電動ミルク缶焙煎機の改造

改造前のミルク缶焙煎機

ホームページの売れてほしくない通信販売に電動ミルク缶焙煎機を 載せていました。(はっきりいってしゃれのつもりで・・・・)
それをほしいという人が現れちゃいました。 最初は冗談かと思ったんですが、いゃあ物好きはいるもんですねぇ。 けっこう真剣に買いたいそうなんです。 てなわけで、10年前に作った焙煎機の改造をすることになっちゃったんです。

(写真・10年前に作った焙煎機)

せっかくだから改造しよう

せっかく買ってもらうんだから、どこのメーカーがだしている 家庭用の焙煎機よりも性能のいいものにしようと思いました。
今回の改良点
・煎っ太郎と同じ温度計付スプーンを使う
・排気を強制排気にしてデーターをとりやすくする
・チャフが飛ばないようにチャフとり機構をつける
・排気温もはかれるようにする
・タイマーもつける
(写真・改造型ミルク缶焙煎機)

とりあえず完成

結局、1週間ほどでとりあえず完成しました。 ほとんとどできちゃったので、依頼主の「U」さんにメールで できましたよと連絡しました。
これで、神奈川県の「U」さん宅に送っちゃえばOKです。
「日曜日にとりに行きます」と「U」さんからメールが届きました。 これには、びっくりしました。なんと言っても神奈川県から愛知県のうちの店まで 4時間はかかります。それをとりにくるとは、こりゃまたどんな人だろうと みんなで話していました。
(医者という職業がへんなのかコーヒー好きという趣味がへんなのか・・・・)
(写真・排気カバーを開けた焙煎機)

本格的な試運転

日曜日にとりにくることが決まって金曜日にいい豆を使って試運転をしました。 くず豆では、けっこうきれいに焙煎できていたのでいい豆も問題ないはずでした。 ところが、焙煎してみたら見事にまずい。見た目はきれいなんですが、コーヒーを いれてみると見事にまずい。排気が思ったよりも抜けていない。 (焙煎機能付のコーヒーメーカーや電気の小型焙煎機よりはましですけど・・・)
てなわけで、残りの2日間で大改造をする羽目になりました。 だけど、この大改造で焙煎機のコツをつかめたのは収穫でした。
それと、コーヒーの抽出には絶対の自信がありましたから 焙煎したコーヒー豆を抽出することにより焙煎機の問題点がよくわかりました。
たぶん、小型の焙煎機の性能が悪いのは、製造メーカーにコーヒーを正確に抽出する人がいないため 自分たちが作った焙煎機がおいしくコーヒーを焙煎できているかわからないためだと思いました。
(写真・焙煎機の駆動部分)

引渡し当日

引渡し当日の日曜日 ぼくは、駐車場に車をとめて朝市の横を通り抜けてお店のほうへ行こうとしました。 その朝市の人ごみの中に、不審な人物を発見しました。どうみても朝市と不釣合いな人物です。 もしかしたら、「U」さんではないかと思いましだが、さすがに声まではかけれませんでした。 店の準備をしていると先ほどの不審人物がやってきました。
やっぱりと思いました。予想通り「U」さんでした。 なんと、8時半には西尾についちゃって朝市で時間をつぶしていたそうなんです。
それから、焙煎の仕方やコーヒーのいれかたなどコーヒーの話題で盛り上がって 6時ごろ焙煎機をもって神奈川県へと帰っていきました。
コーヒー好きがへんなのか医者という職業がへんなのか、考えさせられた一日でした。 (たぶん、コーヒー好きのほうだと思いますが・・・)
それにしても、今回の仕事は勉強になったし、楽しかったし、喜んでもらえたし、 本当によかったです。
ちなみに、「U」さんからメールで焙煎機の名前をつけたと連絡がありました。
命名 「煎り子」だそうです。
(写真・焙煎機のドラム部分)

煎り子その後

煎り子を買った「U」さんが仕事で名古屋に来たついでにうちの店に寄ってくれました。 (寄ったといっても名古屋から電車で1時間はかかります)
今まで煎り子で焙煎したデーターを見せてくれました。 その中でカセットコンロではどーーしても火力が安定しないので 、プロパンガスのこんろで焙煎をしたいと考えていると教えてくれました。 だったらつくっちゃいましょうと、話がまとまりバルプやコンロを買いに走りました。 そして、1時間ぐらいかけて煎り子用のガスコンロ(ガス圧計付)を作りました。 ちなみに、「U」さんは、ガスコンロを肩から掛けて元気に新幹線で帰っていきました。 (はっきりいってその姿は、めちゃくちゃあぶない人に見えました。)
「U」さんから、メールが届きました。

