電動ロースターの改造

知り合いのコーヒーマニア・・・・「S」くんが、焙煎機をもってきました。
(なぜか彼は・・ゴールデンウィークに遊びにくる・・・)
その焙煎機を、テキトーに改造してあげることになりました。
それは・・・20年ちかく前にみたことのある電動の焙煎機でした。
いゃあ・・・なつかしいなぁ・・・
そんな古い機械が現役で動くなんて・・・
ちょっと感動です

(写真・温度計と排気シャッター)

(写真・排気シャッターのアップ)

今回の改造・・排気口付近
この焙煎機は、排気口部分に触媒があってその触媒をその下にあるヒーターであたためて 煙を消すシステムになっていました。
しかし、残念ながらもう触媒は腐っちゃったらしくなくなっていました。
ですから、この排気口をふさぐことにより釜内で熱や湿気がこもった状態(蒸らし)を つくりだすことにしました。
実際にそれだけだとおもしろくないので、温度計も試しにつけてみました・・
(あまり・・意味がなかった・・・)
今みると・・・この機械の欠点なんかもわかるもんですねぇ・・・・
この排気口部分の触媒を動かすためには250度ぐらいの温度か必要なんです。
そのぐらいの温度にならないと煙が消せないのです。
そのためにこの排気口部分の真下にヒーターを組み込んである・・・
これは、非常に理にかなっているんですが・・・・
焙煎を考えると疑問を感じるんです。
回転するドラムによって豆をかくはんする場合・・
豆がどうしてもかたまってしまう・・・
ヒーターが上についているこの機械は、ヒーターのだす遠赤外線によって焙煎しようとします。
豆は、表面にでている豆だけ強力な遠赤外線で熱せられて、下に隠れている豆は熱が伝わらなくなってしまうのです。
普通に、下にヒーターをつければ遠赤外線の効果もヒーターの熱によってでる熱風の効果も焙煎に使えていいはずなのに・・・
この機械は、焙煎することよりも何が何でも煙を消すことに力を入れちゃったんですねぇ・・・
この機械を改造していてそんなことを感じました・・・
とりあえず・・・排気口をふさげは・・・釜の中の温度が上がるから何とかなることでしょう
(けっこう・・・・いいかげんな感じですが・・・・)

(写真・吸気口付近)

(写真・吸気口のアップ)

今回の改造・・吸気口付近
この機械は、もともと排気を強くする気がないのです。
つまり・・・
触媒を使って煙を消す場合・・・・
大量の低温の煙ではいくら触媒で燃やそうと思っても無理なのです
そこで、この釜は吸気口が極端に少ないのです。
これでは煙が大量にでてきた場合に排気が追いつかなくなります・・・
そこで、適当に穴をあけて吸気量を増やすように改良しました・・・
これにより、排気ダンパーを開ければ強い排気も可能となります。

いゃあ・・・今回は時間がなかったので中を分解してじっくりとみれなかったのが残念です。
それにしても・・・・
20年前だったら・・・この機械はけっこういい機械だと思います。
そのころは、排気で味をつくるという考え方がまだなかったため
とりあえず、煙を消すことに極端にこだわってしまったんでしょうねぇ・・・
それが、実感できました・・・・
いい勉強になりました・・・

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

焙煎時の水の抜け方

焙煎をやっていて、どの時期に豆から水が抜けるかを調べてみたくなりました。
といっても、業務用の焙煎機をはかりにのせて焙煎するわけにはいきません・・・
そこで、「I」さんの持っている焙煎機を使って実験することにしました。
ただし・・・「I」さんの焙煎機は、5kg以上あって・・・・
そのまま、はかりの上に焙煎機を載せて焙煎することができません。
そこだけ・・・ちょっと工夫が必要でした。

(写真・上から天秤でつる)

(写真・シーソーを利用する)

(写真・支点を変更する)

実験方法
今回は、焙煎機が5kg以上あってそのままはかりにのせてはかれませんでした。
(はかりの最大が5kgのはかりだから・・・・)
そのため、はかりの重さを減らすためにいろいろと工夫しました。

上から天秤でつる
この方法では、反対側のおもりがゆれたりするだけはかりの数値が変化してしまって はかりの数値を読むのがむずかしく失敗でした。

シーソーを利用する
この方法は、そのままはかりの数値が利用できていいのですが、焙煎機が回転したときの重心の変化が ダイレクトにはかりの数値に反映されてやっぱり失敗でした。
とくに・・・・ほんの少しの重心の変化がそのままはかりの数値にかかわってしまって非常にやりにくかったです。
そして、おもり重さも影響するなど実験の再現性が大変だと思いました。

支点を変更する
この方法は、おもりを使わず支点を外側に持っていってはかりを反対側の端にセットして 焙煎機を板の真中に持っていくことにしました。
この方法では、はかりの精度は半分に落ちますがけっこう重心の変化の影響が少なくて実験しやすいと思いました。
もともと、1/10gの精度のあるはかりですから半分の精度でも大丈夫だと思いました。
(この装置が今回の実験で使った方法です)
ちなみに、片方の端に支点・まんなかに焙煎機・もう片方の端にはかりを置くと重さは半分となります。
(よく考えればあたりまえなんですけどね)

実験方法・・・
・100gのコーヒー豆を焙煎機にいれてドラムを回転させた瞬間のはかりの数値(W)を調べます。
・5分後のはかりの数値に100/(W)を掛けます。これがそのときの豆の重さとなります。
・10分後・15分後も同様に計算します。

品 名モ カコロンビアモ カコロンビアマンデリン
 0分- 5分4.34.93.54.44.4
 5分-10分7.36.67.95.86.7
10分-15分10.35.88.37.56.7
 合 計21.917.319.717.717.8

焙煎と水の抜け方について・・・
本来・・・たった5回の実験で答えをだすべきではないと思いますが・・・
とりあえず、わかったこと
最初の5分間は、あまり水が抜けない
一番水が抜けるのは、10分から15分のところで、これは「はぜ」による水分の放出が行われるためと思われます。

こんな解釈では、あまり面白くないので・・・
勝手に飛躍した解釈・・・を少し・・・
ここで使った「モカ」はエチオピア・デルガーゴという国連コーヒーを使いました。
この「モカ」だけか非常に水の抜けがいいように思います。
これは、焙煎しやすさと関係がありそうです。
つまり・・・いわゆるスペシャリティコーヒーにはこの「モカ」と同じ傾向がでるかもしれません。
もし・・その傾向がでるとしたら・・栽培によってその性質がでたということになります。
ただ・・・残念なことにうちの店がスペシャリティを扱っていないのてそこまでは実験できませんでした。
どのコーヒーも、最初の5分間は水が抜けていないようにみえます。
つまり、その5分間にコーヒーの成分が飛ぶということを心配する必要はないと思います。
この段階では、「水を抜く」だとか「蒸らし」だとかを考えずに豆全体の温度を上げることに専念すればいいと思います。
まぁ・・・だいたい予想していたような実験結果でした。
(びみょうに・・・つまらんかったりして・・・)
もっと、回数を繰り返して誤差を消していけばもう少しきれいな数字になると思いますが・・・・
ぼくてきにはこの程度の数字でもう・・・いいかなぁと思っています。
(けっこう実験が大変なもんで・・・・・)

再度挑戦!

