過熱水蒸気研究ノート

過熱水蒸気を研究していていろいろな疑問やアイデアが出てくることがあります。
すぐに実現はできなくても将来なんかに使えそうなこと を書いておくページかあっていいかなぁとおもいました。
はっきりいって、ここでかかれていることはまだまだ根拠までいっていないことが多いと思います。
しかし、アイデアなんてもんはそんなところからだんだん理屈がみつかり形になっていくものだと思います。
単なる直感・・・・・最初のスタートはそんなもんじゃあないでしょうかねぇ・・・

過熱水蒸気と遠赤外線
「オオハタ・メソッド」をやっていて遠赤外線の可能性がみえてきた気がします
焙煎最後の段階・・つまり足並みをそろえるときに過熱水蒸気と遠赤外線を同時に使う
これはいけるかも・・と思っています
ガスを燃やすと熱量が発生します(あたりまえ・・・)
その熱量の一部をコーヒー豆に伝えてコーヒー豆の温度を上げます
(これも・・あたりまえ)
コーヒー豆の温度と排気温が同じになった場合は、平衡状態になる
(ここではコーヒー豆を単純に「もの」として考えています)
足並みをそろえることがコーヒー豆の内部と表面の温度差をなくすと考えれば・・・
排気温が低くて熱量が高い状態が理想ということになります
(オオハタ・メソッドの根本原理)
このときに遠赤外線を豆に当てるようにすれば・・・
遠赤外線は空気を関係なく豆表面に到達します
そして、熱源がガスを使う以上熱量はかわりません
セラミックや石などに炎をあてた場合、必ず炎の温度よりも大幅に下がります
つまり、低い温度で高い熱量を打ち込むのに過熱水蒸気と遠赤外線は似ているのです
これから考えると過熱水蒸気と一番相性のいい焙煎機は 炭火を使ったものということになります

オオハタ・メソッド
今まで過熱水蒸気の活用法は「蒸らし」の段階と限られていました
(ぼくてきにはそれで十分だと思っていました)
ところが新しい活用方法が発見されたのです
(横浜のコーヒー屋・大畑氏によって発見される)
それも・・追試すると非常に効果が大きくでる
(結果にちょっと驚きました)
名づけて「オオハタ・メソッド」

「オオハタ・メソッド」の基本原理
焙煎の後半・・・釜だしの手前で豆の表面と内部の温度差を減らすために
「足並みをそろえる」という方法があります
これはバーナーを下げたり火力を落としたりして豆の表面にかかる熱を弱くするのです
そうすると豆表面の焙煎の進行が遅くなります
それに対して内部の焙煎は表面と内部の温度差に依存しますから今までどおりの進行になります
それによって表面と内部の焙煎の進行度合いを近づけていくのです
そこの部分で蒸気を混ぜるとどうなるか・・・
まず・・・バーナーの熱風の温度が蒸気と混ざることによって下がります
つまり・・・表面の焙煎の進行を抑えることができます
ところが熱量は、今までの火力以上ありますから内部に打ち込まれる熱量は上がるのです
それにより・・・足並みをそろえるのが非常に楽になります

効果として・・・
豆内部の焙煎が確実になります
つまり煎りムラ・芯残りかまったくなくなります
豆表目の焙煎の進行が緩やかになる分釜だしのタイミングを計るのが楽になります
味的には濃厚になることと・苦味が緩やかになること・雑味が消えること
この三点が一番の効果だと思います

それ以外の効果場現在検証中です
ちなみに・・ぼくの開発した技術ではないので細かいノウハウは書きませんでした
詳しいことを知りたければ横浜のコーヒー屋・まめまめさんに聞いてください

過熱水蒸気とはぜの関係について
過熱水蒸気は成分を飛ばさずに水分を抜くという優れた効果を持っています
しかし・・これは諸刃の剣でもあるのです
過熱水蒸気を蒸らし段階で送りすぎると豆をはぜさせるエネルギーがなくなる可能性も持っています
では・・どうすればいいか・・
豆の量や豆の種類なんか関係なくはぜの音を聞けばわかるのです
つまり・・・はぜの音が思ったよりも小さく感じたら蒸気を送り込む時間を少し短くするだけです
そうすると・・豆の水分を抜く量が少し減ってはぜるための水分が残ってくれるのです
当然・・・水の抜けやすい豆や少量焙煎の場合は蒸気の量を減らす必要があります
逆に固い豆や豆の量が多いときは蒸気を多く入れる必要があります
その目安がはぜの音だけで判定すればいいのです
とりあえず・・・そこまでは解明できました

ロブ臭を消せる可能性について
このごろ、過熱水蒸気焙煎の試験を頼まれることが多くなりました。
(ほとんど・・・商社や缶コーヒーのメーカーなど・・・)
その中で、ロブスタを焙煎したときにロブ臭を消せるかを試しました。
・・・・・・確かに、通常の焙煎と比べるとロブ臭が弱くなります。
蒸気のあて方を変えるともっともっと消すことができるでしょう・・・
(まだまだ実験の途中・・・・)
このロブスタを焙煎していて気が付いたことがあります。
・・・・・・・・・・
ぼくは、焙煎をチェックするときに松屋式抽出法を使います。
後半部分での雑味や渋味がどれくらいでるかを調べます。
そして、この部分で雑味がでない焙煎を心がけます。
実は、過熱水蒸気を焙煎に使うとこの後半部分の雑味に変化が起こるんです。
つまり、雑味や渋味が非常に弱くなる傾向があるんです。
今まで、この理由を単に化学変化がきれいに進んでいるからだろうと考えていました。
ところが・・・今回のロブスタを焙煎していてロブ臭が弱くなったところをみると・・・
それほど単純ではなさそうです。
ただ・・・
アラビカ種の雑味とロブスタ種特有のロブ臭やあの大豆っぽさが、同じような性質だったら・・・
蒸気のあて方を研究すると、すべてのコーヒーの雑味を消すことが可能かもしれません。
とりあえず、蒸気のあて方をいろいろとやってロブ臭の消え方を調べてみます。
そして、大手の研究所に持っていて調べてもらおうと思います。
(大手と知り合いになったことは非常にラッキーでした)