実はあの日の帰りは結構大変でした。 けっこういろいろな人からじろじろ見られたりして。 横浜線という極めてローカルな路線に乗り換えた後も 電車は花金のpm10時台ということもあってすし詰め状態の中で 風邪で熱だして変な咳をしている怪しい男が何やら怪しい機械を小脇に抱え、 隣に立っていたほろ酔い気分のおじさんなどは、自分と目が合うやいなや ぱっと目を背け、顔色がさっと引けるのがわかりました。 ここで自分がガスのコックに手をやりちょっとひねれば、もっと面白い リアクションが期待できたところですが、自分も極めて一般市民なので へへへとにやけるのが精いっぱいでした。

「U」さんのメールより

「U」さんから写真が届きました。 その写真をみたらなんと、デジタル温度計と掃除用のほうきがついていました。 (写真・プロパン煎り子とデジタル温度計)

最終更新日:2016年9月28日

ミルク缶焙煎機で焙煎する

焙煎に必要なもの

  • コンロ・・・カセットコンロでも可。台所でやるとチャフがいっぱい飛んで大騒ぎになります。
  • 焙煎機・・・さっき作ったもの。
  • うちわ・・・煎り上がったコーヒー豆を冷やすのに使います。
  • ステンレスのザル・・・煎り上がりのコーヒーは200度ぐらいあります。 ですから金属のものを使って下さい。広めのザルの方がハンドピックしやすいと思います。
  • できればストップウォッチ・・・ばいせん機に温度計がない以上、コーヒー豆の状態と現象が どの時間でおきたかがばいせんの目安になります。 時計でもよいのですが、ストップウォッチの方が使いやすいでしょう。

缶の中の生豆

緑っぽい色をしています。
メキシコ、150g(ハンドピックをしておくこと)
この焙煎機は最大150g煎る事ができます。
* 生豆の選び方。
好きな豆を選べばよいのですが、次の点に気をつけてください。
非水洗処理の豆はチャフの量が多くなります。後の掃除が大変です。
(マンデリン、ブラジル、モカなど)
もし用意できれば、クリーナーにかけたコーヒーだとチャフで悩まなくてすみます。
(クリーナー・・・・お米で言うと精米機のようなもので、コーヒー豆の表面を削って磨く装置)

焙 煎

熱いので軍手などをしましょう。
かるく焙煎機を持ったとき、底部分のが水平になるのが理想です。

焙煎機の持ち方
軽く焙煎機を持ったとき、底の部分が水平になるのが理想です。 この角度がよいと手が疲れにくく、チャーハンのように豆をふり上げやすくなります。
火力の設定
とりあえず、最大でやります。 この状態で豆のはぜが15分以上かかる様でしたら、 焙煎機の穴の数を増やすか穴の大きさを大きくします。 10分ぐらいではぜる様でしたら火力を下げるしかありません。 火力最大で穴の大きさを少しづつ大きくしていって、15分ぐらいにはぜを持っていくと 理想の焙煎機になります。

焙煎機の振り方
チャーハンのような振り方と単なる上下運動を適当に行います。 最初は1秒間に1回程度で振ります。 はぜてきたらチャーハンのような振りは止めて上下運動だけにします。 リズミカルにはねる様に振ります。
焙煎のプロセス
焙煎は豆の色をあわせるのではなく、コーヒー豆の化学変化がおこなわれたかが問題になります。 適切に焙煎されれば香りたかいコーヒーになりますし、 そうでない場合はスカスカで香りのないコーヒーになってしまいます。 この焙煎機の場合、いくつかの目に見えるプロセスでばいせんが適切かどうかを判断します。

3~5分の時豆のチャフがはがれて飛ぶようになります。
15分豆がはぜる。力強くはぜる事。火力が弱いとはぜ方も弱い。
仕上げ色見本の豆とあわせて豆をざるにうつします。
その時、豆がのびているか、黒いしわが残っていないかも
確かめるポイントのひとつです。

コーヒー豆はゴム風船と同じではぜる手前で黒っぽく、 はぜた瞬間に表面がのばされてしわが消え色が薄くなります。 はじけるにはエネルギーが必要で、火力が弱いとはぜる力が足りなくて しわの残ったコーヒーになってしまいます。

焙煎開始6分後

うす茶色になってます。 豆の様子。(6分)
豆のフラットな部分にしわが多く残っています。
センターカットが閉じていてなんとなく豆がひねたように見えます。
水分がぬけて豆がひとまわり小さくなった状態です

焙煎開始9分後

かなり茶色になりました。 豆の様子
6分の頃と比べるとセンターカットが開いています。 (白いすじが目立つようになっている)
豆のしわが少し消え始めている。
豆のふくらみもでき始めている。