今回は、「アイ・ロースト」という焙煎機を使って実験しました
この焙煎機は、重さが2.1kgしかないのでMax5kgで精度が0.2g単位のはかりにのせて焙煎することができます
つまり、一分ごとの重さの変化も調べることが可能となります
そして、焙煎機の欠点は排気の噴出し口が真上に向いていてことです
そのため排気を横に逃がしてやらねばはかりの数値が大きく変化するという欠点が発覚しました
(まぁ・・・たいした問題でもなかったんですが・・・)
次に問題となったのが、この焙煎機が持っているしょーもない焙煎プログラムでした
こっちの思うように動いてくれなくて非常に苦労しましたが大雑把な数値をつくるには十分だと思いました

実験方法 
・焙煎機があったまった状態で130gのコーヒー豆を入れる
・「焙煎パターン・1」の状態で焙煎時間を10分にセットする
・1分づつではかりの数値から目減りを計算する
(写真・はかりの上で焙煎させる)

時 間0-11-22-33-44-55-66-77-88-99-10目減り
モカ2.23.22.43.24.42.82.21.42.44.223.5%
マンデリン1.62.42.24.64.82.01.01.21.83.422.0%
コロンビア1.82.02.03.24.22.21.21.61.63.420.6%
水洗・コロ2.62.22.23.83.62.82.22.21.82.020.1%

(目減りは冷却後の重さから計算しました)

1分間に何グラム目減りするかを
調べたグラフ

「X軸」はかかった時間(分)
「Y軸」は目減りした量(g)

グラフの考察

どの豆も4分から5分のところで1はぜかおきました
(通常・・そんなにはやくはぜさせちゃあだめですけどね・・・)
どの豆も1はぜの部分で大きく目減りをしているのがわかります
これは、1はぜで大量の水が抜けたためです
(1はぜは、水が蒸気に変わるときの圧力でおこる)
9分から10分の目減りはコーヒー豆の表面に油が浮き出るぐらいの煎り加減で 大量の煙が発生しました
たぶん・・・燃焼によってコーヒー豆の成分自体が減少したんだと思います
あと・・豆がやわらかい熱の通りやすい豆(モカ)は、最初の3分間も目減りが活発です
後半部分も安定して目減りしています
それに対して、コロンビアは最初の3分では目減りが緩やかです
このような豆が硬くて焙煎がしにくい豆と考えていいように思います
あと、マンデリンが3分から5分の2分間、目減りがありました
これは、だらだらっとはぜる傾向と一致します

同じ条件で焙煎したコロンビア

水洗いコロンビア VS 普通のコロンビア

珈琲の生まめを水洗ってから焙煎するという方法があります
これによりコーヒー豆の表面の汚れを落とすことができます
(この方法に関しては、賛否両論ありますが・・・)
実際にコロンビアを水でしっかり洗って・・・
その後水を切って乾燥させて前回と同じ条件で焙煎してみました
通常のコロンビアと明らかに違うのは水の抜けが明らかによくなっているということと
はぜのときの水分の排出が弱いことです
どちらかというとモカと同じような感じにグラフが走っています
つまり・・焙煎はやりやすくなるという可能性があります
ただ・・・水に汚れ以外が溶け込まないかというと・・・はっきりいって未知数なのです
そこがちょっと問題だと思います
水洗コーヒーのグラフの最後の部分が跳ね上がっていない理由
これは今までの豆よりも大量の水分を持っているため
目減りが大きいわりに焙煎の進行が遅くなっているためだと思います

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

焙煎機の排気 2

「M工業」から借りた風速計

新しく買った風速計

新しく買った風速計を取り付ける

排気量を調べる
今回・・オークションで風速計を買いました
前回「M工業」に借りて実験したんですが同じ部分に風速計を取り付けて実験をすることにしました
前回の測定では補助ダンパーを使っていましたが今回は、ない状態で測定しました
ちなみに、風速計がついている赤いパイプはウーロン茶が入っていた紙缶を切って使いました

実際の測定・ファン式風速計 (3kg釜・補助ダンパーなし 風速 m/s)

排気ダンパー
風速(m/s)2.02.83.64.55.56.37.07.47.5
風量(l/s)10.314.318.022.827.731.835.337.238.0
減少率(%)27%38%48%60%73%84%93%98%100%

実際の測定・熱線式風速計 (3kg釜・補助ダンパーあり 風速 m/s)

排気ダンパー
風速(m/s)2.13.24.25.26.26.87.57.87.8
風量(l/s)10.516.021.026.031.034.537.539.539.5
減少率(%)27%41%53%66%78%87%95%100%100%

実際の測定・熱線式風速計 (5kg釜・風速 m/s)

排気ダンパー
風速(m/s)5.15.66.57.28.810.010.210.510.5
風量(l/s)25.731.332.836.344.450.451.452.952.9
減少率(%)49%53%61%69%84%95%97%100%100%

赤が5kg釜
青が3kg釜

X軸・・・ダンパー開度
Y軸・・・風量(l/s)

表の解説
今回新しく買った風速計を前回、熱線式風速計で測定した位置と同じところではかってみました
前回と数値的には同じような感じででたんで信憑性は高いと考えていいと思います。
そのなかで、ぼくがもっとも問題と考えるのは5kg釜の排気の減少率です
3kg釜の場合ダンパーを全閉にしたときの減少率が27%なのに対して5kg釜は49%もあります。
これは、排気の幅が5kg釜の方が極端に狭いということです
排気の幅が狭いということは少量焙煎が極端に難しくなることになります

煙突に風速計を取り付ける

ダンパー手前に取り付ける

赤がダンパー手前
青が煙突(3kg釜使用)

X軸・・・ダンパー開度
Y軸・・・風量(l/s)

煙突内の風速について
煙突内の風速は、ダンパー手前の部分のような極端な変化が起きませんでした
減少率にして65%ほどしかありませんでした
これは、排気ダンパーを閉じても焙煎-冷却切り替えダンパーのすきまなどから
空気が流れてくることが原因だと思います
排気ダンパーは、隙間の大きさを調整しています
つまり、ダンパーを絞って隙間を小さくした場合は
切り替えダンパーにある隙間から入り込む空気の比率が大きくなってしまうのです
ちなみに切り替えダンパーを冷却にすると
68(l/s)もの空気が煙突に流れることになります(3kg釜のデーター)