なぜ・・過熱水蒸気を完成までこぎつけることができたか・・
このごろ・・・過熱水蒸気に関する特許に目を通していてわかったことがあります。
なぜ・・大手企業がこの研究で失敗したか・・・
(実は・・・過熱水蒸気をコーヒーの焙煎に使うというアイデア自体は多くの企業が取り組んでいる)
これは・・・スタートの違いが原因だったのです。
ぼくは・・・残念ながら高温の過熱水蒸気をつくることができなかったのです。
そのため・・・仕方ないので乾燥逆転温度以上の温度での釜内の湿度を上げることだけに焦点を絞ったのです。
ところが・・・大手の研究はもっぱら高温蒸気の一番の性質である熱伝達性に着目していました。
つまり・・・熱源として蒸気を利用しようと考えたのです。
このスタートラインの違いがぼくにとってのラッキーでした。
湿度をあげるためだけの蒸気ということは・・パワーがいりません。
熱源は、ガスなど他のものでいいのです。
コーヒーというものは、単に煎るわけではなく非常に複雑な科学変化なのです。
ですから、その科学変化の手助けをするのが焙煎という作業なのです。
豆の成分を残していかに自由に豆の水分をコントロールできるか・・・
ここにだけ・・・・特化したことがよかったんだと思います。

過熱水蒸気を使うと少量焙煎が可能になる・・
焙煎屋で、最初からある程度のコーヒーが売れればいいですが最初のころはどうしても売れる量が少ないのです。
となると、大量に焙煎して冷凍庫にいれてごまかすか、少量焙煎をするかのどちらかになります。
実は・・・
少量焙煎が曲者で非常に難しいのです。
なぜ難しいかというと、コーヒーの成分が飛びやすいのです。
釜の容積に対して豆の量が少ないと蒸らしの段階で釜内の湿度が上がらないのです。
そして、その状態で蒸らしを行うと水分が抜けるときに成分まで飛んでしまうという欠点があります。
つまり、この釜内の湿度をコントロールできないことが少量焙煎を難しくしているのです。
ところが・・・
過熱水蒸気を使うとこの釜内の湿度を自由にコントロールすることができるようになります。
そして、少量焙煎でも成分を飛ばすことなく蒸らしが可能になります。
実際に、3kg釜で200gの焙煎も可能になりました・・・・
(実験ではやりますが・・通常200gで焙煎なんてしませんがね)
ちなみに・・・手網焙煎の欠点は、この湿度のコントロールができないためスカスカな味になってしまうのです。


蒸気を送り込むタイミングについて
焙煎機内に蒸気を送り込むタイミングは直火式と熱風式では明らかにタイミングがずれます。
直火式では、豆を投入してから3分ぐらいたった中点ぐらいで蒸気を投入します。
しかし、熱風式では豆を投入してから5分ぐらいのとこで蒸気を投入することになります。
これは、焙煎機によって釜内の雰囲気温度が乾燥逆転温度に達するタイミングがずれることによります。
直火式では3分後には排気温が170度前後に達しますが、熱風式では3分後では140度ぐらいにしかなりません。
過熱水蒸気の乾燥能力を使う以上この乾燥逆転温度にあわせて蒸気を送り込むしかないのです。
乾燥逆転温度よりも低い温度帯で蒸気を送り込むと豆の水が逆に抜けにくくなってコーヒー豆の内部に残っている 水によって化学変化の邪魔をしてコーヒーの味が弱くなったりします。
つまり、蒸気を送るタイミングを間違うとコーヒーの味が濃くなるんではなくて逆の減少を起こすことになります。
ちなみに、排気温をはかる場所はコーヒー豆の集まっているところを通過していないところではかります。
そうしないと、コーヒー豆に熱を取られてしまった後の排気温では、乾燥逆転温度に達するのはずーーっとあとになってしまうのです。

熱風式焙煎の特性について
フジローヤルの焙煎機には炎が当たる部分が網になっている直火式と炎が当たる部分は鉄板で奥が網になっている熱風式の二種類があります。
熱風式の焙煎機を使った感じでは、
・豆がよく膨らむ
・香りがいい
・油のまわりが早い
などの特長がみられます。
この原因を考えてみました。
熱風式焙煎機のシリンダーに入り込む前の温度は450度ぐらいです。
排気温自体では豆投入から3分後に直火式では170度に達するのに対して 熱風式では140度ぐらいまでしか達しません。
つまり、同じ量のガスを燃やしてもこの温度差はなにを意味するかというと 直火では、燃焼した炎の熱の一部はそのまま排気としてでていってしまっているということです。
(だから、熱風式よりも排気温が高くなってしまう)
それに対して、熱風式では確実に熱風の状態でシリンダーに入り込んで豆に対してスルーで熱が抜けることが少ないのです。
その状態では、シリンダー内の温度分布にあまり差がなく低温で大量の熱風で焙煎が進むことになります。
直火式の場合は、炎が当たっているところと当たっていないところの温度差が大きく豆に対して熱しながら冷やしているような状態になっています。
(炎と冷たい空気を同時に吸う状態になるため・・・)
豆をいるということでいえば熱風式のほうが有利な気がします。
豆の表面から徐々に内部まで煎り上げられていき、豆全体がはぜるので直火式の豆よりも熱風式の豆のほうが煎りあがりの体積がおおきいのです。
このようにかくとどうみても、熱風式のほうが性能のいい焙煎方法のように感じると思います。
しかし、ここの焙煎方法には大きな弱点があるのです。
豆表面の細胞の崩壊をひきおこしやすい。
つまり、香りを豆の内部に閉じ込めたり酸素をふせいだりするはずの豆表面の細胞の崩壊は劣化のスピードを促進させてしまうのです。
直火式の場合、豆の表面の細胞を壊さずに済ませることができてコーヒーの成分の放出を最小限に押さえることができる可能性があるような気がします。
(通常、香りが飛びにくいので直火式は香りが弱いといわれる)
だから、直火式のコーヒーの方が濃いコーヒーができるといわれるゆえんだと思います。
ついでにいうと、炭焼コーヒーは直火式の中でも遠赤外線で直接豆に熱を伝える焙煎方法で、 排気として冷たい空気を吸って豆を冷やす構造で直火式の焙煎方法と同じ状態だと思います。
そう考えると、炭焼珈琲の方が長持ちするという話も現実味を持ってくる。
とりあえず、現段階の仮説ですが・・・・・