うちわで冷やします
余熱で焙煎が進んでしまうので、焙煎が終了したら缶から出して冷やします。
豆がはぜ終わったあとは時間と共に色が濃くなります。
(色が薄くなるのははぜる時のみ)
見本の豆と比べてちょっと濃くなったぐらいでザルにおとします。
あとは、焙煎が進まない様にうちわで豆をあおいで冷やします。

左側
ミルク缶焙煎機で煎った豆
13分で焙煎終了。
終了時間がちょっと早い。反省。
右側
フジローヤルR-103直火式焙煎機
にて焙煎。

センターカットの具合、豆のふくらみ、しわののび方など、
ハンドローストと業務用機械との見分けがつかないと思います。

ミルク缶焙煎機で煎る・週刊フレーバー
ミルク缶焙煎機で焙煎する・週刊フレーバー

最終更新日:2016年9月28日

ミルク缶焙煎機のつくり方

ハンドローストするとスカスカなコーヒーができることが多いのですが、ミルク缶ではそれがなく、 大型の焙煎機に負けないコーヒーが簡単にばいせんできます。
(銀杏煎りで焙煎すると排気オーバーの状態で焙煎するため、 成分が抜けてスカスカなコーヒーができてしまいます)

準備する品々
ミルク缶1個、木(長さ約20cm)、6mm長ボルト(30cm、2本)、ナット
ホームセンターにあるものばかりです。

ミルク缶は内側に塗装がしてないため、熱を加えても塗料が燃えなくてGOOD!です。 もし内側に塗料が塗ってある缶でしたら火で塗料を焼いてから使ってください。
木は握りやすいくらいの太さがよい
ネジはステンレスのものがよい
ちなみにミルク缶のサイズは直径130mm、高さ180mmです

穴の位置決め
缶の底には穴を開けます。ポンチで位置を決めていくと釘で穴を開けやすいのです。 穴はほぼ、均等に。このくらいの缶だと30個ぐらいの穴が適当です。
穴の数と穴の大きさは使うガスの熱量できまります。 普通にばいせんして15分ぐらいのとこにはぜがくる様に穴の大きさと数を決めていくのです。

* 穴の位置決めのやりかた
1.缶のセンターの出し方(コンパスを使う方法)
缶の半径ぐらいにコンパスを広げて、缶の端に針をつけて真ん中のあたりにマークします。
これを3個所くらいから行うと交点にセンターが出てきます。

2.センターより半径2cm、4cm、5.5cmの円を描き、半径2cmの円に6個、4cm、5.5cmの円に12個の点を マークします。(昔、ならった正六角形の書き方を利用します)

釘で穴あけ
ドリルではなく、釘であけるのがポイントです。
釘の太さは2~3mmぐらいを使ってます。ドリルで穴をあけずに釘で穴をあける理由は、 釘で穴をあけると缶の内側にささくれができるからです。
これが缶を振った時に豆を回転させるひっかかりになるのです。 そして、ささくれが豆のチャフ(豆の表面についている渋皮)を取り除くのに重要なのです。
ドリルで穴をあけると豆がすべってしまい、火が一方にしか当たらなくなってしまい、 煎りむらになりやすいのです。

缶の内側です
よく見ると穴のふちにささくれができているのが判ると思います。
穴と穴の距離はコーヒー豆の長径よりも大きくなければいけません。 これは豆がはぜた時、膨張して穴と穴の間にひっかかるのを防ぐためです。 穴の距離が短いとささくれの間に豆がはまりこんでしまいます。

取っ手をつけます
木製の取っ手をボルト、ナットで固定します。写真はボルトを通すための穴を開けているところ。
缶をテーブルにおいて、三角定規をテーブルに立てたりして垂直を出します。
穴の位置は底から10mmのところに直径6mmの穴をあけ、その穴から150mm上に直径6mmの穴をあけます。
ここは素直にドリルで穴をあけて下さい。
取っ手の傾きは、コンロに缶をおいた時、自然に取っ手が握れる様な角度がベストです。
木に斜めに穴をあけるのがちょっと難しいでしょうが、大きめの穴をあけておけば大丈夫です。

ぎんなん煎りの欠点

  • ぎんなん煎りを水平に振るため、コーヒー豆が網を滑って煎りムラがでやすい。
  • 網を通して豆をみるので豆の状態や色が見にくい。
  • 最大の欠点は、排気全開の状態でばいせんするため、 スカスカでこくのないコーヒーになりやすい。

