コーヒーの極意 2

いろいろな人にコーヒーのいれ方を教えることがあるんです。
そのとき、初心者には、リクツで説明することが多いんです。
リクツは教えやすいんですが、教えられた人は、教えた人以上になれない欠点があります。
(なぜ、そうなったかの道筋をはしょるから)
となると、リクツを理解した後の上級者向けの説明が必要になります。
(コーヒーに関する考え方のようなもの)
上級者向けの説明はどちらかというとコーヒーの概念のようなものなので、
自分なりの概念に作りかえることができます。
そのときに、初めて教える側を追い越したことになると思います。
そこから、その人の進歩が始まると思います。

特性を知る
Drip$を舐めてはいけない
その器具の特性を知るためにはいろいろと試す必要がある。
たぶんこうであろうなどと勝手に思ってはいけない。
勝手に思った瞬間から考えなくなるからである。
遊びのつもりでいろいろやってあれって思って考えて・・・
そこから初めてその全容がはっきりしてくるのである。
その装置を一番知っているのは装置を作った人ではなく使っている人なのである。
Drip$は、今までの経験を一回取っ払って 初心に帰って試す必要がある。
今までの経験を信じると大きく間違える。
知識や経験がある人は、とにかく素人になることから始めねば 進歩はない。

過去を調べる技術
結局・・・勉強です
焙煎をやったときのエクセルデーター・・・
はっきり言って膨大にあります。
使い方がよくわからんので宝の持ち腐れです。
だけど・・・残しておけばその気になったときに役に立つ

問題はそのデーターを抽出する技術・・・
これが出来なければ本当にデーターが宝の持ち腐れになっちゃいます。
ちょっとだけ・・・エクセルを勉強することにしよう・・・
特に豆の種類や気温・水分量等を使ってデーターを抽出してそれでグラフを書く
そんなことがやれるようになればいままでの膨大なデーターから 何かがみえてくるようになると思う。

そして、そのみえてきたデーターによって焙煎中どのタイミングではどのデーターを チェックすればいいかがわかってくれば焙煎を進化させることができるような気がする。
その時にはグラフもメモリが1分から30秒になっていきそうな気がする。

グラフをみるという事
惰性のこわさ
焙煎をしている時に10ヶ所のデーターでグラフが書かれています。
サンプルのグラフを下に置いて上にグラフを書かせています。
これが当たり前の状態でやっていました。
全体が見やすいようにある程度時間を詰めてグラフを書いていました。
いつもそれが当たり前の状態でやっていました。
今日たまたま画面にひとつのグラフしか出さずにやってみました。
そして、時間も短めでやってみました。
そしてわかったこと・・・
グラフが速く動き変化が大きく動くとどの操作をやったときにどのグラフが変化するかをとらえるには こっちのやり方のほうがいい
その時々で何を知りたいのかが違うのに惰性で同じグラフを出してやっていた・・・
データーロガーを本当の意味では使いこなしてはいなかった・・・
大切なことはあーでもないこーでもないと装置は使い倒さねばいかんという事です。
それを妨げる原因は、忙しさと惰性です。
それを実感しました。
惰性って・・・楽だから危険なんですよねぇ・・・

排気温・バーナー温・豆温
温度を測る難しさについて
コーヒー豆に熱を加えるという事は、豆温よりも周りの空気の温度のほうが高いという事です。
つまり、豆温<排気温となるわけです。
ところが、測る場所によってはそのようにならないのです。
豆に熱を奪われた後の空気を測ると豆温>排気温となってしまうのです。
(小さい焙煎機を作ると結構そうなる)
熱風式の焙煎機の場合は、作り上げた熱風の温度を排気温とイメージすれば豆温<排気温の式が成り立つ。
直火式の焙煎機では、豆温<バーナー温ならば確実に成り立つ。
しかし、実際にバーナー温というは、非常に測りにくいのです。
バーナーの炎はめちゃくちゃ高く冷たい空気と混ざってドラムの中に入るのです。
つまり、バーナーの炎の影響が高い場所では極端に高い数字をたたきだし・・・
排気を強くして、冷たい空気の影響を受けるとイメージよりも低い数字になってしまう。

では・・焙煎にこの数字たちをどう活用していくか・・・
実はとてもシンプルなことなんですが・・・傾きだけに着目することなんです。
豆温が上昇するときの傾き・・・
排気温との比較を無視して排気温単独の傾きをみることです。
豆温が一定の上昇率で上がっている時に、排気温の上昇率の変化に目を向けるのです。
そうすると釜の中で何が起きているのかが少しづつ理解できるようになってきます。
豆温が一定に上がっていても水分が抜けるときに熱を奪えば排気温の変化に現れるだろうし・・・
2ばせ以降のように発熱反応が加われば排気温の上昇率に変化が現れるだろうし・・・
いつも同じ場所で温度を測っているのならば温度計が壊れない限り意味をもっています。
その意味を理解してあげることが焙煎のコツの一つだと思います。


ハンドピックを考える
ハンドピックとブレンドについて考える
昔・・ある本にヨード臭のある豆にある豆を混ぜて消す話が書いてありました
その当時はそうなんだぁ・・程度にしか思っていませんでした
ブラジルなど生産地では、イロイロな産地の豆を混ぜて味をつくってきます
当然・・その中には欠点豆が含まれています
その状態で味がつくられているとしたら・・・ハンドピックをすると味が狂うことになります
(非常に正しい感じがする)
では・・ハンドピックは必要ないのか・・・
自分の中でいつも考えてきたテーマなのです
そして・・鈴木敏文さんの本を読んでいてわかりました
ハンドピックは必要です

生産者は商社や生豆業者を相手にしています
当然・・・価格や味が重要になります
(当たり前・・・)

大手焙煎屋さんは・・大量の豆と消費者を相手にします
ここでも味や価格が重要になります

ぼくたち末端コーヒー屋は、お客さんを相手にします
つまり・・・生身の人間を相手にしているんです
そして・・・少しの豆を相手にしています
当然・・腐った豆やかびた豆など欠点豆が見える立場にいます
イロイロな豆を混ぜることによってマスキングして味がわからなくなったとしても・・
欠点豆は存在しています
発がん性物質がそこにあるのです
それをぼくが取り除けばお客さんにのくちにははいらなくて済みます
安全なコーヒーをだすことができます
それを決めることのできる最後の砦が末端のコーヒー屋なのです
ぼくは・・お客さんにいいものを売りたい
だから・・やっぱりハンドピックした豆を売ると思います
もし・・ハンドヒックで味のバランスが崩れるのであれば焙煎で工夫する道を選びたい
ブレンドで味を調える道を選びたい

ぼくは腐った・・カビた豆・・死豆など飲みたくない
ぼくが飲みたくない豆を売りたくない
だから・・・ぼくはだれがなんといおうとハンドピックをするつもりです

そして・・・どんな豆にも対処できるように焙煎に力を入れるつもりです

もっというと・・・焙煎を判断できるように抽出には一番力を入れるつもりです
そのコーヒーの最高の味を人に飲ませられなかったら・・
焙煎をしている意味がないですから・・・

ぼくがハンドピックに関してだした結論です

煙突効果を考える
煙突はどれぐらい排気する力があるのだろう
煙突効果を実感する方法・・・・
焙煎機の排気を全開にしてサイクロンの下にあるチャフのたまる引き出しを少し開けます
当然ファンの力で空気を押し出しているわけですからサイクロン内は正圧です
サイクロン内の圧力が高いわけですから引き出しを開けると空気が出てきます
(けっこう・・・・当たり前の話です)
その状態でバーナーを点火します
排気温が上昇すると引き出しから空気がふきださなくなります
ふきださなくなった温度が煙突効率の目安になります
煙突が高ければ早い時期にふきださなくなるし・・・
低ければある程度温度が上がらねばなりません
それをチェックしやすくしたのかマノスターゲージによる測定です