焙煎機のダンパー部分
ダンパーを全閉にした状態

焙煎機のスリット部分
穴の面積は楕円となる

風量とスリット面積 (3kg釜・風量 l/s 面積 cm2)

排気ダンパー
スリット面積(cm2)4.47.011.016.422.429.036.043.050.7
3キロ釜・風量(l/s)10.314.318.022.827.731.835.337.238.0
5キロ釜・風量(l/s)25.731.332.836.344.450.451.452.952.9

青・・・スリットの面積(cmm2)
赤・・・3キロの風量(l/s)
黄・・・5キロの風量(l/s)

ダンパーの隙間を計算するダンパーはパイプに7㎝の穴と2センチ小さな穴を結んだような格好の
穴が開いておりそれを回転させて隙間を調整しています
(珈琲屋でないとわかんないかもしれませんが・・・)
流体力学ではこの穴の面積はこの楕円の面積で計算すればいいらしいのです
(大学生に教わりました)
そして、実際に計算してみると・・・・
ほとんどきれいな直線になるのです
つまり、ダンパー1目盛りで10度づつ角度が変わって隙間の面積が表のように変化します
グラフではきれいな直線になるのでマノスターゲージの値や風速計の値が直線になるのもうなづけます
ただし・・排気のバランスが取れた部分が「5」になるか「6」になるかは大きな違いがでます
ファンの能力は「7」から「9」ぐらいでは変化がめちゃめちゃ弱くなるのです
それと5キロ釜の全閉時の吸い込み量の多さはダンパー操作の幅を 狭めているように思います

風速とマノスターゲージ

風速とマノスターゲージの関係を調べる
マノスターゲージは差圧を測定します
圧力差があればそこには風が起こります
圧力差があればあるほど強い風が起こります
(すごく当たり前・・・・)
そこで実際に風速とマノスターゲージの数値で
どれだけ関連性ができるかを調べてみました

風速計とマノスターゲージ (3kg釜・風速 m/s 差圧 mmH2O)

排気ダンパー
ノーマル風速(m/s)2.02.63.64.45.35.96.36.76.8
ノーマル微差圧(mmH2O)0.50.71.11.62.43.03.74.24.4
「10」・風速(m/s)1.42.12.73.64.55.46.16.46.4
「10」・微差圧(mmH2O)0.40.50.61.01.72.43.13.43.6

風速とマノスターゲージのグラフ
青・・・風速(ノーマル)
赤・・・差圧(ノーマル)
黄・・・風速(「10」に固定)
水色・・差圧(「10」に固定)

グラフの解説
マノスターゲージと風速計の関係をグラフにしたものです
ノーマルは普通の状態で測定したものです
「10」のほうは排気ファンの部分をを10mmH2Oに固定するようにしたものです
つまり・・・焙煎-冷却切り替えダンパーを操作して10mmH2Oになるようにした状態で
排気ダンパーの部分で風速と微圧を測定したものです

このグラフの一番の特徴は、排気ダンパーを絞った状態から徐々にあけるときに
マノスターゲージの数値の上がりが非常に弱いことです
これはダンパーの構造上最初の数段は穴の大きさがあまり変化していかないからです
それに対してノーマルのほうは、排気を絞ったときには穴の大きさは小さいかわりに
排気ファンの部分が大きな負圧をもっており吸い込もうとする力が大きいからです

まぁ・・わかっちゃえば当たり前のことですけどね

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

焙煎機の排気

写真・風速計

排気量を調べる「M工業」の「M」さんがハンディータイプの風速計を貸してくれました。 それを利用して焙煎機の排気量を正確にはかってみました。 実際に豆をいれた状態でも実験をしたいのですが、今回の風速計は センサー部分が熱に弱くて火をいれた状態でははかることができませんでした。 (ちょっと残念)

実際の測定(補助ダンパー連動)

排気ダンパー
風速(cm/s)210320420520620690750790790
風量(l/s)10.516.021.026.031.034.537.539.539.5

連排気をはずすと排気1では14(l/s) 排気2では18.5(l/s)でした

表の解説焙煎機の排気能力を正確にはかるために風速計で測定してみました。
一番正確にとれるであろうと考えてダンパーの手前のまっすぐの部分で はかることにしました。
そこでわかったことは、おもったよりも排気は強いということです。
ぼくの頭の中では、蒸らしダンパーといわれている排気を絞った時には めちゃめちゃ空気が流れていないとおもったのに実際にはかってみると 一番排気を絞った状態で一秒間に14リットルもの空気が排気されていたのです。
(これで、「蒸らし」といってもいいのかなぁ・・・・)
たぶん、火がはいっていればこれに煙突効果が追加されてもっと排気されることとおもいます。

実際の測定(補助ダンパー連動 風速 cm/s)

排気ダンパー
ノーマル210320420520620690750790790
切り替え 2190320420500600680720750750
切り替え 3160280350430520580620680680
切り替え 4120190280340410460480530530
切り替え 585145210280330380410440440

表の解説実際に豆をいれた状態でも風速をはかってみましたが、あまり変わりませんでした。
(生豆を 1kg・2kg・3kg・4kg いれて実験)
そのかわり、切り替えダンパーによってどれぐらい排気を抑えることができるかを 正確に実験することができました。

その結果下の表のようになりました。
つまり、焙煎量を変化させた時に切り替えダンパーを大きく変化させて焙煎すると 通常の排気ダンパーのほうはあまり変えずに少量の焙煎が可能となります。

切り替えダンパー

風量の減少率

ノーマル
100%95%85%65%55%

実際の測定(補助ダンパー連動・風量 l/s)

排気ダンパー
ノーマル10.516.021.026.031.034.537.539.539.5
切り替え 29.516.021.025.030.034.036.037.537.5
切り替え 38.014.017.521.526.029.031.034.034.0
切り替え 46.09.514.017.020.523.024.026.526.5
切り替え 54.07.010.514.016.519.020.522.022.0

1分間の風量(補助ダンパー連動)

排気ダンパー
風量(m3/min)0.690.991.351.712.042.312.552.67

連排気をはずすと 排気1では0.84(m3/min) 排気2では1.11(m3/min)でした

5kgの焙煎機の測定(風速 cm/s)

排気ダンパー
ノーマル5105806507208801000102010501050
切り替え 3410450500580680780800820820
切り替え 5310350400450520600650670670

風速の減少率

ノーマル
100%78%60

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

焙煎機の煙突掃除

コーヒー屋の仕事というと、コーヒー豆を焙煎したり、ハンドピックしたりとそんなイメージがあると 思います。けっこう、知られていないけど、重要なのが焙煎機の掃除なんです。 その中でも、煙突は、火災の原因にもなるのでまじめに掃除をします。 通常、300回ぐらい焙煎したら掃除をします。 (実をいうと、うちの店では、何回焙煎したかがわかるようにカウンターがついていて 、300回になったら掃除をすることにしているのです)