ミルク缶の長所
缶の動きは垂直の動きが主で煎りムラがでにくい。
チャーハンのように豆を振り上げる時、豆がささくれにひっかかって渋皮がきれいにとれる。 その時、豆が回転して煎りムラがでにくい。
閉じた状態で豆の温度が上がるので成分が飛びにくい。煙の量にあわせて自然に排気が強くなってくれる。
(缶の底にまったく穴がないと煙りがこもってしまい、煙くさいコーヒーになってしまう)
はぜ時間を15分ぐらいになる様に穴の数とサイズを一度決めてしまえば、 けっこう簡単に香り高いコーヒーができあがる。
ちなみに、はぜが早すぎると香りが少ないコーヒーになる。
豆が見やすい。
豆が取り出しやすい。

ミルク缶冷却装置

めちゃめちゃ単純な冷却装置です
ファンにあう円盤を切り抜いて取り付けるだけ・・・
そんな冷却装置ですがけっこう効果があります

一番手軽な取っ手の取付け方

ミルク缶に取っ手がうまく取り付けられない人用の取っ手です。
ホームセンターで写真のような取っ手を買います
(できればプラスチックよりも木のほうがいい)
その取っ手にあうねじでできるだけ長いものを買います
(写真はM4の長さ6センチのなべねじです・・・)
ミルク缶の内側からねじをだしてナットをいれます
(この段階ではねじを締めない)
もうひとつナットを一センチ程度いれます
取っ手のほうにねじをいれて一センチぐらいはいったところで取っ手の部分のナットを締めます
次にミルク缶の部分のナットも締めます
これでしっかりとミルク缶に取っ手がつきます
できれば・・・ミルク缶の側には座金がはいっていたほうがいいと思います
取っ手の方は座金を入れないで下さい

温度計付ミルク缶焙煎機
ミルク缶焙煎機に温度計を取り付けてみました。
センサー部分が深くは入っていないので豆の温度を測定することはまったくできません。
しかし、雰囲気温度が測定できるのではぜのタイミングなどの目安にはなると思います。

ただし、この温度計の効果に関しては実際に使ったことがないので未知数です。
たまたまミルク缶焙煎機をつくったときに気が向いて取り付けてみただけですから・・・

センサーの長さなどをもう少し工夫すれば・・・
はけっこう使えるものができるような気がします。

ミルク缶焙煎機を作る・週刊フレーバー

最終更新日:2016年9月28日

稲沢の「K」さんの煎ったろう

今回のポイント

煎ったろうという焙煎機の特長は、排出でドラム自体を傾ける構造になっていることです。
この構造で、強制排気を考えると煙の流れと豆の排出を考える必要があります。
つまり、排出口と排気口が一緒であることが問題となります。
排出口から排気を引っ張る。
実際に、考えるとけっこうムズカシイのです。
(単につくりにくいだけですが・・・)
その構造が描がけたら後はけっこう簡単でした。

排気部分の特長

排気部分はファンが高温になりすぎないように排気管に9ミリのあなが2個開けられています。
この穴から冷たい空気が入り込んで排気温を下げる働きをします。
そうしないと、排気温が上がりすぎてファンの故障の原因になってしまうのです。
そのために、排気温を測定する温度計を取り付けてあります。
(実際には、120度程度にしか上がらなかった)

フロントの跳ね上げ部分

排気のダンパーを固定板のほうに付けたのが今回の改造のポイントとなっています。
跳ね上げの部分は豆の投入口と煙突が兼用となっています。
この部分の構造が決まれば、後は非常に簡単につくることができました。

灰箱について

ドラムの後部には、空気取り入れ用に4ミリの穴が多数あけてあり、
そこからチャフが落ちてきます。
当然そのチャフは掃除しなければなりません。
そこで着脱式の灰箱を取り付けました。
今回の灰箱は、大きめに作ってあり3キロぐらいの豆を焙煎しても一杯になりません。

スプーン取り出し口について

今回の場合はアングルで固定はできないのでアルミ板を曲げて固定しています。
ドラムが傾斜しているので、スプーンを水平にするために補正しています。
今回は、温度計付きスプーンの温度計をネジ止めで簡単に着脱できようにしました。

実験・煎ったろうの試運転・2010/10/18

試運転の感想

1キロの豆を焙煎しても排気温は120度ぐらいしか上がってこなかった。
これならば、排気ファンに負荷がかからすに大丈夫な気がした。
実際に1キロの豆を焙煎することは可能だが火力に遊びがなくていかんと思った。
(最大火力を使うしかなかった)
排気ダンパーに関しては1キロの豆をいれてもまったく問題ないほどファンには余裕があった。
試運転した感じでは、800グラム程度の量が、一番焙煎しやすいと感じた。

最終更新日:2016年9月28日

奈良の「H」さんの煎ったろう

今回のポイントはスピード

焙煎機の改造は、じっくりとやることが多いのです。
しかし、今回は奈良から煎ったろうを持ってきて・・・
次の日には帰らねばならないという条件・・・
つまり・・・実質使えるのは一日だけ・・・
その一日でどのような改造までができるか・・
挑戦してみました。
(普通にお客さんが来るなかでの作業でした)