ハンドピックは必要か否か
ハンドピックをまじめに考える・・・
ハンドピックとは・・・悪い豆を取ってよい豆だけにする作業です。
めちゃめちゃ当たり前です。
悪い豆には二通りあります。
最初から悪い豆と後から悪い豆・・・・
最初から悪い豆は、「腐った豆」や「かびた豆」などなど・・・素直に悪い豆です。
これは・・・ないほうがよさそうです(・・・びみょうに、あたりまえ)
問題となるのは・・・あとから悪い豆というやつです。
これは・・・煎りむらです。
実は・・・これが曲者なんです。
生豆でどれだけ選別しても焙煎するとある程度の確率で「煎りむら」ができます。
問題は・・・それがなぜ起こるかということです。
じつは・・・生豆の表面の薄皮が外れるタイミングが豆によって違うことが原因なんです。
つまり・・・薄皮というのは断熱材の働きをもっていて豆に直接熱が伝わるのを防いでしまうのです。
・・・となると、外れるのが早ければ煎りあがるのが早くなり・・・
遅ければ煎りあがるのが遅くなるということになります。
この・・・薄皮の外れるのが遅かった豆が「煎りむら」の原因なのです。
では・・・排気を強くして薄皮を強力にはがせばいいのかというと・・そういうわけではないのです。
そのように強い排気は、コーヒーの味を弱くしてしまうのです。
(いわゆる・・・スカスカな味になってしまう・・・)
結局・・・
商売として考えてハンドピックをしなくてすむように排気を強めにして焙煎を捨てるか・・・
仕事として考えてある程度の「煎りむら」をハンドピックで排除して焙煎をとるか・・・
これは・・・コーヒー屋さんが自分で決めることになると思います。
煎りむらのプロセスがわかった以上・・・ぼくは、焙煎にこだわりたい。
誰がなんといおうが・・・・ハンドピックは必要です。
どれだけいい豆を使おうが・・・ハンドピックは必要です。
(ちなみに・・・味を無視すれば煎りむらぐらい消せる技術は持っていますが・・・ぼくだって・・)
とりあえず・・・ぼくなりのハンドピックについての考え方でした・・・

ドリップに使う水を考える
ドリップに使うお湯は、新鮮な水を沸かしたものがいいか・・・
紅茶をいれるときは・・・必ず新鮮な水を沸かさねばなりません。
これは、紅茶には水に溶けている空気が影響するからです。
(茶葉に空気がくっついて茶葉を浮かせる働きがある)
ただ・・・松屋式ドリップではこの空気がくせものなんです。
松屋式ドリップは、ドリップポットから糸のように細く湯を注ぐのが基本となります。
そして、お湯を自由にコントロールしなければなりません。 ところが、新鮮な水を沸かすと・・・
ドリップポットの注ぎ口の内側に泡がついてお湯のでるのを邪魔します。
つまり、細い注ぎ口の内側に泡がつくと、お湯が通りにくくなるのです。
また、その状態でお湯の量を多くしようと大きく傾けると泡が外れて急に多くお湯がでることになります。
ですからうちの店ではくみおきの沸騰ポットにはいっているお湯を使います。
その方が、お湯の中の空気が抜けていてドリップポットの注ぎ口に泡がつきにくくお湯のコントロールが楽なんです。

えんとつの先端の形状について
煙突の形状と鳥の特性について・・・
煙突の先端は、屋根がついているタイプと「T」型のタイプと「H」型のタイプとかいろいろあります。
どの形状がいいか・・・・
まず・・・問題となるのが排気の抵抗が強いのはダメです。
つまり・・網などが煙突の先端に取付けられていると焙煎を数こなしていったときに クリンカーが網に引っかかって・・・だんだん排気効率が下がっていきます。
・・・となると、網がついていて鳥が入らないタイプでは・・・ダメです。
次に・・鳥が煙突に入るような形状ではダメです。
鳥は、垂直には飛べません。
つまり・・煙突に鳥が落っこちちゃうとサイクロンまではいりこんじゃって大騒ぎになっちゃうんです。
では・・・どの形状が鳥が入り込みやすいか・・・・・
屋根がついているタイプでは屋根の下の煙突の先端に止まろうとします。
しかし・・どんくっさい鳥なんかがバランスを崩して煙突の中に落っこちちゃう可能性が高くなります。
ですから、屋根つきの煙突はペケです。
「T」型の煙突の欠点は、水平に穴があることです。
実は、鳥というのは水平な穴に巣をつくりやすいのです。
つまり・・・水平な部分に巣をつくられると煙突としての排気効率が下がります。
そして・・・ついてにいうと、何かの拍子に鳥自体が煙突内に落っこちてくる可能性も持っています。
ですから、「T」型の煙突はペケです。
「H」型の煙突は、鳥が煙突のふちに止まってバランスを崩しても煙突内に落っこちることもなく 「H」型の水平部分に、鳥が巣をつくることもありません。
つまり、排気効率が下がることもなく、煙突内で鳥に暴れられることもないのです。
てなわけで、ぼくの考えでは焙煎機の煙突は「H」型が一番いいと思います。
(ちなみに、うちの店は「H」型)


焙煎機の冷却機について
冷却機のかくはんを動かすべきかについて
富士ローヤルの焙煎機には冷却機がついています。
そして、かくはん用の羽根がついています。
コーヒー豆の冷却というのは、できるだけ短時間に冷やさねばなりません。
ところが・・・少量の焙煎では豆が冷えないのです。
なぜか・・・それは、冷却機にある羽根が問題なのです。
冷却機にある羽根は、豆をかくはんするためともうひとつ豆を集める働きがあります。
大量の豆を冷却する場合は、冷却機の底にある空気の吸われる穴がコーヒー豆で見えない状態になっています。
その状態であれば、必ず空気は豆の隙間を通って冷やしながら抜けていきます。
ところが、豆が少量の場合は問題がおきます。
冷却機の底の穴が見えるようになってしまうのです。
その状態では、空気の流れの性質として「流れやすいところを空気はとおる」のです。
つまり、豆の隙間はまったく通らずに、直接底の穴から空気が抜けてしまいます。
だから、少量の豆を焙煎すると冷却に時間がかかってしまうのです。
それを防ぐ方法は、たったひとつしかありません。
冷却機のかくはん機を動かさずに手で豆を平らにならすのです。
そうすれば、冷却用の空気は必ず豆の隙間を通って効率よく冷やしてくれることになります。

焙煎機のグリスについて
たかが、グリス・・されど、グリス・・
富士ローヤルの焙煎機には、軸受けとしてボールベアリングが使ってあります。
はっきりいって・・・コーヒー豆はあまり重くないし回転スピードも遅いのでベアリングに対する負荷は弱いです。
しかし、弱いといってもグリスが切れれば当然ベアリングが壊れちゃいます。
問題は、そのグリスの塗り方なんです。
グリスは、油を含んでいます。
しかし、焙煎機は熱をだすのでグリスの油分が少しづつ抜けていきます。
(固くなって、ぼろぼろと落ちだす)
その段階になったら、グリスを塗りなおす必要があります。
そのときに古いグリスを落とすのに使うといいのが「ブレーキクリーナー」です。
これを少量グリスにかけて、綿棒で取り除く
それの繰り返しでグリスをきれいに取り除きます。
そのとき気をつけなければならないのは、古いグリスを押し込まないことと 「ブレーキクリーナー」を多くかけないことです。
綿棒でグリスを取り除くことて焙煎機の内部にグリスがはいることはあまりありません。
しかし、グリスを溶かしたときに多くかけすぎると浸透性がいいので焙煎機の内部に入り込んでしまいやすいのです。
それだけは、気をつけねばなりません。
(グリスくさいコーヒーができてしまう)
あとは、焙煎機を回転させておいて「プリントごっこ」のインク用のへらでグリスをベアリングにたっぷりと塗ります。
(ごみやほこりなんかもグリスが止めてくれて一石二鳥なんです)

