎機は、熱しにくく冷めにくい。

上に書いたのが焙煎における基本的なルールです。
たとえば、火力が高ければ短時間でコーヒー豆を焼くことができます。しかし、コーヒー豆の成分は できません。だから、高速の焙煎機は嫌いです。(使っている焙煎屋さん。ごめんなさい)
電気の焙煎機は、熱量が足りないため排気を高くできません。(温度が下がるから)
排気でコーヒーの味を作るんだから、排気の調整か自分の思い通りにできない焙煎機もだめです。
熱風式の焙煎機は、排気が強くなってコーヒーの成分を残しにくいからちょっとだめです。
てなわけで、焙煎機は昔からあるようなガスの直火式の焙煎機が好きです。 特に、富士ローヤルの機械は大好きです。排気のファンも排気効率ではなくモーターのパワーで排気したり いろいろな部品が非常に改造に適している部分が大好きです。未完成な焙煎機を改造して完成に近づける のが結構楽しいのです。

火力がコーヒーをつくり排気が味をつくる・・・・
ここからが本題です。焙煎のプロセスのイメージです。
コーヒー豆は、排気を絞って焙煎するとドラムの中はサウナのように湿度が上がります。 そして、コーヒーは気持ちよくゆっくりと汗を流します。 一汗かいた後、窓を開けて乾燥させます。 元気よく豆がはぜ始めたら、ついでにたきつけてやります。 豆が煙でむせない程度に排気を開いてやります。

つまり、焙煎とは、コーヒー豆が嫌がらないような操作をして気持ちよく 生豆から煎り豆に脱皮させてあげるお手伝いをすることなんです。

抽出について-たっぷりの愛情をそそいでください

コーヒーを薄めるということ・・・・ 松屋式のドリップでは、人数分の半分まで抽出したら後は、お湯で薄めてしまいます。 この行為にちょっと罪悪感を感じる人は、このように思ってください。 コーヒーのエキスにたっぷりの愛情を注いで始めてコーヒーが出来上がるのです。 つまり、コーヒーを薄めるのではなくコーヒーに愛情を加えるのです。
だから、コーヒーが薄くなるのではなく愛情が濃くなるのです。
ひさしぶりにぼくらしい、いんちきくさい説明をしてしまいました。

(けっこう気に入っていたりして・・・・)

焙煎について-コーヒーとかえる

刺激のない焙煎について・・・・ こんな話があります。水の中にかえるをいれてゆっくりと水を温めていくとかえるは ゆだって死んでしまうと・・・・・
(実際にぼくは実験してません。かわいそーーで)
かえるをほんのちょっとおどしてやればびっくりして逃げ出せるでしょう。

コーヒー豆のはぜというのは、コーヒー豆が生豆の成分から いり豆の成分に変わらなくっちゃと、 がんばっている状態だと思うんです。
ただただゆっくりとコーヒー豆の温度を上げていくと豆がはぜません。
これは、かえるがゆだって死んでしまうのと同じように 豆ががんばって変化しようとしていないような気がします。
かえると同様にコーヒー豆も少しは、びっくりさせていり豆の成分に変わるように 手助けしてあげなくっちあいけないように思います。
そうすることによって、コーヒー豆は劇的な変化をとげるような気がしてならないのです。
その劇的な変化の引き金は、ほんの少しの刺激で十分なのです。
変化する潜在能力はコーヒー豆のなかにたっぷりと含まれていてそれを引き出すためだけ なのですから・・・・・・
結局、焙煎とはコーヒーの持っている潜在能力をいかに引き出すかということになるようです。たぶん。

刺激を変化させることができる高さ可変バーナー

焙煎について-焙煎機の平衡状態

そのとき火力をあげるべきか・・・・否か コーヒーの焙煎をおこなっている人でないと全く興味のわかないことを書きます。
焙煎機は、豆の温度をはかるセンサーがついていて、豆の投入温度もこのセンサーを 使います。ただし、このセンサーは、釜全体の温度をはかっているわけではないのです。 ちょうど、熱風の通り道にこのセンサーはありますから、熱風の温度を測定しているのです。 (当然、釜に熱が奪われるわけですから、少しは釜温度も反映している)
豆を投入した釜は、当然豆のが温度が低いですから、釜から輻射熱が豆にいきます。 つまり、ガスバーナーの火のエネルギーと釜の持っているエネルギー(輻射熱)を 加えたエネルギーが豆に加わるわけです。 その後、豆の温度があがってくると釜の温度よりも高くなります。 そうすると、もう釜からエネルギーは、もらえなくなります。 (熱は、高い側から低い側へ流れる)
つまり、今までと同じだけエネルギーを豆に与えたければ、釜の温度よりも豆の温度が あがったぐらいの時期に火力をあげてやらなければならないということなんです。
当然、気温なんかによって釜の冷え具合が違いますから、投入温度を一定でやる事には 危険があります。2回目以降の焙煎であっても焙煎後何分たっている釜かによって 大きく変化してしまいます。
釜自体をはかるセンサーがあれば、釜自体の冷え具合もチェックできるし 豆と釜の熱に関する平衡状態がわかって非常に役立ちます。