においセンサーの可能性について
ぼくのなかでは、焙煎したときのにおいだけで焙煎を評価してもいいんじゃあないかと思っています。
本来、焙煎というのは味や香りなど総合的に判断して評価するべきでしょう。
しかし、そんなことをいっていたら焙煎を評価する物差しなんてできません。
そこで、においだけを取り出して焙煎の評価に使おうと思ったのです。
ぼくは、過熱水蒸気の実験をやっていて、この焙煎方法ではこんな効果が期待できると結論がでたとします。
しかし、残念ながら普通のカップテストやいろいろな分析では思うような結果がでなかったのです。
ところが、普通のカップテストではなく、通常のドリップなんかで調べてもらうとけっこうぼくの思っている結果と一致するのです。
つまり、カップテストや抽出液の分析の場合、再現性を重視するあまりに精度を落としている部分があるんです。
それは、生豆の成分が煎り豆の成分に変化している度合いをみることなんです。
内部と表面の煎りむらと豆の成分の放出を分析しにくいのではないかと思ったのです。
(実は、サンプルロースターの構造をみててそう思った)
だったら、においというものだけを調べて焙煎の良し悪しを判断できる特性をみつければいいんじゃあないかと思ったのです。
データーの中から見えてくる真実をみつけてみたいなぁ・・・乞うご期待!

蒸気の熱伝達性と過熱水蒸気焙煎について
蒸気の熱伝達性というのは、乾燥空気の10倍といわれています。
ということは、乾燥空気の 1/10 の量で同じ熱量を豆に伝えることができることになります。
そして、大量の乾燥空気で豆を暖めると豆の成分が多く抜けることになります。
(過熱水蒸気を使った乾燥では、ビタミンなども破壊されにくいといわれている)
つまり、水を抜いたり熱を伝えるということだけを考えると乾燥空気よりも、蒸気を使ったほうが有利といえます。
しかし、コーヒー豆の持っているすべての成分を残しておくことが正しいのかというとそうとは限りません。
つまり、熱風式のように成分をある程度抜いても軽い感じのコーヒーの方がいいところもあるのです。
蒸気を使って水を意図的に抜いたり排気を絞って意図的に熱を加えたりとかは、コーヒー豆の焙煎自体を 焙煎者の意図で焙煎することを可能にする技術だと思います。
つまり、手軽な焙煎ならば熱風式の焙煎機で熱風式にあった豆(水の抜けやすい豆)を使って焙煎して 大量生産をすればいいのです。
そうではなくて、少量生産でよそのコーヒー屋さんと違う味のコーヒーを目指すときには、直火式の焙煎機で過熱水蒸気を使った焙煎機に価値がでるような気がします。
問題は・・・どちらがいいというのではなくてお互いが共存してコーヒーというものの幅を広げていくことだと思います。

蒸気をあてる時間について
過熱水蒸気という技術は、まだ未完成です。
豆に対して、どれだけの蒸気をあてたときが一番ベストかがまだ完全にわかっていません。
わかっているのは、
ずーーーーっとあてて焙煎するとコーヒー豆の科学変化がおきずに味が弱くなって逆効果になるということ
前半の蒸らしといわれる段階に入れるのが効果的であるということ
かたい豆は、ちょっと長めに送りやわらかい豆は短めにおくるということ
そんなことぐらいなのです。
たとえば、
水分量がこれくらいだったら何分だとか・・・
モカならば、何分とか・・
そこまでがわかってきたら、完璧なんですけどねぇ・・・
まだまだ先は長い・・・・かな

煙を消せる可能性について
焙煎機のクリンカーを研究していて思ったことがあります。
煙の大半は焙煎時にでる微粒子にオイル分が付着して煙の粒子になっています。
(基本的に、煙というのは液体か固体でしか存在しない)
その微粒子をもう少し大きくしたら・・・・
つまり、その微粒子に水蒸気を混ぜて重くしたら・・・・
サイクロンで落とせる可能性があります。
そうすれば、煙自体が消せる可能性があります。
そのためには・・・・煙突内の温度をモニターして決まった温度にするように 超音波を使った霧なんかを放り込んで煙の微粒子を重たくして・・・・
なんか・・・
本当にできそうな気がしてきたなぁ
・・・超音波を使うアイデアは、「K大学」の「H先生」のアドバイスでして・・・・

スペシャリティーコーヒーは、本当にスペシャリティーなのか・・・
過熱水蒸気を研究していてなぜかコーヒーの品質というものを考えてしまうことがあります。
ぼくの店では、エチオピア・デルガーゴという国連コーヒーを扱っていたりします。
いわゆる高品質といわれている豆です。
(それに不満はないのですが・・・・)
実は、焙煎を研究していると簡単に水が抜けて焙煎が非常に楽な豆と水が抜けにくくて焙煎が難しい豆があります。
エチオピア・デルガーゴなんかは、水が抜けやすくて非常に焙煎がしやすく楽な豆なんです。
焙煎屋にとってお気楽な感じの豆といってもいいでしょう。
それに対して、かたい豆は水も抜けにくく焙煎がしにくく大した豆ではないなぁと思っていました。
ところが・・・・そんな豆の方が化けることが多いのです。
つまり、過熱水蒸気を使って意図的に水を抜いたりしたときに・・・・おいしかったりするのです。
そんなときにちょっとおもったのが・・・・・
コーヒー豆が植物の種であるということです。
(あたりまえですが・・・・・)
植物の種は、もともと非常に丈夫にできています。
何十年とたった種でも発芽できる状況になったら発芽しなければなりません。
それまで、じっと自分を守っていなければならないのです。
害虫やカビなんかも弱いものにつくと聞いたことがあります。
つまり、水が抜けやすい豆って種としたら弱い豆じゃあないだろうかと感じたのです。
弱い豆に養分を詰め込んで太らせた豆じゃあないだろうか・・・・
人間の都合でつくったもんじゃあないだろうか・・・
そんなことをちょっと考えてしまいました。
まぁ・・・・楽に越したことはないですが・・・・