古くて新しいネルドリップ
なぜ、抽出の王道なのか・・・
コーヒーのうまみを形成している成分には二種類の傾向があります。
ひとつは、松屋式が得意としているお湯に非常に溶けやすい成分・・・
これは、お湯の中に粉を入れておけば溶けるわけではなく、しっかりこの成分を溶かしたら サーバーに排出してやらなければならないものです。
(ボナポットなどでだしにくいのはそのためです)
もうひとつは、物理的な刺激を与えないと溶けにくい成分・・・
コーヒーのオイル分などがこれにあたります。
(これは、ボナポットでもとけます)
ところが・・・この物理的な刺激が強いと不純物も多く溶け込むことになりまずいコーヒーになる可能性が大きいのです。
そして、いれたてなのに濁っているコーヒーはこの部分の抽出の失敗にあたります。
これからわかるのは・・・抽出したらすぐにその成分を排出する機能とコーヒーの粉にやわらかく物理的な刺激を与えて コーヒーのオイル分を溶かしだす機能の二つが必要となるわけです。
その二つの機能を兼ね備えている器具というのがネルドリップなのです。
ペーパードリップでも、ひとつめの成分を溶かすのはネルとは変わりません。
(粉の目詰まりの関係からネルほど細かくはひけない欠点はありますが・・・)
もうひとつの成分であるコーヒーのオイル分を溶かすときに必要な物理的な刺激を与えたときの ネルの特性・・・
・お湯をさしたときにお湯の勢いをやわらかくする柔軟性
・どれだけ細かい粉を使ってもこすことのできるろ過力
このふたつが、手軽な器具がいっぱいでてきても抽出の王道と言わしめている原因だと思います。

抽出の選択性について
たかが、抽出・・されど抽出
フレーバー式カップテストを研究していてわかったことは抽出の選択性というものです。
このフレーバー式カップテストではコーヒーがしっかりとにごります。
それも・・・見事なまでに・・
・ では・・この濁りはなにから生ずるのでしょうか・・・
まだ・・正確にわかっていませんが、どうもコーヒーの油が関係しているんではないかと考えています。
松屋式など透明なコーヒーは、ミキサーにかけるときれいにあわ立ちます。
しかし・・・松屋式で抽出したあとのコーヒーかすとお湯を適当にミキサーに入れて動かしてみると泡が立たないのです。
しかし、そのコーヒーかすを使ったコーヒーであってもカップテストのようなしっかりとしたにごりが生じます。
つまり、コーヒーかすの方に残っていた成分はにごりと関係している成分だということです。
そして、その成分は泡を生じにくい成分ということなんです。
(現段階でその成分がコーヒーの油分という保証はありません。ただなんとなく・・・)
とりあえず、松屋式抽出法というのはコーヒーの成分の一部を選択して抽出していることははっきりとしました。
参考ページ・・・泡の不思議

「蒸らし」という言葉の謎
昔から使われている言葉ですが、ちょっと・・・
ぼくたちコーヒー屋が、焙煎で使うことばで「蒸らし」という言葉があります。
これは、焙煎機の排気を絞って釜の中を「蒸し焼き」状態にすることをいいます。
ぼくも、この言葉になにも違和感もなく使っていました。
当然蒸し焼き状態ですから、空気の流れはめちゃめちゃ遅いもんだと思っていました。
(たぶん、他のコーヒー屋さんも同じだと思う)
昔、自分の焙煎機に排気監視窓というものをつけたときに 排気を絞っているのにチャフ(豆表面の薄皮)が勢いよくとんでいるのにびっくりしたことがあります。
実際に風速計で測定した時にびっくりしました。
一番排気を絞った状態で一秒間に14リットルの空気が流れているのです。
(ちなみに、ぼくの焙煎機のドラムの体積は16リットル)
これだけ空気が流れているのに「蒸らし」ということばはちょっとおかしいんじゃあないでしょうか。
ただ、しっくりとくる言葉をぼくも思いつきませんが・・・・
参考ページ・・・焙煎機の排気 2

炭焼珈琲と過熱水蒸気
なぜぼくが過熱水蒸気に燃えるのか・・・・
昔、ある珈琲屋の社長さんから「炭焼きで煎った珈琲は長くもつ」といわれたことがあります。
(その当時は、あまり意味がわかりませんでした)
そして、たまたまある人から「君の煎ったコーヒーは1ヶ月、香りがもたないよ」といわれたのです。
(いやみではなく、素直な意見・・・相手は珈琲屋さんですから)
もともと、もたないのが普通かなぁと思っていたんですが、 だんだんもしかしたら・・・と思ってきたんです。
それは、過熱水蒸気の研究をはじめて松屋式ドリップをしていて後半ででる成分に 嫌味がでなくなりコーヒーの味が濃くなってきたのに気づいたんです。
もしかして、今までの焙煎方法では豆の内部の化学変化が不足して コーヒー豆がもたなかったんではないか・・・
そんなことを考えるようになったんです。
(単に焙煎技術がなかっただけだったりして・・・・・・)
そう考えると、炭焼珈琲が長くもつといわれたのにもつじつまが合います。
炭焼珈琲は、空気の流れに依存しなくて豆に熱を加えることができます。
豆の成分を抜きにくく熱を安定的に与えられる技のような気がするんです。
(炭焼の焙煎機では、普通のものよりも釜内の温度差がでにくいような気がする)
そして、豆の内部まで化学変化を起こしているので 香りや味がながくもったんじゃあないかと考えました。
もし、この仮説が正しければ過熱水蒸気の焙煎をうまくやれば炭焼の焙煎機よりも 制御が楽で炭焼の焙煎機と同じぐらい焙煎豆が長くもつ焙煎機ができるんじゃあないかと思っています。
さて、この仮説が当たってますことやら・・・・乞うご期待。

焙煎の概念
さるでもわかる焙煎学・・・・
珈琲豆の内部に熱を加える方法は、たった一つの方法しかありません。
豆の表面の温度を上げて表面から徐々に内部に熱伝導で加熱するしかありません。
あたりまえのことを整理すると・・・・
排気温と豆の表面温度との差が大きければ大きいほど豆は熱を吸収するスピードがはやくなります。
(本体温度の上昇スピードがはやい・・・傾きが急になる)
豆の表面温度と豆内部の温度差が大きければ大きいほど豆内部に熱が加わりやすくなります。
(ひじょうに、あたりまえ)
この中で、問題となるのが豆の表面と豆内部の温度差なんです。
焙煎が、温度に依存する以上も豆の表面と豆内部の温度差があれば 化学変化の進行状態に内部と表面に差がでます。
この差を少なくすれば、コーヒーの味が濃くなる事になります。
(非常にあたりまえのことですいません)

最終更新日:2016年 12月 1日 (木)

コーヒーの極意

いろいろな人にコーヒーのいれ方を教えることがあるんです。そのとき、初心者には、
リクツで説明することが多いんです。
リクツは教えやすいんですが、教えられた人は、
教えた人以上になれない欠点があります。
(なぜ、そうなったかの道筋をはしょるから)
となると、リクツを理解した後の上級者向けの説明が必要になります。
(コーヒーに関する考え方のようなもの)
上級者向けの説明はどちらかというとコーヒーの概念のようなものなので、自分なりの
概念に作りかえることができます。
そのときに、初めて教える側を追い越したことになると思います。
そこから、その人の進歩が始まると思います。