今回の焙煎機の改良点

自然排気の場合、ダンパーが一番重要になります。
そのダンパーをどのような構造にするかによってかかる時間が決まります。
スプーンの構造は、今までのやり方で完成しているのであまり問題がありません。
今回問題となったのがシリンダーの取り外しでした。
とにかくシリンダーを外さないことには底部分に穴も開けられないしカバーも外せない・・・
その部分がけっこう大変でした。
あと・・・以前はモーターの軸にそのままシリンダーが直結していたんですが
今回のものは、カバー部分にべアリングが取り付けられておりちょっと進化していました。
ちなみに、スプーンのガイドの隣のタケノコは温度計の挿入口です。

フロントの跳ね上げ

焙煎が終わって豆を排出するときには傾けると勝手に開いてくれる構造になっています。
しかし、シリンダー内をみたりするときにはフロントを跳ね上げるしかありません。
その時に止めるためのストッパーが必要になります。
そこで、ちょうつがいを止める部分に防震ゴムを取り付けてそれをストッパーとしました。
(多分・・・・一番楽ちんな方法だと思う)

微圧計部分

微圧計部分はあまりにもやぐく取り付いていたので
固定治具をつくっただけです。
(これをつくっただけでも「H」さんは立派です)
後はほとんどいじっていません。
個人的にいえば・・・・・
微圧計をチーズにそのまま取り付けて垂直にやるのはどうかと思ったんですが・・・
そのまま取り付けました。
この構造では微圧計がある分・・・
配管が外のほうを走らなければならず固定しにくいという欠点があります。
(配管を全部やりなおすのはめんどくさかったもんで・・・)

排気ダンパー部分

今回一番の目玉部分はこのダンパーです。
このダンパーの斜めにカットした部分・・・ここが今回の改造の一番の自慢です。
(みると・・・なんだと思っちゃうと思いますが・・・・)
今回のダンパーは煎ったろうの投入口の上半分をダンパーとして使っています。
スライド部分が単なる長方形の板の場合は・・・・
排気全開にしようとすると投入口の端までスライドさせねばなりません。
その状態でも外れないようにするにはガイドのレールがその分、長くなければなりません。
(レールが長すぎるとカッコ悪い・・・・)
それを防ぐために斜めのカットがあるのです。
これによりレールの長さを2センチぐらいは縮めることが可能になりました。
(このアイデアをみつけただけでやってよかったと思いました。)

最終更新日:2016年9月28日

「N」さんの煎っ太郎

煎っ太郎の改造は三回目です
今回は直火式の煎っ太郎でした
そして・・・今回は強制ファンと角度調節機構・・・
ついでにスプーンを大幅に改造しました
改造は・・・やっぱり場数ですねぇ・・・
だんだん早く上手になっていきます
(あたりまえといえば・・・当たり前)

煎っ太郎の改造で難しいところ

煎っ太郎は、豆を入れたりだしたりする口が大きいのです
これが実は曲者なんです
つまり・・・焙煎機を水平に近づけてくると豆がこぼれやすいのです
となると・・・コーヒー豆の量によってドラムの角度を変える機構を
つけねばならないということになります
それと今回の煎っ太郎は直火式のドラムでしたから 排気を大きな口に一本化できませんでした
そこで補助的なファンを取り付けて蒸らし段階ではそちらのファンを使うようにしました

焙煎機の改造点
スピードコントローラーで排気を行うのは良く使っているパターンです
はっきりいってこのやり方が改造としてはいちばん一番楽ちんなんです
ドラムの角度調整機構は今回始めて使ったんですがこれはいいと思いました
特に何段階かの角度をつくれることと豆の排出もハンドルを持たずに済みます
バネで押さえるのではなくおもりで押さえる方法も けっこう簡単でいい構造だったと思います
排気用の温度計を取り付ける方法は何度もやった方法なのでどってことなかったです

スプーンに関しては今回始めての試みでストッパーがついています
煎っ太郎の場合はドラムに角度あるために豆をスプーンですくいにくい欠点があるのです
そこで角度があっても救うようにストッパーが必要になるわけですが・・・
この構造を考えるのにはチョット苦労しました
通常の煎っ太郎では灰皿は固定です
だけどフロントにカバーがついたために掃除ができなくなってしまったので・・・
灰皿がスライドして掃除が楽にできるようにしました
傾けたときに灰皿が落ちないようにストッパーも取り付けてあります
あと・・・着火用の窓も取り付けました