釜本体温度を測定しているセンサーと排気ダンパーに取り付けてあるルーペ

シルバースキンを取り除くコーヒーミル

このミルは、静電気除去装置付きのコーヒーミルでシルバースキンを取り除くように改造してあります。豆をひいた粉が滑り台を滑っていき掃除機が吸い上げる風で軽いシルバースキンや微粉などを分離しています。

吸い込む量は掃除機の回転数を下げることと正面の空気穴の開閉で調整しています。

豆をいれるとホッパーにあるリミットスイッチが入りスタートボタンを押すと掃除機が動き

掃除機の回転数が安定したころにコーヒーミルの電源が入って豆を挽きます。

豆がなくなってリミットスイッチが切れてから10秒後に電源が落ちるようになっています。

連続で豆を入れた場合は再度ミルが動くようになっています。

大量の豆をひいたときに刃の温度をチェックするための温度計

5キロとか10キロの豆を連続で挽いたりするとけっこう刃が熱くなります。そんな時は掃除機を使って歯の隙間に空気を流して強制的に冷却させます。この機能は大量に珈琲豆をひかねばならないときには役立ちます。

ミルのスイッチ左から自動・手動・掃除用

コーヒーミルを制御している回路

この回路でコーヒーミルと掃除機を制御しています。

掃除機が入るタイミングやミルが動くタイミンクなどなど細かな部分この回路がすべて受け持っています。

珈琲ミル・ブログ用
シルバースキンが吸われる様子
豆をひいたときに掃除機の吸引によりシルバースキンが上に吸い上げられている
ミルの掃除とミルの冷却・ブログ用
静電気で粉がパイプについていたものが掃除機の強力な吸引力で綺麗になる。
もっと長時間吸引をするとミルの刃の隙間を空気が流れて短時間でミルの刃を冷やすことが可能になる。
掃除機の中・取り除かれたシルバースキンや微粉

掃除機のすごさ

珈琲を2キロぐらいひくとけっこう静電気でミルの出口が詰まってきます。中煎りならば結構スムーズに流れる流れるんですがアイスコーヒーのように軽い豆だと詰まって大変な目にあいます。
詰まった状態で無理してひくと粉が出ないわけですからモーターに負荷がかかって止まってしまったりします。その前に基本掃除するべきなんですがどのぐらいに粉が詰まるかを写真に撮ってみました。

真ん中の金属のパイプ部分が吹き出し口
こうなるとひくスピードもやたら遅くなります。
橙色のスイッチを押すと掃除機が全開で動いてミルの中のにたまっていた微粉などをきれいに吸ってくれる。

橙色のスイッチの価値

橙色のスイッチはきれいに微粉などを取り除くのには非常に価値があります。
それよりも大量に豆をひいたため歯が熱を持った時にこの強い吸引力で歯の部分風を送ってやり、すぐに冷やすことができます。

焙煎について-炎の不思議

カロリーと温度・・・・ ガスを燃やしたときの熱量は、どれだけのガスを燃やしたかで決まります。 (あたりまえですが・・・・・)
この熱量が、コーヒー豆の焙煎という作業の中で豆の温度を上げることに使われます。 (すんげーーー、あたりまえ)
熱風式焙煎機とは、ガスを燃やした時の熱風使って焙煎する方法です。
ガスを燃やしたときの炎の温度は1000度以上になります。
しかし、すぐに他の空気と混ざったりして高温の空気が大量にできるだけになります。
つまり、ガスをどれだけ燃やしたかによって熱量は決まりますから 炎が近くでも遠くでも熱量は変わらないことになります。 (ロスはこっちにおいといて)
となると、炎は少量で高温の熱風と考える事ができます。
直火式焙煎機で、炎とドラムを離すということは 直火式焙煎機から離れて熱風式焙煎機になるということです。
つまり、直火式焙煎機というものはガスを燃やしたときの熱量のみを 使う焙煎ではなく炎の温度をも使う焙煎法なのだということになります。 つまり、炎の不思議がつまった焙煎法なのです。
(ちょっと、直火式焙煎を誉めすぎかなぁ・・・・)

夏空の誘惑、試飲のテイクアウト開始!!

フレーバーコーヒー店頭では、ご希望のお客様にテイクアウト用の試飲珈琲をお渡ししています。

夏になると、ホットとアイスの両方をご用意しています。

アイス用の珈琲は、「ゆかた美人」のみだったのですが、本日より新発売の「夏空の誘惑」も試飲でご用意しています。

一度、テイクアウトでお試しください。甘くて美味しいですよ~!

ゆかた美人とは違う甘さ。この違いが分かる貴方は、もう「珈琲通」