300回ぐらい焙煎すると内側に1センチぐらいクリンカーが蓄積します。
(クリンカー:コーヒーを焙煎して生ずる油成分)[写真 左]
ですから、煙突の内径が2センチぐらいは、小さくなります。 これにより、排気効率がさがるわけです。 しかし、そんなことよりも、煙突の内側についた油が曲者なんです。 温度が上がると、この油がもえるんです。

煙突にくっついているクリンカー(煙突の長さ約20cm)

クリンカーを皿に入れて電熱器で熱を加えます。 煙が出てクリンカーが液化します。

マッチで火をつけると勢いよく燃えます。
本来の煙突は10mぐらいはありますからこの程度の火では済みません。

焙煎機の煙突は、通常あまり温度が上がらなくできています。(サイクロンの温度で約70度)
しかし、通常の焙煎でなく深煎りのコーヒーを煎っている場合はこれ以上に上がります。 それと深煎りでは大量の煙が煙突に送られます。深煎りを焙煎中に目を離したりすると異常高温になり、 チャフ(渋皮)に火がついてサイクロンに飛んでいきます。それが引火の引き金になります。

一回焙煎するとこれだけの
チャフ(300cc)がサイクロンに
たまります。(モカ 3キロ)

※サイクロン=集塵機

コーヒー屋の焙煎機の煙突(ステンレス製)で、もし、色が変わっていたら、 それは、そのコーヒー屋さんが、掃除をおこたって煙突に火がはいってしまったんです。 ステンレスは、高温になると、変色してしまうんです。 そういう場合は、煙突掃除をやるように教えてあげてください。火事になる前に。

最終更新日:2016年 9月 28日 (水)

焙煎遍歴

焙煎とは、コーヒー豆に熱を加えて生豆の成分をいり豆の成分に 化学変化させる作業です。 実際にぼくたち珈琲屋さんが使っている焙煎機というのは 排気と投入温度と火力のたった三つしか操作する部分がありません。 このたった三つの操作の仕方だけで味のつくるのです。 実は、これだけでも無限の焙煎理論が存在してしまうのです。

排気温用センサー
煙突部分ではかる

バーナー位置
炎の高さを変える

ガス圧計と
廃熱温度計
(デジタルに変わりました)

制御盤
中段3個の温度計が
比較温度計と廃熱温度計

比較温度計センサー
左右同じ位置に熱電対を
取り付けました。

排気検査機能付スプーン
排気の状態が
チェックできる

現在やっている焙煎方式

2001年5月16日・・・・ 焙煎量4kg

排 気
本体温度250
200
150155172185
バーナー位置
火 力240280220
過熱水蒸気3min(off)6min(on)(5-S)

コ メ ン ト
蒸気を焙煎機に送り込むタイミングをタイマーで調節するようにしました。
これは、焙煎機に豆を投入して豆が中点に達してから初めて蒸気を送り込んだほうが、 乾燥逆転温度に達した状態で過熱水蒸気を送り込むことができるので いいんじゃあないかとおもったのです。
いままで、豆の汚れと思っていた部分の一部は、 豆表面と内部の煎りむらであることがわかりました。
つまり、煎りやすいコーヒーは内部に熱が伝わりやすいコーヒーではないかと思いました。
逆にいうと、今までモカなどで汚れと思っていた部分が、単なる焙煎の技術不足であることが よくわかりました。 (いままでいまいちと思っていたコーヒーが、実はめちゃめちゃうまいということがわかりました)
いかに豆表面と豆内部の温度差をなくして豆全体で化学変化を安定させるかがポイントとなると思います。 ちなみに、豆内部に熱が伝わりにくい豆は、 ある程度ストレスがあって本当はうまいコーヒーじゃあないかと思います。
熱のとおりやすい豆は、豆にストレスが少なくて温室育ちのような感じではないかと思います。
実際、温室育ちの豆は焙煎しやすくてきれいに煎れるんですが味が弱いのが欠点です。

2001年5月4日・・・・ 焙煎量4kg

排 気
本体温度250
200
150160172185
バーナー位置
火 力240280
過熱水蒸気8min

コ メ ン ト
過熱水蒸気を再加熱するために、 バーナーを下に持ってきて炎と水蒸気を混ぜて 釜に送るようにしました。
これにより、確実に過熱水蒸気の特性を使うことができる。
(バーナーを下げて火力をちょっとあげる)
蒸気をあてる時間は、蒸らしの段階のみのがいいようです。
きれいに蒸れているかどうかの判断は、 豆のはぜの音の大きさで現在は判断しています。
豆によってはぜの音の大小があるので それが蒸気の当て方の判定基準になるかも・・・

2001年4月30日・・・・ 焙煎量4kg

排 気
本体温度250
200
150160172185
バーナー位置
火 力220280
過熱水蒸気7min

コ メ ン ト
蒸気分岐バルブを取り付けて過熱水蒸気の装置としては、完成したと思います。
これからは、どのように蒸気を送るべきか、 そして、焙煎の仕方をどのように変えるべきかを調べていかなければ ならないと思います。
現在わかったこと
蒸気を当てすぎると
・豆の個性が消える。
・味的にスカスカになってしまう。
・香りが長くもたなくなる。
蒸気を使うとチャフの量が異様に多くなる。
(チャフがはずれやすくなるためと思われる)

2001年2月10日・・・・ 焙煎量4kg

排 気
本体温度250
200
150165172185
バーナー位置
火 力220260
コ メ ン ト
水抜きのときに排気を全開にしたほうが抜けやすいことは、 何度かの実験でわかっていました。
そして、どちらかというと排気を全開にしたときに 豆が冷やされるの嫌って水抜きのときも排気を「6」ぐらいにしていました。
そして、水抜き時間を豆によって変える方法をとっていました。
今回、調べたかったのは排気を全開にしたときに豆の表面温度と 豆内部の温度差に着目してみようと思ったのです。
つまり、どんなに釜内部の湿度を高くしても表面から熱が流れている以上 表面のほうが高くなります。
内部と表面の温度を同じにする方法は、表面の温度上昇を意図的に下げて やるしかないはずです。
(内部は、温度が徐々にしか変化しない。)
特に、水が抜けるときに表面の熱を奪っているはずです。
(それが、もともとの比較温度計の温度差の原因と思っている)
実際に排気を全開にして意図的に豆の表面温度を調整して焙煎してみようと思います。
これによって、はぜの強さや味の変化をみてみたいと思います。

2001年2月2日・・・・ 焙煎量4kg

排 気
本体温度240
200
150165172185
バーナー位置
火 力220260
コ メ ン ト
今回の焙煎は、水抜き作業の時間を少しだけ多めにしてみました。
実際にこれでも豆によっては、水の抜けが弱いように思いました。 (マンデリンなど)
これ以降は、豆によって水の抜け方じっくり調べて豆にあわせて 水抜き作業の時間を変化させようと思います。
豆のふくらみや挽いたときのミルの音、抽出時の豆のふくらみ方など 問題はないと思いました。
ちなみに、味も大丈夫だと思います。