においセンサーを使って実験

においセンサー本体

においセンサーとは

においセンサーというのは、本体内部に吸引ポンプを持っています。
そのポンプが一定のスピードで空気を吸うようにできています。
吸った空気がセンサー部分を通るときにセンサーに香りの粒子がついて電圧変化を生じます。
その電圧の強弱を表示しただけの装置です。
ですから、においの質とかは人間の鼻に頼ることになります。
ただし、においの強さに関してはにおいセンサーの数値はけっこう信頼性があるように感じました。
この装置を使って、焙煎による香りのでき方や保存方法による劣化のスピードなどいろいろと実験ができると思います。
ただし、そのためには同じ条件で実験できるように、それ専用の治具をうまくつくるかが重要になると思います。 もし、この実験がうまくいけば焙煎の良し悪しを評価するのにけっこう役立つ可能性を持つと思います。

実験装置

実験の方法

コーヒー豆を20g 透明容器に入れます。
この容器の構造はけっこう簡単な構造です。
(もともとは、砂糖入れ)
まんなかにあるパイプは容器の底近くまで達していてそのまんなかのパイプ部分から においセンサーで空気を引っ張る構造になっています。
そして、容器の上の方に2mmほどの空気取り入れ口となるあながあいているだけです。
つまり、においセンサーを動かすと上部にある空気取り入れ口となっている小さなあなから 空気が容器内に流れ込みます。
そして、コーヒーの豆の隙間を通って底近くまで伸びているパイプを通ってにおいセンサーのほうに 送られることになります。
そして、においセンサーからでてきたデーターは、コンピューターの方に送られてグラフを書くわけです。

実験の方法の改良

コーヒー屋でコーヒーのかおりをセンサーでひろう場合、どうしても困ることがあります。
それは、実験をやる室内にコーヒーの香りが充満しているのです。
ですから、連続して実験するときにはセンサー豆をはずしたときに値が下がるのに時間がかかってしまうのです。
そこで、今回考えたのは空気を取り入れる口の部分に活性炭のタンクを設け、その活性炭のタンクを通った空気が コーヒーのはいったタンクの中に入ってにおいセンサーの方へでていくようにしました。
これならば、コーヒーの香りで充満しているときでもそうでないときで同じ条件で実験できますから・・・

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

過熱水蒸気とクリンカーについて

焙煎機のクリンカーについて
焙煎機の煙突は必ず綿状のクリンカーが生じます。
これは、コーヒー豆からでた細かいちりなどを核として糖分や油分がツリー状に結晶化して 煙突の内側表面にびっしりと積もります。
だいたい、焙煎を300回程度おこなうとだいたい1cmぐらいの厚さになります。
つまり、煙突の直径が2cmほど小さくなって排気の能力が大幅に減少することを意味します。
それと、この綿状クリンカーは燃えやすく(主成分は油)燃えたチャフが煙突に飛んでいったり、 焙煎時に煎りすぎて豆に火がついたときなど煙突内が高温になってこのクリンカーが燃え始めると 手がつけられないぐらいの炎をだすことになります。
今回の過熱水蒸気の特性でこの綿状クリンカーの除去が可能となる可能性がでてきました。
(実は、まだ研究の途中だったりする・・・・・・)

煙突のL部分

煙突のふた部分のアップ

煙突内を調べる

写真のL部分は、サイクロンから立ち上がって最初の曲がりの部分です。
この部分のふたを取って、この部分のクリンカーの状態を調べてみます。
(この部分は、ふたになっているので調べやすい)
もともと、最初に発生するのは綿状のクリンカーと考えています。
その綿状のクリンカーが、高温の状態で蒸気があたると綿状のクリンカーが水に溶けて タール状のクリンカーに変化します。
それにつれて、クリンカーの体積が大幅に減少します。
(綿状の部分とタール状の境界部分では綿状のクリンカーがタール状に変化しているのがわかる)

外の煙突の曲がり部分

煙突内のクリンカー

煙突内のクリンカーのアップ

外の煙突部分のクリンカー

そとにでている煙突は、当然ながら室内の煙突よりも温度か下がっています。
その分、蒸気が水に変わりやすくなっています。
そのため、外の煙突のクリンカーの方がタール状のクリンカーに変化している率が高くなります。
ちなみに、まんなかの写真は煙突の垂直部分の下からストロボを使わずに撮影しました。
黒く写っているのがタール状クリンカーでこぶのようにでっぱっているのが綿状クリンカーです。
この状態でずーーっと焙煎していくと綿状クリンカーは すべてタール状クリンカーに変化していくものと思われます。
ついでにいうと、この部分の掃除は半年以上掃除していません。
(自慢になりませんが・・・・・)
左の写真は、クリンカーのアップです。
写真よりも実際には、タール状に変化しているクリンカーが多いです。
(写真だと「こぶ状」のクリンカーが目立ちますが実際はそれほどでもありません)

結論

サイクロンの内側の筒状の部分では、タール状のクリンカーとなっていない
それに対してサイクロンの外側の壁部分では、タール状のクリンカーが一部生じている。
そして、タール状のクリンカーは、外の煙突の方が多く生じている。
この状態からすると、過熱水蒸気サイクロン部分では、高温のため水に戻ることがなく 外の煙突や煙突の曲がりのように空気の流れが乱れたところで蒸気が水に戻って 綿状クリンカーを溶かしてタール状クリンカーに変化させているんだと思う。
そのため、煙突の出口に近くなるほどタール状に変化するんだと思う。

とりあえず、タール状クリンカーは、綿状クリンカーに比べて体積がおおきく減少し 燃えにくく、煙突の効率を下げることを防ぐことができることがわかりました。

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

ひいた瞬間に発生するガスの量をはかる

以前のガス捕獲装置

今回のガス捕獲装置

ガス吸引弁

ひいた瞬間どれだけガスがでるか

この実験は、以前もやったことがあります。
今回は、ちょっとバージョンアップした形にしました。
それは、挽く部分が取り外しのできる岩谷のミルサーを使ったことで、 挽く部分の気密性をあげたのです。
それと、ガスの量を測るメスシリンダーに水を簡単に詰めることができるように メスシリンダーの底に吸引用の弁をつけました。 ポンプで手軽に吸引してメスシリンダー内を水で満たすことが可能となるわけです。
これにより、実験の準備がめちゃめちゃ簡単になって手軽に実験ができるようになりました。
これによってやりたいのは、焙煎時にどのタイミングでガスをコーヒー豆が持つかを定量的に調べたいと思います。