試運転の感想
とにかくバーナーにも余裕があるし・・・ドラムの容積にも余裕があります
たぶん1キロぐらいの焙煎までなら難なくこなせると思いました
ただし・・・とにかく煙の多さに閉口しました
このごろちっちゃな焙煎機の改造が多かったせいか
ここまで煙が多い焙煎機は久しぶりでした
店の中が一気に煙だらけでけっこうおもしろかったです
たまたま試運転で焙煎したコーヒーをお客さんに試飲でだしたら・・・・
美味しいと買っていていってくれました
売りもんになるコーヒーだと思いました

最終更新日:2016年9月28日

新型煎っ太郎物語

またまた改造頼まれる

ひかりのさとファームのために改造した煎っ太郎がめちゃくちゃ評判がよくって またまた改造をする事になりました。 
今回の改造の目玉は豆投入用のじょうごと 排気のダンパーを兼用にするというアイデアを試してみようとおもいました。
(結局、同じものをつくるのはおもしろくないもんで・・・・・・)
それと、フィスコの焙煎機を改造したときに使ったスライドダンパーが 結構気に入って今回も使ってみようと考えたのです。 

(写真・新型煎っ太郎)

今回の改造の目玉

今回の改造の目玉、豆投入シャッター兼スライドダンパーです。
じょうごはもともと金色のもので後の部分が全部銀色だったので わざわざ耐熱塗料で塗ってごまかしてみました。
使い方は、じょうごの中にコーヒーを入れておき、かまが適当な温度に達したら シャッターを開いて豆を投入します。 その後、シャッターを戻して焙煎が進むにつれて少しずつシャッターを開けてやると 排気の調節ができるのです。
簡単に言うと、じょうごが煙突になるという事です。

(写真・豆投入シャッター兼スライドダンパー部分)

珈琲豆を500gいれてみると・・・・

じょうご部分などフロント部分が完成したので実際にうまくかまにコーヒー豆が 入ってくれるかを試してみる事にしました。
スプーン兼温度計を差し込んだ状態にして実際に珈琲豆を500gいれてみると・・・・ 見事にこけました。
フロント部分が重すぎて豆を排出する状態になっちゃったんです。 スローモーションのようにゆっくりと傾いていくさまは、結構笑えました。
そこでうでを後ろの方に伸ばしてコーヒー豆をじょうごに入れても傾かないようにおもりを つけたのです。

(写真・焙煎機のおもり部分)

とりあえず試運転

今回の改造を頼まれた”K”さん夫妻がみにくるというのでそのときに 試運転をやろうとおもいました。(ちなみに、この機械は山梨県にいくそうです)
最初に軽く説明をしてくず豆をじょうごに入れてガスに火をつけました。 ちょっとすると切削油が煙となってでてきます。この量がめちゃめちゃおおい。 これには、参りました。やっぱりひとりでこっそりと試運転はするべきだとちょっと反省しました。
切削油の煙もなくなり、くず豆の焙煎も終わったので実際に使える豆を焙煎することにしました。 この焙煎機は、蒸れ具合や煙の状態が目でしっかりわかるので非常に使いやすかったです。 ”K”さん夫妻に焙煎したてのコーヒーをいれてあげました。 はっきりいってうまかったです。
このコーヒーならどこへだしても恥ずかしくないとおもいました。 とりあえず、ひじーーーーに、たのしい試運転でした(ぼくが、風邪でつらかった以外は・・・・)

(写真左・豆投入前)
(写真中・焙煎最中)
(写真右・冷却中)

最終更新日:2016年9月28日

煎っ太郎改造日記

小型焙煎機・煎っ太郎

半田市の自家焙煎の喫茶店・蘆花の山本さんから車椅子の人が 使うように焙煎機を改造してほしいと頼まれました。
この煎っ太郎は、素人が使うにはもってこいの機械で非常にきれいに煎れます。 (素人の方が定価 198000円の機械を買うとは思えませんが・・・)

煎っ太郎の問題点
・微圧計がない・排気の調整がない・温度計がない
つまり、焙煎の再現性が乏しい
チャフが飛ばせないためドラム内でのチャフの 煙臭が豆についてしまう
車椅子の人が扱うには豆の排出がおもすぎる
(写真・改造前の煎っ太郎)

とりあえず簡単なところから改造してみました

とりあえず、火力を調整できるように微圧計とバルブをつけました。
(この辺はめちゃくちゃ簡単)
冷却ファンのスイッチとコンセントをつけました。
(改造というには恥ずかしい)

この改造で重要になるのは、
ドラムにいくつぐらい穴をあけて排気の抜けをよくするか
ドラムにあけた穴からチャフがスムーズに落ちてくれるか
排気のダンパーの開閉部分の構造どうするか
温度計とスプーンをどのようにつくるか