2001年1月31日・・・・ 焙煎量4kg

排 気
本体温度240
200
150160172185
バーナー位置
火 力220260
コ メ ン ト
蒸らしの段階で、水抜きのために排気を今ままで全開にしていたのを 排気を「6」程度にして、水が抜けるかを実験してみました。
排気を全開にすると空気の流れがはやくなってふにゃふにゃになった豆が 冷やされるんじゃあないかと思ったからです。
(実際に廃熱温度計が、下がったところをみると豆が冷やされていたと思う)
結論から言うと、水分は抜けます。
しかし、全開にしたときよりも比較温度計の数値が「35度」に近づくのが やはり遅い様に感じました。
煎りにはいる前には「35度」にたっしてはいましたが・・・・
つまり、水抜き用の排気時間(この場合、排気「6」の状態)を もう少し長めに調整したほうが確実な焙煎ができるように思いました。
味的には、味がやわらかくなったわりに味が濃くなったような気がします。

2001年1月29日・・・・ 焙煎量4kg

排 気
本体温度240
200
150160172185
バーナー位置
火 力200260
コ メ ン ト
今回、むらし段階で火は近いほうがいいのか遠いほうがいいのかを調べたいと思いました。
(現在のぼくは、近いほうを選択している)
すべて同じ条件でバーナー位置だけを下からスタートさせてみました。
そうすると、温度の上がりとしては、すこし遅くなりました。
(これは、ちょっとは予想できましたが・・・・)
そして、廃熱温度計の上昇が認められました。
これから考えると、炎を遠くにもってくることにより大量の熱風となったことにより 排気ファンですてる排気量以上の熱気をつくったため廃熱温度計の上昇になったんだと思います。
つまり、バーナー位置が高いとたくさんの空気と混ざる前にドラムにあたってしまって 熱が奪われてしまうんだとおもいました。
比較温度計の差は、大きくはでませんでした。
豆のふくらみとしてはよかったんですが、カロリー不足を感じました。
実験は「コロンビア」でした。
ちなみに「Y」さん曰く、最初の段階でバーナーを遠くにしておくと富士珈琲機械の焙煎機の味に 似ているといっていました。たぶん、バーナーの強い炎をあてる焙煎法と遠火にしてやわらかい 炎をあてる焙煎方の違いではないかと思います。

2001年1月26日・・・・ 焙煎量4kg

排 気
本体温度240
200
150165172185
バーナー位置
火 力200260
コ メ ン ト
性能のいい比較温度計を取り付けました。
豆の水分がある場合は、温度差が60度あります。
完全に水分が抜けた状態だと温度差が28度でした。 とりあえず、蒸らしが終了したあと煎るためには 温度差を35度以下にしなければならないようです。
(うちの機械の場合ですけどね・・・・・)
今回、蒸らしの排気を最初に絞った状態でスタートさせて 豆内部まで白くなったときに排気を全開にして水分を飛ばします。
今回は、最初に排気を絞っているので150度の時にもあまり水分が 飛んでいなくて、その分排気全開を165度まで伸ばしてみました。
煎る段階での温度差は当然35度以下にしました。
結果、豆のはぜは強いですし、豆を挽いたときの音も軽かったです。
そして、抽出のとき最初にお湯をさしたときのふくらみ方も 問題ないと思いました。
しかし、前回の焙煎方法と比べると酸味が強くなっちゃいました。
それと、香りが前回の焙煎のほうがいいように思いました。
ついでにいえば、味は前回の焙煎のがぼくの好みでした。
てなわけで、今回の焙煎は実験だけで終了としました。 ちなみに、実験したのは「モカ」でした。

2001年1月20日・・・・ 焙煎量4kg

排 気
本体温度240
200
150160172185
バーナー位置
火 力200260
コ メ ン ト
今回、焙煎方法を変えたのはいかにコーヒーの水を抜くかを調べるためです。
基本的に豆の水は、はぜか始まるよりも前に水が抜けていなければならないと 思います。つまり、煎るためには水がじゃますると考えるからです。
ちなみに、水が残っている場合「はぜが弱い」「味が弱い」「のびがわるい」 などの現象が起こります。これは、水が残っているため煎る作業のときに 内部の温度不足のためと考えています。
今回の焙煎は、スタートの排気を「2」で始めたことです。
これにより最初から水分を少し多めに抜くようにしました。
「150度」の排気「8」は、完全なる水分抜きでやっています。
はぜの温度は、「185度」「15分20秒」 ミルで挽いた音としては静かでしたから、火は豆に通っていたと思います。
実際に、蒸らす段階でバーナーの高さが高いほうがいいのか低いほうがいいのかは いまだにわかりません。今後の課題だと思います。

2001年3月29日・・・・ 焙煎量4kg

排 気
本体温度250
200
150165175185
バーナー位置
火 力220280
過熱水蒸気ON

コ メ ン ト
現在、過熱水蒸気の実験をやっています。
本当に使い物になるのかは、非常に未知数です。
(よくわからんから、おもしろいんですけどね)
とりあえず、現在までにわかったことを書いてみます。
まず、排気監視窓がよごれなくなりました。
(理由はまだわかりません)
火力を”260”だったところを”280”にあげたところ 排気温が”260”の時とまったく同じでした。
つまり、この過熱水蒸気を使うと排気温は確実に下がるということになります。
さがった状態で豆に熱を与えるわけですから、豆との温度差が少なく 表面だけが煎れることがなくなります。
この焙煎法を使った場合、抽出時の後半の成分があきらかにきれいになります。 (雑味がでにくい)
焙煎の可否の判断に使えるかも・・・・・

2001年3月8日・・・・ 焙煎量4kg

排 気
本体温度250
200
150165175185
バーナー位置
火 力220260

コ メ ン ト
廃熱温度というものを正確にはかるようになりました。
そこでわかったことは、バーナーを豆に近づけて排気を強くすると 廃熱温度が下がってしまうという事です。 (ちょっと下がるのはあたりまえなんですけど・・・・・)
つまり、水抜きで排気を強くしたときに少量の強い熱風(炎)と空気をいっしょに吸ってしまうから この現象が起こると考えました。
これを防ぐためには水抜きで排気を強くするときには、バーナーを下げて 大量の弱い熱風をつくっちゃえば防げると思ったのです。 (すんげーーーあたりまえの話ですが・・・・・)
その状態で焙煎したほうが、味が濃くなってドリップしていて嫌味が最後まででないように思いました。
味的には、問題がないのですが、豆のつやがちょっと弱いように思いました。
(味は、気にいっているからいいんですけどね・・・・)