実験データー・ 6/8  ・ くず豆 ・ 50g ・ 30秒

通常・・・3分後から7分間蒸気を送る
全工程・・投入から終了まで蒸気を送る

温度時間(通常)ガスの量(通常)時間(全工程) ガスの量(全工程) 
14511:5615cc10:24 10cc 
15512:3215cc12:06 20cc 
17515:1070cc14:55 70cc 
18516:10110cc15:50 110cc 
終了 18:00190cc17:45 190cc 

蒸気を「全工程」で送ったものと「蒸らし」だけに送ったものとの差を調べる

焙煎の方式は、まったく同じ状態でやりました。
その中で変化させたのは蒸気の送っている時間の違いだけでした。
ぼくの予定では、全工程蒸気を送るとはぜないはずなんですけどねぇ・・・
くず豆でなくいい豆を使ってもう少し、蒸気を送る時間を煮詰めてみたいと思います。
味に関しては、くず豆だったので余り詳しくはかけませんが、蒸気を全工程で送ったものは 苦味がでないようでした。
それと、いやな穀物くささやかび臭さまでが消えていて、 なんか飲めるじゃん!と思いました。
それに対して、現在の過熱水蒸気の送り方だと明らかに味がしっかりしていて いゃな味までしっかりとでています。
(たぶん、煎る段階の蒸気が化学変化の妨げになったんだと思う・・・単なる予想ですが・・・)

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

マルヤス工業試作2号機

過熱水蒸気発生装置本体

蒸気分岐バルブ付近

排水ドレン付近

本格的な実験を始める
マルヤス工業から用意された試作機は、一分間に25ccの蒸気を作り出す能力がありました。
その試作機に、ぼくのつくった制御盤を接続して試験を始めることにしました。
この機械のよさは蒸気に圧力があるので三方バルブが使えるようなったことです。
ぼくが、最初につくった加湿器の改良版は蒸気の分岐はできるんですが残念ながら蒸気に圧力がなかったのです。
それに対してこの機械は蒸気に十分の圧力があったので、蒸気を焙煎機の釜の方へ送ったり煙突の側に送ったりの実験が 結構簡単にできたのがよかったです。
試験機としては使いやすかったしいろいろなデーターどりに活用できました。
どのタイミングでどれだけの蒸気を何分間送れば適切か・・・
これがわかれば焙煎の職人芸が数値化できる可能性を秘めていると思いました。

釜内に蒸気を送り込むパイプ

排気ファンに蒸気を送るパイプ

蒸気の噴出し口について
蒸気の噴出し口は釜内に送り込むパイプと煙突の方に直接送り込むパイプとあります。
蒸気は基本的に「蒸らし」の段階に送ると効果がでます。
(煎る段階まで送ると逆効果)
それ以外のときには、蒸気を直接排気ファンのほうにパイプで送り込み煙突から外へ排出させます。
なぜ、「蒸らし」の時以外、蒸気が不要なときに煙突の側に送っちゃうかといいますと ふたつの理由があります。
蒸気を室内に排出すると部屋の湿度が上がってしまって煎る段階では、その湿度が煎るのを邪魔してしまうのです。
つまり、「蒸らし」の段階では、湿度はあったほうが非常に役立つんですが、そのあと「煎る」段階になると 残念ながら邪魔になってしまうのです。
そのせいか、焙煎という作業では湿度はコーヒーの味を左右する重要な要素となるわけです。
梅雨時のように湿度の多いときは「蒸らし」は結構うまくいくんですが、「煎る」段階で失敗してしまうのは この湿度というものを理解していないことに依存しています。
逆に、冬などの湿度の低いときには「蒸らし」はうまくいかないけれど「煎る」段階ではうまくいくことになるのです。
もっと、掘り進めると焙煎機のドラムの長さが長いタイプと短くて直径が大きいタイプでは、焙煎機の性質が大きく違ってきます。
ドラムの長さが長くて直径が小さいタイプは「煎る」のは得意ですが「蒸らし」が苦手です。
逆にドラムの直径が大きくて長さがないタイプは「蒸らし」は得意ですが、残念ながら「煎る」のが苦手となるわけです。
オールドクロップのように「煎る」のが中心だった昔は、ドラムの直径が小さくて長さが長いタイプのほうが コーヒーがじょうずに焙煎できたと思います。
(この湿度の特性を理解すると、どんな土地でもどんな焙煎機でもとりあえずは使えるはずです)

もうひとつ、蒸気を煙突に送る理由は煙突にたまる「クリンカー」なのです。
通常焙煎機の煙突というのは、綿状の「クリンカー」がたまります。
この綿状の「クリンカー」は、細かいちりを核にして油分や有機酸などが煙突内で温度が下がって析出しツリー状に 成長していきます。
それが、煙突の内側にびっしりと積もっていくわけです。

この「クリンカー」は、270度以上に達するとで引火しやすくなりますからたまたま、チャフなどに火がついた状態で 煙突までいってしまったりすると煙突内の「クリンカー」が一気に燃えることになるわけです。
実は、蒸気を送り込むと本来綿状の「クリンカー」になるはずのものがタール状の「クリンカー」になってしまうのです。
この状態だと、綿状の「クリンカー」と比べると非常に体積が減ってしまって煙突を詰まらせるまでの期間が長くなってくれることと 物理的に燃えにくくなってくれるという特徴をもっています。
ついでにいうと、蒸気を排気に混ぜてやると本来煙といっしょにサイクロンを抜けて煙突に送られるはずのちりの一部は 蒸気のために重くなってサイクロンで落っこちてくれるという効果もでるのです