炎の不思議
カロリーと温度・・・・ ガスを燃やしたときの熱量は、どれだけのガスを燃やしたかで決まります。 (あたりまえですが・・・・・)
この熱量が、コーヒー豆の焙煎という作業の中で豆の温度を上げることに使われます。 (すんげーーー、あたりまえ)
熱風式焙煎機とは、ガスを燃やした時の熱風使って焙煎する方法です。
ガスを燃やしたときの炎の温度は1000度以上になります。
しかし、すぐに他の空気と混ざったりして高温の空気が大量にできるだけになります。
つまり、ガスをどれだけ燃やしたかによって熱量は決まりますから 炎が近くでも遠くでも熱量は変わらないことになります。 (ロスはこっちにおいといて)
となると、炎は少量で高温の熱風と考える事ができます。
直火式焙煎機で、炎とドラムを離すということは 直火式焙煎機から離れて熱風式焙煎機になるということです。
つまり、直火式焙煎機というものはガスを燃やしたときの熱量のみを 使う焙煎ではなく炎の温度をも使う焙煎法なのだということになります。 つまり、炎の不思議がつまった焙煎法なのです。
(ちょっと、直火式焙煎を誉めすぎかなぁ・・・・)

焙煎機の平衡状態
そのとき火力をあげるべきか・・・・否か コーヒーの焙煎をおこなっている人でないと全く興味のわかないことを書きます。
焙煎機は、豆の温度をはかるセンサーがついていて、豆の投入温度もこのセンサーを 使います。ただし、このセンサーは、釜全体の温度をはかっているわけではないのです。 ちょうど、熱風の通り道にこのセンサーはありますから、熱風の温度を測定しているのです。 (当然、釜に熱が奪われるわけですから、少しは釜温度も反映している)
豆を投入した釜は、当然豆のが温度が低いですから、釜から輻射熱が豆にいきます。 つまり、ガスバーナーの火のエネルギーと釜の持っているエネルギー(輻射熱)を 加えたエネルギーが豆に加わるわけです。 その後、豆の温度があがってくると釜の温度よりも高くなります。 そうすると、もう釜からエネルギーは、もらえなくなります。 (熱は、高い側から低い側へ流れる)
つまり、今までと同じだけエネルギーを豆に与えたければ、釜の温度よりも豆の温度が あがったぐらいの時期に火力をあげてやらなければならないということなんです。
当然、気温なんかによって釜の冷え具合が違いますから、投入温度を一定でやる事には 危険があります。2回目以降の焙煎であっても焙煎後何分たっている釜かによって 大きく変化してしまいます。
釜自体をはかるセンサーがあれば、釜自体の冷え具合もチェックできるし 豆と釜の熱に関する平衡状態がわかって非常に役立ちます。

コーヒーとかえる
刺激のない焙煎について・・・・ こんな話があります。水の中にかえるをいれてゆっくりと水を温めていくとかえるは ゆだって死んでしまうと・・・・・
(実際にぼくは実験してません。かわいそーーで)
かえるをほんのちょっとおどしてやればびっくりして逃げ出せるでしょう。

コーヒー豆のはぜというのは、コーヒー豆が生豆の成分から いり豆の成分に変わらなくっちゃと、 がんばっている状態だと思うんです。
ただただゆっくりとコーヒー豆の温度を上げていくと豆がはぜません。
これは、かえるがゆだって死んでしまうのと同じように 豆ががんばって変化しようとしていないような気がします。
かえると同様にコーヒー豆も少しは、びっくりさせていり豆の成分に変わるように 手助けしてあげなくっちあいけないように思います。
そうすることによって、コーヒー豆は劇的な変化をとげるような気がしてならないのです。
その劇的な変化の引き金は、ほんの少しの刺激で十分なのです。
変化する潜在能力はコーヒー豆のなかにたっぷりと含まれていてそれを引き出すためだけ なのですから・・・・・・
結局、焙煎とはコーヒーの持っている潜在能力をいかに引き出すかということになるようです。たぶん。

たっぷりの愛情をそそいでください
コーヒーを薄めるということ・・・・ 松屋式のドリップでは、人数分の半分まで抽出したら後は、お湯で薄めてしまいます。 この行為にちょっと罪悪感を感じる人は、このように思ってください。 コーヒーのエキスにたっぷりの愛情を注いで始めてコーヒーが出来上がるのです。 つまり、コーヒーを薄めるのではなくコーヒーに愛情を加えるのです。
だから、コーヒーが薄くなるのではなく愛情が濃くなるのです。
ひさしぶりにぼくらしい、いんちきくさい説明をしてしまいました。 (けっこう気に入っていたりして・・・・)

イメージによる焙煎
* ここでかかれていることは、ぼくの焙煎に対する勝手な見解です。 他のコーヒー屋さんは、他の考え方でコーヒーを焙煎していると思います。 どちらが正しいかは、ぼくも良くわかりません。読んだ方が勝手に判断してください。
焙煎の基本
・焙煎は熱によって起こる化学変化である。
・生豆の成分を煎り豆の成分に変化させるには、
一定のプロセスを与えるために一定の時間が必要である
・焙煎の時間を決めるのは、火力と豆の投入温度である。
・コーヒー豆は、水分が抜けなければ煎れない。
・排気を開けすぎると、成分が抜けたスカスカのコーヒーになる。
・排気を絞りすぎると、コーヒー豆が煙をかぶってしまう。
・豆のはぜに必要なのは、熱エネルギーである。
・排気を開けると、火力が相対的に落ちる。
・ドラム内の湿度が高い方が、豆に熱が伝わりやすく豆の成分が飛びにくい。
・外気温が低ければ、排気力は強くなる。
・鋳物の焙煎機は、熱しにくく冷めにくい。

上に書いたのが焙煎における基本的なルールです。
たとえば、火力が高ければ短時間でコーヒー豆を焼くことができます。しかし、コーヒー豆の成分は できません。だから、高速の焙煎機は嫌いです。(使っている焙煎屋さん。ごめんなさい)
電気の焙煎機は、熱量が足りないため排気を高くできません。(温度が下がるから)
排気でコーヒーの味を作るんだから、排気の調整か自分の思い通りにできない焙煎機もだめです。
熱風式の焙煎機は、排気が強くなってコーヒーの成分を残しにくいからちょっとだめです。
てなわけで、焙煎機は昔からあるようなガスの直火式の焙煎機が好きです。 特に、富士ローヤルの機械は大好きです。排気のファンも排気効率ではなくモーターのパワーで排気したり いろいろな部品が非常に改造に適している部分が大好きです。未完成な焙煎機を改造して完成に近づける のが結構楽しいのです。

火力がコーヒーをつくり排気が味をつくる・・・・
ここからが本題です。焙煎のプロセスのイメージです。
コーヒー豆は、排気を絞って焙煎するとドラムの中はサウナのように湿度が上がります。 そして、コーヒーは気持ちよくゆっくりと汗を流します。 一汗かいた後、窓を開けて乾燥させます。 元気よく豆がはぜ始めたら、ついでにたきつけてやります。 豆が煙でむせない程度に排気を開いてやります。

つまり、焙煎とは、コーヒー豆が嫌がらないような操作をして気持ちよく 生豆から煎り豆に脱皮させてあげるお手伝いをすることなんです。

挽いたときのコーヒーの香りをカップの中にいれる
香りを残す方法・・・・ これは、相当技術がいります。松屋式の抽出をひととおりマスターしていなければなりません。
ミルで挽いた瞬間の一番いい香りをコーヒーカップの中まで残す方法なのです。
普通にコーヒーを抽出するとコーヒーを挽いた瞬間の香りとコーヒーを抽出してカップに入ったコーヒーの 香りは少し違います。これは、揮発性の高い香りは抽出したコーヒーまで残らず、 抽出時に飛んでしまうのです。
そこで、この揮発性の高い一番いい香り(挽いた瞬間の香り)の残し方を教えちゃいます。 はっきりいって科学的ではありません。たぶんいつかは科学的説明がつくと思いますが、今のところ 方法だけしかわかりません。
蒸らしは、普通におこないます。
抽出は、30cm以上高い位置からお湯を非常に細く注ぎます。
そのときに、お湯とコーヒーの粉が垂直になるように注ぎます。