ざっと考えて上記のことが重要になると思います。
とりあえず、スプーン付温度計として用意したのが、てんぷら用温度計です。 これならば、測温部分が表示部分から遠くて非常に使いやすかったのですが、 豆の煎りあがりのチェックで豆をスプーンですくうときドラム内のかくはん用の 羽根にひっかけてしまって使いにくいことがわかりました。そのため、スプーンを いれるときのガイドをつけなければ難しいと思いました。
排気のダンパーの開閉は、投入口にふたをしておきそのふたにシャッターをつけることにしました。 当然、豆の排出のさいに邪魔にならないように開くようにしてみました。ところが、シャッターの開閉に スムーズさがなく、シャッターの目安もないのでその部分を作り直さないといけないと思いました。
ドラムにあけた穴に関しては、けっこう調子いいのですが、チャフが下に落ちて掃除ができる構造に する必要があるように思いました。
(写真左・赤いのはスプーン付温度計)
(写真中・ダンパーを半開の状態)
(写真右・豆を排出の状態)

本格的な改造

車椅子の人が操作するのに煎っ太郎の前後に動くのはちょっと不親切と思い、 すべての操作を正面の位置でできるようにしました。 当然、豆の排出も正面で行うことができます。
タイマーや照明器具も取り付けてとりあえず焙煎してみました。
スプーン付温度計が思ったように豆をすくってくれずにもう一度つくりなおすことにしました。
この段階でフロントパネル三枚、スプーン付温度計二本作り変えました。 もう少しで完成となります。
(写真左・台にのった状態の煎っ太郎)
(写真中・豆投入時の煎っ太郎)
(写真右・豆を排出時の煎っ太郎)

やっと完成しました

仕上げとして微圧計を正面に向けました。ちょっと格好をつけて正面のナットを 袋ナットにしました。生豆投入用のじょうごやスプーンを置く台を取り付けました。 チャフ受けが取り付けやすくなるようにガイドを取り付けてあります。

試運転をやってみました
大阪の澤田さんと蘆花さんとぼくの3人で煎っ太郎の試運転をしてみました。 煎った感じでは、ふかいりにしたとき排気が自然排気のため追いつかないように感じました。 よい点としては、煙の量やそのときに煙なのか水蒸気なのかを確実につかめる。 (煙突がなくてくちの部分から煙がでるからあたりまえですが・・・)
(写真上・煎っ太郎の側面)
(写真下・煎っ太郎の正面)

スプーン付温度計

この部分は、一番苦労した部分です。焙煎機の内部の温度をはかる 温度計とコーヒー豆のサンブルを取り出すスプーンをこれひとつで兼用しています。 焙煎機の内部は、コーヒー豆をかくはんする羽根がついており、 その羽根にひっかからないためには中心の部分しかつかえません。 そのため、まっすぐにスプーンを差し込めるようにガイドがついています。 そのガイドに沿わせてすべらせれば、スプーンで安全確実に豆を取り出すことが できます。
(写真左 ・温度計として焙煎機に差し込んで使う)
(写真左下・スプーンとしてガイドに沿ってぬいた状態)
(写真右下・サンプルを取り出した状態)

煎っ太郎の嫁ぎ先・ひかりのさとファーム

蘆花さんからひかりのさとファームの話を聞いたとき、煎っ太郎が使われるのだから たぶん、小さな喫茶店なんだろうと思っていました。ところが、煎っ太郎を納品に ひかりのさとファームにいったらびっくりしました。でかいんです。 とにかくでかいんです。
(写真左・ひかりのさとファーム全景)

めちゃくちゃ広い作業場に寂しくぽつんと働いていました。 最初の予定とは 裏腹にけっこう忙しいため、とても煎っ太郎では、焙煎が追いつかず結局は 5kgの焙煎機を現在は検討しているそうです。
(写真右・広い作業場での煎っ太郎)

ひかりのさとでは、富士ローヤル5kg釜が、現在では稼動中です。 焙煎室は、きれいで結構広くて非常に快適な環境です。 ハンドピックできるテーブルも広く取ってあり、なにもかもがゆったりと しています。このぐらいのスペースがあれば、月に1tぐらいのコーヒーが 生産できるように思います。あとは、生協など販路を開拓すればばっちり だと思いました。 中島さんに「煎っ太郎を引き取りましょうか」と聞いたら 「あれは、初めてコーヒーを焙煎する人に、コーヒーの焙煎されていく様子や 香りや煙などが手にとるようにわかって練習用の機械としてはまだまだ、 使いますからだめです。」とやんわり断られてしまいました。 実は、あの機械を欲しがっている人がけっこういっぱいいて何とかして欲しいと 頼まれるんです。どーーしても、業務用の焙煎機では、釜の中でコーヒー豆が どんな状態になっているかが肌で感じる事が出来ないんです。 それに対して煎っ太郎は、すべてが実感できるんです。欠点としては、一回の焙煎量が 少ない事だけなんです。 (写真・広い作業場で焙煎中の中島さん)