釜内湿度測定装置付近

湿度センサーのアップ

釜内湿度記録計

焙煎機内の湿度を測定する
焙煎している最中は、当然200度前後まで温度が上がっているわけです。
(まぁ・・・あたりまえですが・・・・)
実際に蒸気を送り込んでいる間は、どの程度の湿度上昇があるのだろうか・・・
たぶん、コーヒー屋さんなら誰もが考えることではないでしょうか・・・
このことをマルヤス工業の溝田君にいうと、それにちょうどいいようなセンサーをみつけてきてくれました。
(はっきりいってこの測定器は、一ヶ月のリース代がめちゃめちゃ高かったらしい・・・)
焙煎機内の湿度のはかりかたですが非常に簡単な方法をとりました。
焙煎機に穴をあけてそこから一定量だけ空気を抜きます。
(ここでは、真空ポンプで決まった量づつく空気を抜いていた)
なぜ一定量だけ空気を抜くのが大事かというと排気ダンパーのを変化させたときにセンサー部分に 送られる空気の量が変化するのを防ぐためです。
真空ポンプで空気を抜いて湿度をはかるとめちゃめちゃきれいなグラフがかけるようになりました。
この装置をつかって、一番の成果はなんといっても「いちはぜ」の重要性です。
焙煎という作業でコーヒーは15%前後の目減りを起こします。
(中煎りぐらいでの話)
その水の抜け方というのは最初の「蒸らし」で約7%が消えます。
そして、あとの7%ぐらいがこのはぜのときに一気に消えるのです。
ですから、湿度センサーの数値は必ず「はぜ」に合わせて針が大きく振れるのです。
ちなみに、そのはぜ手前の焙煎度合いの豆は、煎ったコーヒーのだすガスの量が極端に少ないのです。
ついでにいうと「2はぜ」の時には、湿度計の針は余り振れませんでした。
・・・・・・・・・・・・・
蒸らしに要した10分間に抜ける水の量とたった1分か2分の「はぜ」の間に抜ける水の量が等しいのには ちょっとびっくりしました。

水分計

余り役に立たなかった水分計
期待しながら余り役に立たなかったのが水分計です。
水分計は、豆を一定量セットするとゆっくりと加熱して水分を取って 最初の重さとの差を計算するといういたって簡単な装置です。
ぼくと、溝田君の予定では焙煎途中で豆を取り出して水分計で 水分の含有量をはかっていけば、どの時期にどれくらいの水分が抜けているかが わかると思ったのです。
しかし、コーヒー豆の焙煎はめちゃめちゃデリケートで あまりきれいなデーターにならなくてあきらめてしまいました。
結局、その実験ではほんちゃんのコーヒー豆を途中まで焙煎した途中に落として冷却して 実際にどれだけ減ったかを調べる方法をとることにしました。
この方法は、コーヒー豆のロスはでますが結構0.2g単位のはかりで測定すると 結構の精度ででてくれるのです。
この方法が確実で、現実的だと思いました。

こんな感じの装置を使って過熱水蒸気の研究をしました。
実際に実験した時のデーターもどんどんのせていきます。
なぜ、ぼくが過熱水蒸気という技術に魅力を感じたかとかが だんだんわかってくると思います。
まだまだ、この技術は研究途中ですが、とりあえずマルヤス工業とぼくとの 共同特許までこぎつけたので、安心して実験結果を公開していくつもりです。
(基本概念の特許ですから・・けっこう範囲が広いんです)
興味がありましたら、メールで質問してください。
わかることならばお答えします。

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

マルヤス工業試作一号機

本格的に過熱水蒸気を実験する

最初にぼくが実験に使っていた蒸気発生装置は単なる加湿器でした。
そのあとマルヤス工業が過熱水蒸気発生装置をつくってきてそれを使って実験しました。

マルヤス工業がつくった試作機

最初の試作機はヒーターをボリュームで調整して水を霧状にして送り込む部分を 制御できるものでした。
はっきりいってめちゃめちゃ電気を食うわ水を送るのを忘れちゃうとパッキンが燃えちゃうわで 大変でした。
この当時は、蒸気を焙煎機内に送っていないときは全部外に排出していてなんか強力な加湿器が動いているようでした。
ちなみに、制御回路はぼくが使っていた加湿器用のものをつかっていました。
(写真・焙煎機の隣に取り付けた蒸気発生装置)

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

過熱水蒸気との出会いについて

なぜ過熱水蒸気にハマッタか
なぜ、過熱水蒸気にはまったかというと、広島にある「”I”商会」という会社から 過熱水蒸気を使って焙煎したコーヒーをもらったのが始まりです。
そのコーヒーは、煎りむらもすごく豆もはぜた感じもなく、まったくだめな感じでした。
(よそのコーヒー屋さんにもいわれたらしい)
ただ、豆を切ってみると豆の水分だけはきれいにぬけているなぁと感じました。
(豆の水分の抜き方のうまいかへたかで焙煎は決まるといっても過言ではないとおもっています)
そして、「”I”商会」からちょっとした過熱水蒸気に関する資料をもらいました。
それを読んでいてもしかしたら・・・と思いました。
それは、過熱水蒸気の持っているいくつかの特性でした。

乾燥逆転温度・・170度以上に達した場合、乾燥空気よりも湿度の高い空気のほうが乾燥能力がある
膜凝縮伝熱・・・・乾燥空気よりも湿度の高い空気のほうが10倍ほど熱伝達能力がある
過熱水蒸気を使うと成分が壊れにくく飛びにくい。

などの特性があるのです。
過熱水蒸気の特性を焙煎という作業に当てはめてみるとけっこう類似性があることに気づいたのです。
そして、直感として感じたのが、焙煎機の内部の湿度の変化なのです。
通常焙煎という作業では、豆を投入してからしばらくの間は排気を絞って釜の中の湿度を上げるようにします。
(これを「蒸らし」といいます)
豆が投入されて豆の温度が下死点に達したころの排気温がちょうど乾燥逆転温度と一致するのです。
つまり、ぼくたちコーヒー屋というのは過熱水蒸気なんてものを知らなくても 過熱水蒸気の特性をなんとなく使っていたということなんです。
普通に焙煎する場合などは、釜の内部の湿度を上げる要因としてはガスを燃焼した時の水と 空気を取り込んだときの湿度と豆からでる水分だけだったわけです。
それを強制的に水蒸気を送り込むことにより水の抜けにくい豆の蒸らしなんかに効果があるんじゃあないかと考えました。