たったこれだけなんですが、はっきりいってむずかしいです。
ひまなときにでもチャレンジしてみてください。 そうすると、ミルで挽いたときの香りと同じ香りがコーヒーカップの中まで残すことができます。

豆の種類とたて方(ふかいりのコーヒー)
ふかいりのコーヒーをたてる・・・・ コーヒーとしてはアイスコーヒーやカフェオレなどに使うコーヒーをイメージしてください。 このコーヒーの特長は、成分が溶けやすいこととコーヒー豆が持っている炭酸ガスの量が 通常の2倍あるということです。
(通常のコーヒーが200gあたり500ccの炭酸ガスを持っているのに 対してふかいりのコーヒーは、200gあたり1000cc持っている)
つまり、蒸らしの時間を長く取らないと完全にガスが抜けきれないのです。
(通常3分の蒸らしのところを5分ぐらいすると良い)
ふかいりのコーヒーのもっているうまみと甘味を引き出すには、低温で抽出します。 これは、うまみ、甘味は低温でも溶けるのに対してふかいりの豆に一番多い苦味は 高温で溶ける傾向があるからです。つまり、高温で抽出すると苦味が強くでて うまみと甘味が判りにくくなってしまうのです。
そこで、うまみや甘味を強調するのに 苦味がたくさん溶けないように低温で抽出するわけです。

豆の種類とたて方(苦味系のコーヒー)
苦味系のコーヒーをたてる・・・・ コーヒーとしては、マンデリンをイメージするとわかりやすいと思います。 苦味の強いコーヒーは、酸味系のコーヒーよりも渋みがでにくい傾向にあります。 そして、少しぐらい渋みがはいっても苦味が味として強いのであまり、気になりません。 その少しの渋みとミルクが混ざるとコーヒーのコクが増します。
つまり、抽出のときに普段よりも長めに抽出してもいいのです。 そうしたほうが、苦味系のコーヒーが、そのコーヒーらしくなるような気がします。
(この苦味系のコーヒーは、豆が持っている苦味のことでふかいりの苦味ではありません。)

豆の種類とたて方(酸味系のコーヒー)
酸味系のコーヒーをたてる・・・・ キリマンジャロのような酸味系の豆をイメージしていただくとわかりやすいと思います。 酸味の強いコーヒーは、渋みを必ずといっていいほど持っています。 となると、この渋みをださないように抽出すればいいわけです。
つまり、酸味系のコーヒーは、普通のコーヒーよりも渋みを多く持っていて、 普通のコーヒーを抽出するときよりも早めに渋み、いやみがでてくるというわけです。
そのぶん、普通のコーヒーよりも早めに抽出をきりあげてお湯で薄めればいいわけです。

豆の種類とたて方(モカ)
モカをたてる・・・・ モカの特長といえば、あの独特の強い香りとコーヒーの甘さだと思います。 (ふかいりのコーヒーの甘さではなくコーヒー豆が持っている甘さ)
欠点は、死豆が混入していたり、発酵豆が混ざっていたりしたときかびくささでしょう。 (焙煎でモカの持っているかび臭さをある程度消すことができますが・・・・)
いれ方のポイントとしては、蒸らしをしたあと、抽出の時できるだけ早くひたひたの 状態にします。お湯の太さを太くするのではなく細く少しスピーディーに円を描くのです。
そして、ひたひたになったらその状態を維持するようにお湯をさします。もし、お湯が よく通るように感じたら、ほんの少しだけコーヒーを細かくひきます。 こうすると、非常に高い濃度のコーヒー液ができることになりかび臭さが溶けにくくなります。 そして、普通より少し早めにきりあげます。(人数分より手前)

ドリップの心得 2
心でたてる・・・・ これは、信じる人だけ信じてください。はっきりいっていんちきくさいです。 ただし、ぼくはこれが極意だと思っています。
コーヒーを抽出するとき、半眼でコーヒーをいとおしむような感じでコーヒーを抽出します。 そして、好きな人を思い描いて、その人の喜ぶ姿を心に描いてください。 抽出技術が同じならば、心で思い描ける人の方がコーヒーはおいしくなります。
コーヒーの抽出は、9割は技術力で1割は精神力だと思います。 あとの+αは、人柄だと思います。 いんちきくさくて、すいません。

ドリップの心得
大草原でコーヒーをたてる・・・・ コーヒーの抽出を練習しているとだんだん細かいことにこだわるようになっちゃうんです。 つまり、お湯を細く注ごうとかお湯できれいに円を描こうだとか思っちゃうんです。 すべて大切な技術なんですが、最終的にはコーヒーがうまければいいんです。 ある程度技術ができてきた人には、大草原でコーヒーをたててるようにイメージしてもらいます。 そうすることで細かいことにこだわらずにコーヒーをたてることができます。 それと、必ず左手を腰に手をあてて胸をはってもらいます。 これは、腰に手をあてることにより重心が安定するし、 胸をはることによりコーヒーと目の距離が遠くなります。 コーヒーは全体を見ながら抽出するものなのです。 一点を見ながら抽出するとコーヒー豆の状態がわからなくなってしまうのです。 ちなみに、人間の目は真剣にじっと見るときは望遠レンズのように視野が狭くなり、ほげーっと しているときは、広角レンズのように視野が広くなります。コーヒーは、ほげーっとした状態での抽出が ベストです。
ほげーっとした状態・・・・なーんも考えていない無心の状態

松屋式 vs カリタ式
同じペーパードリップでもスタートが違います・・・・ 松屋式ドリップは、喫茶店など業務用の技術から発生しています。 業務用のコーヒーの場合、どうしても古かったりくず豆が入っていたりと コーヒー豆のレベルとしては高いとは言えません。
そのコーヒーで業務用の場合は、大量だしや長時間味が変わらないコーヒー そして、なによりもおいしいコーヒーを作らなければならないのです。 その難しい命題を克服しょうというところから松屋式ドリップは発達してきました。

それに対して、カリタ式ドリップは家庭用コーヒーと共に発達してきました。 自家焙煎の挽き売り店と共に発達したともいえます。
(ほとんどの自家焙煎のコーヒー屋さんが指導している抽出法)
自家焙煎のコーヒー屋さんの豆はいりたてで新鮮なうえハンドピックも行われています。 つまり、コーヒーのレベルとしては高いと思います。
(すべての店がレベル高いとは限りませんが・・・・)
カリタ式のドリップは、コーヒーの持っている味に依存するいれ方なのです。
だから、レベルの高いコーヒーならばカリタ式でもそれなりにおいしくなるんです。
家庭用では、コーヒー液を半日もたせたり大量のコーヒーを作ったりすることは普通ありませんから。 では、自家焙煎の挽き売り店のコーヒー豆で松屋式ドリップをしたらどうなるでしょう。
・・・・・・・うまいに決まっているでしょうが。当然

自分がコーヒーだったら
コーヒーの立場になって考える・・・・ 焙煎も抽出もすべて人間の側にたって行っています。焙煎ではガス圧だとか排気温だとか 数字に置き換えます。抽出でも湯の温度が何度だとか蒸らしが何分だとかやっています。 これは、すべて人間の立場であってコーヒーの立場ではありません。コーヒーの内部で 起こっていることは、コーヒーの立場になってみなければわかりません。 コーヒーの立場にたって耳をすませれば、どうすればいいかわかってくるような気がします。 そのあと、人間の立場で翻訳をすればいいのです。
うーーーん、哲学だなぁ。(とりあえず、ちゃかしてみる)