2001年2月22日・・・・ 焙煎量4kg

排 気
本体温度250
200
150165175185
バーナー位置
火 力220260

コ メ ン ト
今回調べたかったのは、蒸らしの段階で炎をあてるかどうかなんです。
蒸らしの時にバーナーを下げて焙煎すると、バーナーを上げて焙煎したときよりも スプーンからでる熱風の量があきらかに多いのです。
ということは、高温の炎が大量の熱風に変換されたということになります。
ガスを燃やしている量が同じなんですから熱量は同じです。
つまり、バーナーをドラムに近づけるということは熱を直接豆に届けるという事なんです。
バーナーをドラムから離すという事は、炎で大量の熱風に変換して熱風として 豆に熱を届けるということなんです。
(熱風に変換しなくて豆に直接熱を届ける方法は炭焼きのように 赤外線なんかでとどけるのも同じです)
では、どちらがいいか・・・・無難に焙煎する場合はバーナーが離れたほうがいいです。
しかし、味を強く香りを強くだしたい場合は、 炎を直接ドラムにぶつけたほうが強い味と香りが出来ます。
そのかわり、蒸らしと、豆の内部と外部の温度差を無くす作業は絶対に必要になります。
ちなみに、うちの焙煎機のバーナーも、もう一段ぐらい高くなったほうがいいような・・・・

過熱水蒸気を調べる

過熱水蒸気の特性

過熱水蒸気というのは、通常の水蒸気を加熱して 高温の水蒸気をつくって利用するものです。
しかし、珈琲の場合そこまでの高温の水蒸気は必要なく 過熱水蒸気の特性だけを利用すればいいと思いました。

過熱水蒸気の特性
・乾燥空気よりも乾燥速度かはやい
・乾燥空気より熱を伝える速度がはやい
(乾燥逆転温度以上の温度帯にておこる)

(写真・通常の排気監視窓)

(写真・実験中)

(写真・ソーセージを焙煎機からだす)

実際に実験する

実際に乾燥速度と乾燥量を実験することにしました。
今回の実験装置は、焙煎機の排気監視窓のガラスのかわりにアルミ板を いれそのアルミ板に肉用の精度の高い温度計をつけました。
この温度計にソーセージを差し込んで焙煎機の蒸気発生装置を使った状態と 使わない状態ではどれくらいソーセージか乾燥するかなどを調べてみました。

ガス圧 150 排気 5 バーナー 上
加湿状態では、排気温が180度で平衡状態になりました。
その状態で、6分間ソーセージを入れました。
ソーセージ温度 75度
目減り量 10.7%

加湿器をはずした状態では、195度で 平衡状態に達し実験を開始しました。
ソーセージ温度 75度
目減り量 10.3%
(写真・実際のソーセージ)

実験結果を考える

まず、乾燥の仕方ですが、少しではありますが加湿状態のほうが 乾燥が進みました。
(一回の実験では結論はだせませんが・・・)
温度上昇ですが、同じ熱量を送っていて実際にはソーセージの温度自体は まったく同じでした。つまり、過熱水蒸気の方が加熱力がおおきいとは いいがたいように思いました。
しかし、ソーセージの投入温度が加湿状態のほうが15度ひくいことをを考えると 温度に対する加熱力はたかいと考えてもいいような・・・・
とりあえず、珈琲の焙煎に利用できる可能性のある技術だと思いました。
ただし、今回の実験でスチームをたきすぎて焙煎機のドラムがさびてしまったのは ちょっと情けなかったです・・・・・
(良い子はマネをしないように・・・・)

コーヒーで試してみる

焙煎データー
焙煎時間 10分
2釜目以降 200度投入
バーナー位置・中
火力・240
排気・2
蒸気の量 3cc/min (NO.6)

実際に過熱水蒸気を加えた場合と、加えない場合の比較をくず豆を使って実験してみました。 つまり、学問的に有効であっても実際に使ってみて有効であるかを試してみたかったからです。
文献によると乾燥空気よりも過熱水蒸気では約10倍の熱の伝達能力がある(らしい・・・)
もしそうだとしたら、熱風の量が通常よりも低い状態で焙煎しても 豆を過熱することができるということです。

蒸気アリ(蒸気は3分後から6分間)
終了温度 排気 209度 本体 157度
4000g-3756g=244g
目減り量 6.1%
豆の感じとしては、しわの伸びが良い
豆がもろくなっている
煎りあがりは少し濃い

蒸気ナシ
終了温度 排気 205度 本体 153度
4000g-3767g=233g
目減り量 5.8%
豆が硬い
表面のしわが目立つ
かんでみると内側には火がとおっていない

過熱水蒸気は有効かどうか

実際に焙煎を途中でやめてコーヒーの目減りを計った感じでは有効だと思いました。
つまり、学問的にいわれているように水分を引っ張る力は過熱水蒸気にはあるようですし 温度計がしめす数字も過熱水蒸気を送っているほうが高くなります。
(ただし、蒸気の量や時間が適切かどうかまだわかりません)
ただし、豆の内部に火をいれるのには有効な技術ではないかと思いました。
とりあえず、現在までにわかったことです。

蒸気を多くして実験

焙煎データー
焙煎時間 12分
2釜目以降 150度投入
バーナー位置・下
火力・240
排気・3
蒸気の量 15cc/min 

本格的に蒸気を多くして実験する

蒸気を多くして過熱水蒸気の特性がもう少しでるように実験しました。
このころには、蒸気の必要なのは通常コーヒー屋さんがいう「蒸らし」の時だけだという考えにいたりました。
つまり、煎る段階にはいったら逆に蒸気が邪魔になると考えていました。
蒸気だけで焙煎したコーヒーがなぜはぜなかったかなどがこのころにはわかってきました。

蒸気アリ(蒸気は3分30秒から11分30秒の間)
終了温度 本体 170度
4000g-3699.6g=300.4g
目減り量 7.51%

150度・・・9分
160度・・・10分30秒
170度・・・12分

いり豆の比重・340.4/600=0.56
生豆の比重・・429.8/600=0.71

膨張率・・・・1.27 

蒸気ナシ
終了温度 本体 168度
4000g-3706.6g=293.4g
目減り量 7.33%

150度・・・9分18秒
160度・・・10分51秒
168度・・・12分

いり豆の比重・331.4/600=0.55
生豆の比重・・429.8/600=0.71

膨張率  1.29

モカで試してみる

焙煎データー
焙煎時間 12分
2釜目以降 150度投入
バーナー位置・下
火力・240
排気・3
蒸気の量 15cc/min 

モカ
蒸気アリ(蒸気は3分30秒から11分30秒の間)
終了温度 本体 170度
4000g-3367.4g=632.6g
目減り量 15.8%

150度・・・9分
160度・・・10分30秒
170度・・・12分

いり豆の比重・221.4/600=0.37
生豆の比重・・433.6/600=0.72

膨張率・・・・1.95 

モカ
蒸気ナシ
終了温度 本体 168度
4000g-3371.0g=629g
目減り量 15.7%

150度・・・9分18秒
160度・・・10分51秒
168度・・・12分

いり豆の比重・225.2/600=0.38
生豆の比重・・433.6/600=0.72

膨張率  1.92 

最終更新日:2016年 9月 28日 (水)