焙煎方式による弱点

熱風式
この方式は、大量の熱風をボイラーでつくっておきそれを豆のはいったドラムに送り込み焙煎する方式です。
豆一粒にたいしてまわりにある熱風の温度は低く豆の表面から熱が入り込もうとする力は弱いが、変わりに 大量の熱風でそれをカバーするようになっています。
熱風の温度が低ければ焦げることが少なくで失敗の少ない方法といえます。
そのかわりに、大量の熱風を送り込むために成分が飛びやすい欠点も同時に持っているといえます。
湿度という考え方では釜内部の湿度は上げにくく成分のロスが多くなる可能性をもつ方法といえます。
ですから、このタイプの焙煎機の特長は飲みやすい無難なコーヒーをつくるのには向いています。
(飲みやすいんだからいいじゃん!・・そのとーーり)
どちらかというと、コーヒーを商売として考えている商売屋さん向けの焙煎方法といえます。

直火式
この方式は、欠点が多いです。
バーナーの炎を直接豆に当てるために焦げやすいのです。
排気を強くすれば、ドラム内の温度差が大きくなり煎りむらの原因にもなります。
ただし、この方法には唯一いい部分があるのです。
それは、熱風式と違い成分を残しやすいのです。
炎は、高温の熱風と考えると豆の表面から入り込もうとする力は強いのです。
(温度のはいりやすさは、温度差に依存するから・・あたりまえですが)
つまり、排気を弱くしても豆に熱を送り込むことができることになります。
それと・・・「蒸らし」という独特の手法を使って釜内の湿度を上げることができるのです。
ただし、この排気の操作を誤るとコーヒー豆の水が逆に抜けなかったり本来起こるはずの化学変化がおきなかったりして コーヒー豆がめちゃくちゃになる可能性を秘めているわけです。
昔から、焙煎が職人技といわれたのはこのためです。
非常にマニア向けで味で勝負するコーヒー屋さん向けの焙煎方法といえます。

今回研究している過熱水蒸気はどちらかというと直火式の方を中心に研究しました。
なぜかというと理由は簡単で直火式の焙煎機しかうちの店にはないからです。
(非常にまぬけな理由だなぁ・・・・)

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

ピトー管式風速計をつくろう

ピトー管とは・・・・空気の流れに対して真正面の穴からひろった圧力と
流れと平行にあいた穴との圧力差を利用して風速を測定する装置です
(別に空気の流れだけをはかるわけではないですが・・・)
煙突などの高温に達する部分でもはかれるのが非常に都合がいいです

ピトー管本体
(右の管は横に2.4mm の穴が4ヶあいている)

ピトー管のつくり方2本の管を90度に曲げます
1本はそのまま使います(写真では左側)
ちなみにこちらの管が流れに対して真正面の穴になります
もう1本の管の先端に詰め物をしてふさぎます
そして管の横にてきとうに小さい穴を開けます(写真では右側)
こちらの管が流れに対して平行な穴になります
この写真では左から右に風が流れる感じになります

ピトー管・・取り付け位置

ホッパーとダンパーの間にピトー管を取り付ける
ダンパーのあとのエルボーを通った後のまっすぐな煙突に
ピトー管を取り付けたらけっこういい数字がだせなかったんです
風速計を取り付けてもいい数字にならなかったのでいちばん実績のある場所に
ピトー管を取り付けて実験することにしました
ちなみに・・・ダンパーの側が流れに対して垂直の穴を担当しています
そして・・・ホッパーの側が流れに対して平行な穴を担当しています
(加工ができれば1本でつくるんですけどねぇ・・・)

風速計 (3kg釜・風速 m/s)

排気ダンパー
ファン風速(m/s)2.02.83.64.55.56.37.07.47.5
熱線風速(m/s)2.13.24.25.26.26.87.57.87.8
ピトー管・差圧(pa)5913182530343840
ピトー管・風速(m/s)2.93.84.65.46.47.07.47.98.1

実際に計測したデーター
ファン式風速計・・・・・青色
熱線式風速計・・・・・・赤色
ピトー管式風速計・・・黄色

測定結果について青色の折れ線グラフがファン式の風速計で測定したものです(単位はm/s)
赤色の折れ線グラフが熱線の風速計で測定したものです(単位はm/s)

同じ位置にピトー管を取り付けて差圧を測定してみました(単位はpa)
そして、その数値を下の式に代入すると・・・・
風速(m/s)=1.2773√ピトー管・差圧(pa)
ピトー管による風速が計算できます
風速計の数値とピトー管の数値がけっこういい感じになっているので・・・
信用してもいいと思っています

これで焙煎中の排気もすべて把握できると思います

風速計 (3kg釜・風速 m/s)
火ありは、ガス圧200にて釜温度200度前後にて測定

排気ダンパー
火なし・差圧(pa)61014212935414747
火なし・風速(m/s)3.14.04.85.96.97.68.28.88.8
火あり・差圧(pa)5812152228343737
火あり・風速(m/s)2.93.64.44.96.06.87.47.87.8

実際に計測したデーター
火なし・風速(m/s)・・・・・青色
火あり・風速(m/s)・・・・・赤色

煙突効果とファン効率の減少
焙煎機には煙突がついています
当然・・・煙突は温度差をエネルギーにして働きます
となると・・・焙煎機は温度が上がるほど排気が強くなるはずです
しかし・・・実際にはかってみると煙突効果よりも高温による
ファンの能力減少の方が大きいようです
データーをみた感じでは約一割ほど減少しているようです
もっというと・・・
煙突効果よりも風によって起こる負圧のほうが・・・
よっぽと深刻な影響を焙煎に与えると思います

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

微差圧計を考える

排気ファン付近の圧力を測定・・A

排気ダンパー手前の圧力を測定・・B

排気の吸い込み口の圧力測定・・C

サイクロンの圧力測定・・D

マノスターゲージを焙煎機に使う
マノスターゲージというのは・・・2ヶ所の圧力差を測定する装置です
つまり・・・ひとつを開放にしておくと大気圧との比較となるわけです
A・・・排気ファン付近は、排気の原動力となる部分です
B・・・排気ダンパー手前付近は、ダンパーの開閉で大きく変化する部分です
C・・・排気の吸い込み口付近はほとんど大気圧になります(ただし大気圧ではない)
D・・・サイクロンの圧力はファンの風と煙突効果の引っ張りの合計となります(火が入らなければ必ず正圧)