おいしいコーヒーは・・・
おいしいコーヒーは飲み物のひとつに過ぎない・・・・ コーヒー屋をやっているとまずいコーヒーなんかコーヒーでないと思ってしまいます。 インスタントコーヒーや缶コーヒーなんかはコーヒーでないと思ってしまいます。 だけど、コーヒーメーカーのコーヒーがおいしいという人がいたり インスタントや缶コーヒーが好きという人も確実にいます。 相手の好みに対して文句をいうことよりも相手の好みをみとめてから、 自分らしいコーヒーをたててあげましょう。 長い時間かけておいしいと思ってしまった記憶を慌てて変えさせるる必要はありません。 おいしいと思ってくれるまでのんびりといきましょう。 おいしいコーヒーも飲み物のひとつに過ぎないのですから。

悪い生徒も使いよう
渋み、いやみについて・・・・ 集団行動が苦手だったりする生徒は、逆にいえば、独立心が旺盛だったりします。 ほんの一面をみてすべてをみたつもりになってはいけないんです。 つまり悪い生徒もいい面があったりするんです。 コーヒーの後半ででてくる渋みは単体では悪い生徒なんです。 しかし、うまみのだけのコーヒーにすこし渋みがはいるとミルクが入ったときに こくがうまれるんです。いやみがまったくないコーヒーもブラックで飲むにはいいですが、 渋みを少しいれたコーヒーにミルクをいれて飲むのもけっこうオツなものなのです。

良い生徒と悪い生徒
松屋式の抽出について・・・・ 学校では良い生徒もいれば悪い生徒もいます。いろいろいてはじめて学校です。 コーヒーの抽出とは、良い生徒だけを集める作業なのです。 学校で避難訓練をすれば、良い生徒はすばやく校舎から避難するでしょう。 しかし、悪い生徒は、かったるいなぁといいながらだらだらと避難するんです。 だから、良い生徒が避難したらすぐにドアを閉めちゃえば良い生徒だけを 集めることができるわけです。これが、コーヒーの抽出です。 コーヒーを蒸らして抽出にはいったらうまみが早くとけてきますので うまみがとけたらすぐにやめてしまえば、うまみだけのコーヒーができるわけです。

コーヒーと小鳥(2)
松屋式コーヒーの抽出法・・・・松屋式ドリップはあさいりのコーヒーでもけっこううまくいきます。 卵もふんも持っている小鳥の卵だけをとりたかったら、小鳥をお風呂にいれるように そっと刺激を与えないようにお湯をさすんです。 そうすると、小鳥は気持ち良くなって卵を落としてしまうのです。 しかし、ゆったりと気持ちよくなっただけなんでふんは落とさずに済んでしまうのです。 ふかいりのコーヒーの場合は最初からふんを持っていない小鳥のわけですから 簡単にうまくいってしまうのです。

コーヒーと小鳥(1)
カリタ式コーヒーの抽出法・・・・ふかいりのコーヒーは、ふんをだした後の小鳥のようなものなんです。 小鳥は、卵をかかえてじっとしているんです。そこに、勢いよく小鳥たちを脅すようにお湯を注ぐと 驚いた小鳥はびっくりして卵を落としてしまうんです。その、小鳥の卵がコーヒーのおいしい成分なんです。 ところが、この抽出の欠点は、ふんをだす前の小鳥では、びっくりすると卵も落とすけれどふんも同時に 落としてしまうのです。ふんを落とさせずに卵だけを落とさせるのが非常に難しいのです。 ちなみに、ふんも卵も持っている小鳥があさいりのコーヒーなのです。ですから、コーヒーの抽出は あさいりのほうが難しいのです。

最終更新日:2016年 9月 28日 (水)

顕微鏡の世界

たまたま・・・コロンビアという豆がくもる現象が起こりました・・・
最初は焙煎の失敗かと思いました・・・
しかし・・・その袋の豆は同じように豆がくもったのです
どうしようと思いました・・・
当然、返品というのも考えました・・・
ただ・・・うちの店にこんな豆がきたのは何かの縁です。
だから・・・なぜくもるかを研究してみました・・・
ちなみに・・・この研究のために顕微鏡やCCDカメラ(顕微鏡に取り付けるやつ)を買っちゃいました・・・

くもるコーヒーの生豆・表面(90倍)

くもるコーヒーの生豆・表面(180倍)

くもるコーヒーの煎り豆・表面(90倍)

くもるコーヒーの煎り豆・表面(180倍)

くもる豆の特長について・・・

これは・・すべてのくもる豆に通用するわけではないと思います。
ただ・・・ぼくが焙煎していて気がついた部分をあげてみたいと思います。
・チャフの量が非常に少ない・・・・・
これは・・蒸らしが終わったころ(約10分後)に豆から外れているチャフの量が少ないと思いました。
それと、その時のチャフが細かいことが特長だと思いました。
・ハンドピックをすると手が非常に汚れる
・豆の煎り止めの時には、コーヒーはくもっていずに冷却で一気にくもる。

普通の生豆・表面 (90倍)

普通の生豆・表面 (180倍)

普通の煎り豆・表面 (90倍)

普通の煎り豆・表面 (180倍)

くもる豆と普通の豆を顕微鏡でみてみると・・・・

実際にくもる豆と普通の豆の表面を顕微鏡でみてみました。
そうすると・・・ひとつの特長がみられました。
くもる豆の生豆表面は、泡のようにみえる内部の細胞がむきだしに近いと思いました。
普通の生豆は、ちょうどゼリーのようなものの中に泡が浮かんでいるような感じにみえるのに くもる豆の方は、ゼリーのような感じがないのです。
泡のような細胞が表面まで達していて壊れているような感じさえみえます。
そして、焙煎した豆の表面をみるともっと顕著になります。
くもる豆の方は、表面がざらついた感じになっていて泡のような細胞がほとんど壊れたようにみえます。
それに対して、普通の豆の方は泡のような細胞がしっかりと確認できます。
このゼリーのような感じがないと表面がけばだって壊れてくもるのだと思います。

くもる豆・断面 (180倍)

普通の生豆・断面 (180倍)

くもる豆と普通の豆の断面を調べる・・・・

普通の生豆とくもる生豆をスライスして断面を調べてみました。
普通の豆の表面部分は薄く白いような膜状の部分が見えます。
しかし、くもる豆の方はその部分が見当たりません。
どうも、くもるかくもらないかは、この薄い膜状の部分がコーヒー豆を保護しているかどうかで決まるような気がしました。
この白い部分がロウ質といわれるワックス部分なのかどうかは、さすかに結論づけるのはちょっと無理があるのでやめました。

とりあえず・・・
わかったのは、くもるという現象は、豆の表面のけばだちでありそのけばだちは焙煎した時よりも冷却で豆のサイズか小さくなったときに 豆表面にできるということまではわかりました。(豆の長径で0.02mmほど小さくなる)
次にくもる豆を焙煎する機会ができたらもう少し詳しく実験できると思います。
なんせ・・・・顕微鏡やCCDカメラが届いたのがその手の豆がなくなってからでしたから・・・・

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

コーヒーで燻製をつくろう

コーヒーは焙煎という工程によってコーヒー独特の味や香りが 出来上がります。生豆の状態では、青臭いようなお世辞にも いい香りとはいえない代物です。それが、焙煎という工程を経て 始めてあのコーヒー独特の香りがつくられるのです。 だったら、その焙煎のときにでる煙を利用して燻製を作ったらうまいんじゃあ ないだろうかと考えて試してみました。

燻製の材料

煙突に材料を入れる

出来上がり

煙突を使った燻製

煙突掃除用のふたをはずして、煙突の中に燻製の材料を入れます。
(試したのは、チーズとソーセージ)
この状態でいつも同じように焙煎をします。 実際には、煙突内の温度は、40℃から100℃前後になり通常の燻製機と なんら変わりません。ちなみに、左の写真は10回焙煎した後の燻製です。 実際に食べてみると煙の流れがはやすぎて煙っぽさがなく燻製らしくないように感じました。 それと、水の抜けが強すぎるように感じました。ただし、まずくなかったです。

(写真・燻製機のアミの上に材料がのっている)

コーヒー燻製機を作る

焙煎した直後のコーヒーは、大量の煙を出しています。 通常の焙煎では、冷却機にいれてコーヒーを冷やして焙煎の進行をとめます。 この焙煎直後のコーヒーを缶にいれその上に燻製の材料を置いておけば 勝手に燻製が出来上がると考えました。 ついでに、排気を調整するするためのシャッタもつけておきました。

いりたてのコーヒーを缶にいれる

本体(材料がはいっている缶)をのせる

(写真・燻製もどき?)