バーナーの性能

焙煎機の火力は、バーナーのガス圧で決めています。 実際に、どのぐらいの炎が伸びているかは実際にはよくわかっていません。 そこで、焙煎機からバーナーをはずして炎の高さをはかってみることにしました。 ちなみに、バーナーは、3kg用焙煎機のプロパン仕様です。

今回の装置
バーナーを台にしっかりと固定して危なくないようにします。
(思ったよりも怖い)
バーナーがひっくりかえったら本当に火事になると思いました。 それぐらい、やっていて実験が怖く感じられました。
それと、ものさしをたてておきましたが、残念ながら全く役にたちませんでした。 そのため、元のデジカメの画像から炎の大きさを割り出しました。

50mmaq
炎の高さ 85mm

100mmaq
炎の高さ 100mm

150mmaq
炎の高さ 120mm

200mmaq
炎の高さ 135mm

250mmaq
炎の高さ 145mm

バーナーの炎
バーナーの炎は、写真にとりにくかったので画像に50%コントラストを強くしてみました。 ただし、実際の焙煎機の場合は、排気を強くすると炎が長くなります。 これは、排気で炎も空気といっしょに吸い上げられるからです。 実際にバーナーの高さ調節機能は5cmもあればじゅうぶんだと思いました。 一番使う領域での炎の高さの差が約5cmで収まるからです。

ガスの吹き出し量をはかる
焙煎機のバーナーのノズルを取り寄せてガスの噴出量を 正確に測定することにしました。 微圧計もバルブも焙煎機に使うものと同じものを使って います。 その状態でガスの吹き出し量はかってみました。 ところが、残念なことにガスの圧力はめちゃめちゃ弱いので この実験装置では、水の中にガスを通すときに圧力が下がってしまうのです。 ですから、実験装置も考え直さないと無理だと感じました。

ガスの吹き出し量測定装置をつくる
水道の水を上のじょうごに流しっぱなしにします。
(これにより、水圧が一定になる)
じょうごよりホースを通って下のガラスタンクに水がはいります。
(高低差によって圧力をつくっている) ガラスタンクの空気は、微圧計を通ってバーナーのノズルから放出させます。
バルブを適当に調整しておき水を流すと微圧計が適当な圧力をさします。
その状態で、ガラスタンクに一定の量の水がたまるまでの時間を正確にはかります。
(500ccの量で調べました。)

実験データー

ガス圧・・・・・微圧計の数値
ガス流量・・・・そのガス圧時のガス流量
バーナー.(6)・・3kg焙煎機のバーナー火力
バーナー.(9)・・5kg焙煎機のバーナー火力
バーナー.(15) ・5kg河野仕様の焙煎機のバーナー火力

ガス圧
(mmaq)
ガス流量
(ml/s)
バーナー.(6)
(cal/s)
バーナー.(9)
(cal/s)
バーナー.(15)
(cal/s)
305.679211871979
40  6.3 891 13362226
50  6.8 961 14422403
60  7.7 108816332721
70  8.1  114517182863
80  8.9 125818873145
90  9.8  138520783463
100  10.2144221633605
110  10.9154123113852
120  11.1156923543923
130 11.4161224174029
140 12.2172525874311
150 12.5176726514418
16013.2186627994665
170 13.5190828634771
180 13.9196529474912
190 14.3202130325054
200 15.1213532025336
210  15.2214932235372
220  15.6220533085513
230 16.1227634145690
240  16.6234735205866
250  16.7236135415902
260  17.2243136476078
270 17.9253037966326

結論

ガス圧を10(mmaq)上げると0.5(ml/s)ガス量が上昇する

(バーナー1本に対して)
プロパンガスの燃焼熱
23560(kcal/m3)
23.56(cal/ml)
たとえば、150 (mmaq) の
ガス圧で燃焼した場合
23.56(cal/ml)*12.5(ml/s)=294.5(cal/s)・・・・1本のバーナー

3kgの焙煎機の場合は、バーナーが6本だから
294.5(cal/s)*6=1767(cal/s)・・・・6本のバーナー

5kgの焙煎機の場合は、バーナーが9本だから
294.5(cal/s)*9=2650.5(cal/s)・・・・9本のバーナー

5kg河野仕様の焙煎機の場合は、バーナーが15本だから
294.5(cal/s)*15=4417.5(cal/s)・・・・15本のバーナー

つまり、3kgの焙煎機で200 (mmaq)の火力で焙煎していたものを
5kgの焙煎機で同じ量の豆を焙煎しようと考えた場合、

3kgの焙煎機の200 (mmaq)のときの火力は2135(cal/s)
5kgの焙煎機の火力で2135(cal/s)に近いガス圧は90(mmaq) ぐらいとなります。

この表を使うと少量の焙煎をするときのガス圧の目安になります。
つまり、豆の量が半分になったら、カロリー数が半分になるぐらいの ガス圧を表で調べればいいのです。

* ここでは、焙煎機の蓄熱量や排気力は無視しています。
* 焙煎機はプロパンガス仕様のものです。

燃焼時の水の量 ガスを燃やしたときにどれくらい水がでるか計算してみました。
プロパンガスの化学式・・・・CH3CH2CH3
プロパンガスの燃焼
CH3CH2CH3+5O2---3CO2+4H2O

つまり、プロパンガス1に対して酸素が5必要になります。
実際は、空気に酸素が20%しかないので プロパンガス1に対して空気は25必要となります。 そして、炭酸ガスが3と水が4できます。

ガス圧200mmaqでバーナーを使うと3kg用の焙煎機では 90ml/sのガスがでます。
90/22400=0.004・・・一秒間にバーナーからでるモル数
水4モルの重さ 72g
72*0.004=0.3g

つまり、ガス圧 200mmaq でバーナーを使うと3kg用の焙煎機では 一秒間に 0.3cc の水をつくっていることになるのです。
ちなみに、焙煎時間が20分 ならば、360cc ということになります。

気温と熱量の関係について
プロパンガスも都市ガスもあたりまえですが気体です。
当然、気体というのは気温によって体積が変化します。
そして、その体積の変化は熱量の変化となるわけです。
(微圧計は圧力をはかっていて熱量をはかっているわけではないですから・・・)
ですから、真夏と真冬では同じガス圧でも熱量はまったく違ってしまうのです。

例 3kgの焙煎機・ガス圧 200(mmaq)
火力 
2301(cal/s) 5℃・・・ガス圧 240 相当
2135(cal/s) 25℃
2060(cal/s) 35℃・・・ガス圧 190 相当