実際の測定・(3kg釜・バーナーなし・mmH2O)

排気ダンパー
A・・・排気ファン付近-16.5-15.5-14.9-14.0-13.0-12.2-11.5-11.5-11.0
B・・・排気ダンパー手前-0.6-1.0-1.4-1.9-2.9-3.6-4.2-4.6-4.7
C・・・吸い込み口付近-0.1-0.1-0.1-0.2-0.2-0.25-0.25-0.3-0.3
D・・・サイクロンの圧力+3.4+3.8+4.0+4.2+4.8+5.0+5.4+5.6+5.6
A-B・排気ファン-排気ダンパー-15.5-14.5-13.5-12.0-9.5-8.0-7.0-6.0-6.0

排気ダンパーとマノスターゲージの関係
(バーナーに火がはいるとどうなるか)

排気ダンパー
B-C・火なし0.50.91.32.02.83.54.04.44.5
B-C・火あり0.50.91.31.92.63.33.84.04.1
B・火なし0.61.01.42.13.13.74.24.64.7
B・火あり0.30.71.11.62.33.13.63.94.1

マノスターゲージの取り付け位置を考える
マノスターゲージは2ヶ所の差圧を測定する計器です
片側を開放状態にしておけば微圧や微真空計となります
排気ダンパーの手前(B)が一番焙煎機の排気との関連がとりやすいと考えます
問題となるのはどことの差圧をはかるかです
開放にすれば大気圧との差圧となります
しかし、焙煎機内と大気圧では温度差が大きく条件が大きく変化します
そこで実際にどことどこの差圧を測定したときが
バーナーに火を入れたときと火をいれないときのデーターが似るかを試してみました

B-Cと接続

赤がB-C・火あり
青がB-C・火なし

X軸・・・ダンパー開度
Y軸・・・排気圧(mmH2O)

B・片側開放

赤がB・火あり(片側開放)
青がB・火なし(片側開放)

X軸・・・ダンパー開度
Y軸・・・排気圧(mmH2O)

グラフの解説焙煎機の排気をマノスターゲージによって計る場合・・・
気をつけねばならないのはバーナーに火を入れて釜が温まると釜内に
熱風を送り込むだけ正圧になります
(ただしダンパー手前はファンによって吸われているので負圧)
その分・・火を入れたときと入れないときでは誤差が生まれます
(誤差を理解して使う場合はかまいませんが・・・)
そして、実験の結果・・・・
排気ダンパーの手前(B)と吸い込み口付近(C)をマノスターゲージでつなぐと
バーナーをつけたときと消したときのデーターの誤差が小さくなる
まぁ・・・これって珈琲屋以外の人には全く役立ないですけどね
ちなみに焙煎機の排気 2で
マノスターゲージと風速の関係も実験しています
あわせて参考にしてください

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

連続焙煎を考える

連続焙煎とは・・・
小型の焙煎機は、排気ファンと冷却ファンがいっしょです
つまり、焙煎したコーヒー豆を冷やすためには切り替えダンパーを冷却側にして
ファンを切り替えていました
そのため冷却している間は、次の焙煎ができないということになります
そこで、排気用のファンと冷却用のファンを単独で持てば連続焙煎が可能になるわけです
しかし、そのためにはサイクロンがもうひとつ必要になったり・・・
煙突をもう一本ださねばならなかったりで結構大変でした
たまたま「T」さんと「H」さんと話していて・・・
本当に単独ファンをつけなければ連続焙煎ができないのか試したくなりました

(写真・排気ダンパー)

(写真・切り替えダンパー)

排気用ファンだけで連続焙煎するには・・・
基本的に冷却しているときに焙煎機の側からどれだけ空気が引っ張れるかが鍵となります
つまり、蒸らし程度の排気を冷却しながらできれば連続焙煎が可能であるということになります
そして、その状態でも煎った豆がスムーズに冷やせる程度の能力があれば可能ということになります

排気ダンパーに取り付けた風速計

実際に測定する生豆を4kgいれた状態で排気をはかる

排気1排気2排気4
7.6km/h9.7km/h15.8km/h

切り替えダンパーを焙煎の側にした状態で測定しました
これが通常の焙煎機の排気であると考えて間違いないと思います
つまり、この風速を切り替えダンパーで冷却状態のときに作ることができれは連続焙煎が可能となるわけです

生豆を4kgいれた状態で排気をはかる
冷却機に 3.2kgの煎り豆をいれる
(かくはん状態)
排気ダンパーは全開
切り替えダンパーを冷却側より1目盛りづつずらす

切り替えダンパー・1切り替えダンパー・2
8.0km/h (4.7km/h)11.3km/h (8.8km/h)

連続焙煎を想定して測定する
この状態は、通常の冷却を想定しています
つまり、焙煎後のコーヒー豆が冷却機にはいった状態で
次の豆が本体に投入されれたときの風速を測定したものです
このときにポイントとなることは冷却機の底の穴がみえない程度の
コーヒー豆があることが必要です
これは、穴がみえる状態だと空気がそこから流れてしまって豆の冷却に使われないのです
それと同時に、排気ファンの減圧が弱くなって焙煎機側の排気が弱くなってしまうのです
ちなみに・・かっこ内の数値は冷却機に豆がまったくはいってない状態です

単独ファンを使わずに連続焙煎が可能かについて・・はっきりいって、通常の焙煎機でも連続焙煎は可能です
そして、冷却も問題なく冷えます
慣れてしまえばそれほど難しくありません
ただし、火力は相当下げる必要があります
これは、釜が温まるために使われる熱量が必要なくなるからです
ただし、これも数回、焙煎すればコツがつかめると思います
あとは、スポットクーラーを冷却機にずーっとあてておくとベストです
これは、冷却機が冷える時間が不足するのを補填するためです
ただし、これは単独ファンがついていても同じことがいえますからなくても可能です

ちなみに・・これはぼく個人の意見です
試すかどうかは自己責任でやってください