燻製機で燻製をつくってみる

1回目は、豆を2はぜまで焙煎して排気を全閉でやってみました。
これは、めちゃくちゃ苦くなってしまって食べれる代物ではなかった。
2回目は、1はぜまで焙煎して排気を全開にしてみました。
このときは、思ったよりも材料に煙の匂いがつかずに燻製らしさが でませんでした。

燻製機の問題点としては、
・煙の絶対量が少なすぎる。(加熱がないため煙の供給不足)
・燻製機内の湿度か高すぎる(コーヒー豆の持っている水分だと思う)

てなわけで、コーヒー豆のはいる缶の底に穴を多数あけて、下からヒーターで 熱を加えるように改造することにしました。

燻製機・改(ヒーター付)

くず豆をいれて下から加熱

燻製機・改で燻製に再度チャレンジする

前回の燻製の失敗は、コーヒーを煎ったときの煙を利用して燻製をつくったんです。 煙をこもらせると、苦くなってとても食べられたものではなかったんです。 逆に排気を全開にしておくと燻製らしくならないんです。 そこで、煙を連続的に供給するように下からヒーターで加熱するようにしたのです。 ところが、燻製機内の湿度が高くなりすぎて思うように燻製にならないのです。
煙には、液体の煙と固体の煙があります(液体の煙とは、雲のように細かい液体の粒のことです。 そして、固体の煙とは煙の粒子です) つまり、ひかりを反射するためにはこのどちらかでなければならないはずです。 燻製で使う煙は固体の煙ではないかということです。 つまり、サクラなどのチップを燃やした煙は、固体の煙ではないかと 思いました。結局、煙の粒子(固体)がチーズなどの表面に吸着して燻製が出来るのです。 ところが、コーヒーを燃やそうとすると液体の煙が大半をしめているため 思うように固体の煙がチーズの表面に吸着されないのです。 このコーヒーを燃やしたときの液体の煙が、コーヒーの燻製を失敗させる原因ではないかと 思いました。(今回の説はひじょーーーーに自信がない。ただ、まずい燻製をもう食べたくないので ちょっと強引に結論を導いてしまいました。)

コーヒーで燻製はやめましょう !!

最終更新日:2016年 9月 28日 (水)

オイルローストコーヒーをつくろう

(写真・オイル ローストマシン)

てんぷら油でコーヒーを煎ってみる

焙煎とは、コーヒー豆に熱を加えてコーヒー豆の成分を化学変化させる作業です。 ということは、焙煎機で焙煎しなくても油で揚げてもコーヒー豆は焙煎できるんじゃあ ないかと思ったんです。 (しゃれのつもりで考えていたら、特許の公開公報にでているらしい・・・人間考えることは同じみたい)
ちなみに、“コーヒー焙煎の化学と技術”という本の128P、 ”その他の焙煎方法”の項目に載っていました。
その本によると、”コーヒー豆を180-260度に加熱した植物油脂に定時間接触させることによって焙煎し 冷却後油分を遠心分離機にて除去する技術”と書いてありました。 コーヒーを油で揚げるのが自分が最初ではない事がわかりちょっと残念。

(写真・油の中入れてすぐのコーヒー豆)

とりあえず揚げてみる

1回目は油の温度180度でコーヒー豆をいれてみました。 ひくい温度でいれるとどうもコーヒーが、カラッと揚がらないばかりか豆のはぜが 弱いようです。それと、非常に油がまわった感じてきれいに出来ませんでした。 いわゆるべたべたした感じ。 (実際、油で揚げてもコーヒー豆ははぜがおこるのには驚きました)

(写真・きれいに油で焙煎されている)

二度目のチャレンジ

二度目は、油の温度225度にしてみました。これは、はっきりいってこわいです。 油から煙が出始めて火が入りそうなぐらいの温度にしてからコーヒー豆を 投入しました。この温度で、コーヒーをいれると水分が勢いよく蒸発していき きれいにコーヒー色になってきます。そして、豆が勢いよくはぜて静かになって 泡が少なくなってきたら油からとりだしてペーパーフィルターでこして 油をとります。乾いたペーパーで出来る限り油を吸わせます。

(写真・生豆とオイルローストしたコーヒー)

できあがり

実際にコーヒーをいれてみました。 ひいて香りを調べると普通に焙煎したものと比べると香りが弱いように思います。 そして、ちょっと油の香りが残っていました。 松屋式ドリップでいれたのですが、最初の蒸らしの段階のふくらみは、 少ししかありませんでした。 ただし、コーヒー液のほうに油が浮くことはありませんでした。 これは、コーヒー豆が油を吸着していて流れ出すのを防いでいるからだと思います。

味について
コーヒーの味ですが、油の味はほとんど感じませんでした。(残念ながら、全くではない) コーヒーも、けっこう飲めました。しかし、普通の焙煎機で焙煎したものと比べると 明らかに味と香りが弱く感じました。
油で焙煎する場合高温の油で焙煎しなければならず、短時間で焙煎が終了してしまって コーヒーの成分が完全に変化していないように思いました。 しかし、実際飲めるコーヒーになってちょっと驚きました。注・・・・よい子はまねをしないでください。 はっきりいってめちゃくちゃこわいです。

最終更新日:2016年 9月 28日 (水)

オイルローストコーヒーを試す・週刊フレーバー
オイルローストコーヒーを極める・週刊フレーバー

過熱水蒸気研究ノート

過熱水蒸気を研究していていろいろな疑問やアイデアが出てくることがあります。
すぐに実現はできなくても将来なんかに使えそうなこと を書いておくページかあっていいかなぁとおもいました。
はっきりいって、ここでかかれていることはまだまだ根拠までいっていないことが多いと思います。
しかし、アイデアなんてもんはそんなところからだんだん理屈がみつかり形になっていくものだと思います。
単なる直感・・・・・最初のスタートはそんなもんじゃあないでしょうかねぇ・・・

過熱水蒸気と遠赤外線
「オオハタ・メソッド」をやっていて遠赤外線の可能性がみえてきた気がします
焙煎最後の段階・・つまり足並みをそろえるときに過熱水蒸気と遠赤外線を同時に使う
これはいけるかも・・と思っています
ガスを燃やすと熱量が発生します(あたりまえ・・・)
その熱量の一部をコーヒー豆に伝えてコーヒー豆の温度を上げます
(これも・・あたりまえ)
コーヒー豆の温度と排気温が同じになった場合は、平衡状態になる
(ここではコーヒー豆を単純に「もの」として考えています)
足並みをそろえることがコーヒー豆の内部と表面の温度差をなくすと考えれば・・・
排気温が低くて熱量が高い状態が理想ということになります
(オオハタ・メソッドの根本原理)
このときに遠赤外線を豆に当てるようにすれば・・・
遠赤外線は空気を関係なく豆表面に到達します
そして、熱源がガスを使う以上熱量はかわりません
セラミックや石などに炎をあてた場合、必ず炎の温度よりも大幅に下がります
つまり、低い温度で高い熱量を打ち込むのに過熱水蒸気と遠赤外線は似ているのです
これから考えると過熱水蒸気と一番相性のいい焙煎機は 炭火を使ったものということになります