つまり、冬はバーナーの火力が表よりも1.078倍高い数値を示し
夏は逆に0.965倍低い数値になるわけです。
だから、夏はガス圧を高めにしなければカロリー不足なるし、冬は逆にガス圧を下げなければ
カロリーオーバーにおちいることになるわけです。

おおざっぱにいえば・・・
秋を基準にすると夏は10mmaq たかく・冬は逆に秋よりも10mmaq 低くする。
(夏と冬では約30mmaqぐらいは変化させてもいいということ)

焙煎機の改造 7

(写真・ウォータークエンチ全体)

(写真・霧吹きのアップ)

ウォータークエンチ
コーヒーを冷却するときに、水をかける装置です。
(大手企業では・・けっこう使われている)
もともと冷却で水をかけることに否定的だったんですが、高温のコーヒー豆に水をかけることにより 豆の表面が急冷されて表面が締まるんじゃあないかと思ったんです。
そして、豆の表面が閉まれば香りが放出されにくくなるはずです。
つまり、豆の香りとか空気を遮断するのに有効な方法になりえると思ったのです。
熱風式の焙煎機で焙煎したものは豆が開いて香りの放出が早いといわれています。
本来は、そんなコーヒーに使うと効果が如実に表れると思います。
ちなみに・・・豆を冷却機に落としてスイッチを入れるとタイマー分だけノズルから霧が豆に吹き付けられます。
そのときに霧をまんべんなく広げるために扇風機が後ろから風を送るようになっています。
(現在は、40秒間霧をコーヒー豆に吹き付けている)

(写真・ウォーターサイクロン)

ウォーターサイクロン
これも別に珍しい装置ではないのです。
シャワー機能を持っていてチャフを落とすサイクロンがないわけではありません。
ただ・・・今回つくった装置はチャフを水浸しにするわけではないのです。
もともと・・過熱水蒸気を煙に混ぜると煙の粒子を核にして水蒸気が水に戻ろうとします。
それを助けるために、サイクロンで霧を吹くのです。
そして、煙の粒子を重くしてサイクロンで取り去るのです。
そのために、ある一定温度に達したとき以外は霧を吹かないようにしてあります。
そして、この装置を使うことによりサイクロンの下にたまるチャフの量と微粒子の量が増えたように思います。
それと・・・チャフの乾燥度が下がりちょっと湿っぽくなった感じがします。

(写真・煙突スプレーの配管部分)

(写真・煙突部分)

煙突スプレー
これは、煙突のてっぺんから霧を吹いて煙の粒子をできるだけ取り去ろうとしてつくりました。
(びみょうに・・・煙が消えたらいいなぁというのも、ちょっと・・・)
そして・・・煙突の下部分にホースがついていてコーヒーの木酢液をとろうと思っています。
本来の木酢液は、炭をつくるときの煙を冷やすことによりででくる液体なんです。
しかし、残念ながらコーヒーからでる煙ではそこまでうまくとれない・・・
そこで、煙突の上から霧を吹いて煙を溶け込ませて煙突の下にあるホースから取り出すわけです。
・・・・問題は、このコーヒー木酢液もどきがなんに使えるのか・・・
とりあえず、お風呂にでも使ってみますか・・・
(この部分は・・・しゃれでつくってみました・・・)

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

焙煎機の改造 6

排気ファンの圧力測定装置

マノスターゲージを取り付ける

排気ファンの圧力測定装置通常の排気をおこなっているときに、 排気室の圧力はどのように変化しているかを調べてみました。
この装置の構造は、排気室にパイプを差し込んで 水がどれだけの高さまで引っ張られるかで排気室の圧力を測ろうとするものです。
(構造がめちゃめちゃ簡単ですが一番正確に測れる)
当然、吸う力が強ければ強いほど排気が強いことになります。
富士ローヤルの3-5kg用の焙煎機は、排気用のファンで排気室の空気を抜く構造になっています。
そして、その排気室には冷却と排気を切り替えるための切り替えダンパーと 排気の量を調節する排気ダンパーの2種類があります。
この2つのダンパーが排気室の圧力に対してどのような影響を与えるのかを調べることにより 排気を感覚的でなく数値的に考えることができるからです。
(ちょっとした、思いつきもありますが・・・・・)

実際の測定(単位はmmaq)* 数字が大きいほど引っ張る力が強い

排気ダンパー
ノーマル1615151413131212
切り替え11414131312121211
切り替え21010101010
切り替え3
補助ダンパー開1313131312121212
補助ダンパー連動1313141413131312

表の解説と傾向と対策 (ってこともないですが・・・・)ノーマルの状態では、排気1と排気2の部分で圧力に差がでます。
つまり、排気1では排気を絞っているにもかかわらず排気室の圧力が低く 引っ張る力が強いため絞っているわりに排気が絞れないことになります。
ですから、排気のイメージと実際の排気ではおおきく食い違ってしまうのです。
つまり、排気1は、掃除機が紙なんかをすいつけて一生懸命吸おうとしている状態 なんです。圧力が低くなると小さい隙間でも勢いよく空気が流れ込んで思ったほど 吸う量が減らないのです。
圧力が一定ならば、排気は排気ダンパーの穴の面積に依存するのですが、 その圧力部分が変化するとそのぶん排気が複雑になるのです。
つまり、排気をイメージどおりにするには、最初から適当な抜け穴をつくっておいて 排気室の圧力の下がりすぎを押さえる必要があるのです。
それに一番有効な方法は、切り替えダンパーを少し開けておいて排気を絞ったときに 圧力の下がりすぎを防ぐことだと思います。
(ちなみに、切り替えダンパーの切り替え板に隙間がけっこうある場合は何もしなくても 排気が安定的に変化します)

ルーペ鏡筒部分

ルーペ部分

豆チェック用ルーペ
スプーンで豆をチェックするとき、ほとんど豆の色あわせしかやっていませんでした。
過熱水蒸気を使っていてもっとレベルの高いチェックをしようということで 豆ののびと表面のテカリ具合をみるためにルーペを取り付けました。
ルーペに光が入らないように缶を細工して鏡筒をつくりました。
けっこうみやすくなって都合がいいです。
(ちなみに、ミートソースの缶と同じサイズでした)

排気ダンパー表示板
焙煎していて、温度でダンパーを調整するんですが そのときに火力を変更したりバーナー位置を変更したりするんです。
いろいろな焙煎の仕方をやっているとなにがなんだかわかんなくなっちゃいます。
そこで、ダンパーのところに操作仕様書みたいなものをつけておけば ミスがなくなります。
そこで、焙煎の方法を磁石で変更が簡単にできるようにしました。

流入温度計
熱風式シリンダーを取り付けた場合に効果があります。
吸い込まれる熱風の温度を正確にはかることができます。
これにより、実際に熱風式焙煎機で実際の熱風の温度を正確に管理することが可能になりました。

最終更新日:2016年 9月 28日 (水)