最終更新日:2016年9月28日

焙煎機の排気について

たぶんこのページは、一般の方にはつまらないページと思います。しかし、自家焙煎で 排気の開け方を迷っておられる方には少し参考になると思います。
通常焙煎では、コーヒーがいりあがるにつれて排気を多くするのが基本となります。 しかし、ダンパーを開閉する目安が実際にはなかったように思います。 それは焙煎機の中でコーヒーが今どのようになっているかを知る術かなかったからだと 思います。コーヒーは焙煎機のドラムのまん中から下ぐらいで撹拌されています。 焙煎機のそれより少し上の部分に穴をあけてそこから焙煎中のにおいや煙の量を調べる ことによりダンパー操作の目安になると思ったのです。
(写真・水道の蛇口部分は温度とにおいと煙を調べるため)

蛇口部分からにおいをかいでみると生豆投入口を開いてにおいや煙を調べるのとあきらかに 違いがでるのです。つまり、生豆投入口は焙煎機で一番高いところにあるので煙が集まるのです。 蛇口部分では、煙たくないのに生豆投入口では煙たいのです。本来コーヒー豆がどんな状態に なっているかによって排気を開けるはずなのに実際は、生豆投入口の状態でダンパーを開けていたのです。 (とりあえず、ぼくはそうしていた)この装置をつけて判ったことはぼくは、 排気を開けすぎる傾向にあったということです。 もし、コーヒー豆に煙をからませないために排気を開けるのならば思ったよりダンパーは開けずに 済むようです。自分のイメージの中と実際のギャップを感じさせてくれる装置でした。
(写真・温度計は排気の強さの目安になります)

排気検査機能付きスプーン

排気チェック用にもっと豆の近くのデーターをとることは出来ないだろうかということで 考えたのがこの、排気検査機能付きスプーンです。通常のスプーンは豆のチェックにしか 使いません。それに対して、このスプーンはドラムの真ん中から蒸気の有無や煙の状態 ドラム内が正圧か負圧を調べるのに役立ちます。
構造は非常に単純でステンレスのパイプをスプーンのように細工し豆が取っ手のほうに 来ないように網を取り付けただけの構造です。
今回このスプーンを使ってわかったのですが、焙煎機の排気は強すぎます。これに長い 煙突なんかをつけようものならめちゃめちゃ排気オーバーになってしまうと思いました。 特に、蒸らしの大切なときが排気オーバーになる傾向があります。 ましてや、少量焙煎の場合は特にその傾向が現れるのです。

(写真・排気検査機能付きスプーン)

新しいスプーンを使ってみてわかったことは、排気ダンパーを全閉にしても残念ながら 排気が強すぎるということがわかりました。そこで排気が全閉の時だけ補助ダンパーを 開いて排気ダンパーを開くと勝手に補助ダンパーが閉じるように改造しました。 コーヒーに携わってやっと少しだけコーヒーがわかってきたような気がします。
(写真上・補助ダンパー閉 写真下・補助ダンパー開)

ちなみに下の写真が現在の焙煎機の排気ダンパー部分

最終更新日:2016年9月28日

焙煎でどんなデータが必要か・・・

焙煎のデータを取るときにどんな数値をとるのがいいか・・・
せっかく焙煎のデーターを取るんだから客観性を持たせる必要があります
例えば・・ぼくの焙煎で基本となるのが14分前後にはぜを持ってくるという方法・・
これは基本中の基本でどんな焙煎機の試運転でもここから始まります
しかし・・データーをとる場合はこれは問題があります
なぜならば・・・はぜというものは主観的なものだからです
一個目の豆がはぜたのがはぜととるか・・・
ある程度の数の豆がはぜたのをはぜととるか・・
これだけで時間で30秒前後の変化が生じてしまいます
これでは・・・客観的データーとはなりません
となると・・・はぜ時間は参考データーにとどめておくべきとなります
では・・・
どんなデーターが焙煎に役立つか・・・
一番数値に置き換えやすいもの・・・
つまり・・投入温度・ガス圧・目減り量・あとは温度と時間の組み合わせとなります
とりあえず・・
エクセルなどでデーターを加工したときにそのデーターの示す意味があいまいにならないようにしなければなりません
ぼくの場合・・・一番重要なのが温度上昇の傾きだと考えています
そのため初期段階で二ヶ所の温度と時間を計って傾きを出しています
それにより火力不足かどうかを早いうちに判定しています
(早ければ修正が楽ですから・・)

最終更新日:2016年9月28日