オオハタ・メソッド
今まで過熱水蒸気の活用法は「蒸らし」の段階と限られていました
(ぼくてきにはそれで十分だと思っていました)
ところが新しい活用方法が発見されたのです
(横浜のコーヒー屋・大畑氏によって発見される)
それも・・追試すると非常に効果が大きくでる
(結果にちょっと驚きました)
名づけて「オオハタ・メソッド」

「オオハタ・メソッド」の基本原理
焙煎の後半・・・釜だしの手前で豆の表面と内部の温度差を減らすために
「足並みをそろえる」という方法があります
これはバーナーを下げたり火力を落としたりして豆の表面にかかる熱を弱くするのです
そうすると豆表面の焙煎の進行が遅くなります
それに対して内部の焙煎は表面と内部の温度差に依存しますから今までどおりの進行になります
それによって表面と内部の焙煎の進行度合いを近づけていくのです
そこの部分で蒸気を混ぜるとどうなるか・・・
まず・・・バーナーの熱風の温度が蒸気と混ざることによって下がります
つまり・・・表面の焙煎の進行を抑えることができます
ところが熱量は、今までの火力以上ありますから内部に打ち込まれる熱量は上がるのです
それにより・・・足並みをそろえるのが非常に楽になります

効果として・・・
豆内部の焙煎が確実になります
つまり煎りムラ・芯残りかまったくなくなります
豆表目の焙煎の進行が緩やかになる分釜だしのタイミングを計るのが楽になります
味的には濃厚になることと・苦味が緩やかになること・雑味が消えること
この三点が一番の効果だと思います

それ以外の効果場現在検証中です
ちなみに・・ぼくの開発した技術ではないので細かいノウハウは書きませんでした
詳しいことを知りたければ横浜のコーヒー屋・まめまめさんに聞いてください

過熱水蒸気とはぜの関係について
過熱水蒸気は成分を飛ばさずに水分を抜くという優れた効果を持っています
しかし・・これは諸刃の剣でもあるのです
過熱水蒸気を蒸らし段階で送りすぎると豆をはぜさせるエネルギーがなくなる可能性も持っています
では・・どうすればいいか・・
豆の量や豆の種類なんか関係なくはぜの音を聞けばわかるのです
つまり・・・はぜの音が思ったよりも小さく感じたら蒸気を送り込む時間を少し短くするだけです
そうすると・・豆の水分を抜く量が少し減ってはぜるための水分が残ってくれるのです
当然・・・水の抜けやすい豆や少量焙煎の場合は蒸気の量を減らす必要があります
逆に固い豆や豆の量が多いときは蒸気を多く入れる必要があります
その目安がはぜの音だけで判定すればいいのです
とりあえず・・・そこまでは解明できました

ロブ臭を消せる可能性について
このごろ、過熱水蒸気焙煎の試験を頼まれることが多くなりました。
(ほとんど・・・商社や缶コーヒーのメーカーなど・・・)
その中で、ロブスタを焙煎したときにロブ臭を消せるかを試しました。
・・・・・・確かに、通常の焙煎と比べるとロブ臭が弱くなります。
蒸気のあて方を変えるともっともっと消すことができるでしょう・・・
(まだまだ実験の途中・・・・)
このロブスタを焙煎していて気が付いたことがあります。
・・・・・・・・・・
ぼくは、焙煎をチェックするときに松屋式抽出法を使います。
後半部分での雑味や渋味がどれくらいでるかを調べます。
そして、この部分で雑味がでない焙煎を心がけます。
実は、過熱水蒸気を焙煎に使うとこの後半部分の雑味に変化が起こるんです。
つまり、雑味や渋味が非常に弱くなる傾向があるんです。
今まで、この理由を単に化学変化がきれいに進んでいるからだろうと考えていました。
ところが・・・今回のロブスタを焙煎していてロブ臭が弱くなったところをみると・・・
それほど単純ではなさそうです。
ただ・・・
アラビカ種の雑味とロブスタ種特有のロブ臭やあの大豆っぽさが、同じような性質だったら・・・
蒸気のあて方を研究すると、すべてのコーヒーの雑味を消すことが可能かもしれません。
とりあえず、蒸気のあて方をいろいろとやってロブ臭の消え方を調べてみます。
そして、大手の研究所に持っていて調べてもらおうと思います。
(大手と知り合いになったことは非常にラッキーでした)

なぜ・・過熱水蒸気を完成までこぎつけることができたか・・
このごろ・・・過熱水蒸気に関する特許に目を通していてわかったことがあります。
なぜ・・大手企業がこの研究で失敗したか・・・
(実は・・・過熱水蒸気をコーヒーの焙煎に使うというアイデア自体は多くの企業が取り組んでいる)
これは・・・スタートの違いが原因だったのです。
ぼくは・・・残念ながら高温の過熱水蒸気をつくることができなかったのです。
そのため・・・仕方ないので乾燥逆転温度以上の温度での釜内の湿度を上げることだけに焦点を絞ったのです。
ところが・・・大手の研究はもっぱら高温蒸気の一番の性質である熱伝達性に着目していました。
つまり・・・熱源として蒸気を利用しようと考えたのです。
このスタートラインの違いがぼくにとってのラッキーでした。
湿度をあげるためだけの蒸気ということは・・パワーがいりません。
熱源は、ガスなど他のものでいいのです。
コーヒーというものは、単に煎るわけではなく非常に複雑な科学変化なのです。
ですから、その科学変化の手助けをするのが焙煎という作業なのです。
豆の成分を残していかに自由に豆の水分をコントロールできるか・・・
ここにだけ・・・・特化したことがよかったんだと思います。

過熱水蒸気を使うと少量焙煎が可能になる・・
焙煎屋で、最初からある程度のコーヒーが売れればいいですが最初のころはどうしても売れる量が少ないのです。
となると、大量に焙煎して冷凍庫にいれてごまかすか、少量焙煎をするかのどちらかになります。
実は・・・
少量焙煎が曲者で非常に難しいのです。
なぜ難しいかというと、コーヒーの成分が飛びやすいのです。
釜の容積に対して豆の量が少ないと蒸らしの段階で釜内の湿度が上がらないのです。
そして、その状態で蒸らしを行うと水分が抜けるときに成分まで飛んでしまうという欠点があります。
つまり、この釜内の湿度をコントロールできないことが少量焙煎を難しくしているのです。
ところが・・・
過熱水蒸気を使うとこの釜内の湿度を自由にコントロールすることができるようになります。
そして、少量焙煎でも成分を飛ばすことなく蒸らしが可能になります。
実際に、3kg釜で200gの焙煎も可能になりました・・・・
(実験ではやりますが・・通常200gで焙煎なんてしませんがね)
ちなみに・・・手網焙煎の欠点は、この湿度のコントロールができないためスカスカな味になってしまうのです。


蒸気を送り込むタイミングについて
焙煎機内に蒸気を送り込むタイミングは直火式と熱風式では明らかにタイミングがずれます。
直火式では、豆を投入してから3分ぐらいたった中点ぐらいで蒸気を投入します。
しかし、熱風式では豆を投入してから5分ぐらいのとこで蒸気を投入することになります。
これは、焙煎機によって釜内の雰囲気温度が乾燥逆転温度に達するタイミングがずれることによります。
直火式では3分後には排気温が170度前後に達しますが、熱風式では3分後では140度ぐらいにしかなりません。
過熱水蒸気の乾燥能力を使う以上この乾燥逆転温度にあわせて蒸気を送り込むしかないのです。
乾燥逆転温度よりも低い温度帯で蒸気を送り込むと豆の水が逆に抜けにくくなってコーヒー豆の内部に残っている 水によって化学変化の邪魔をしてコーヒーの味が弱くなったりします。
つまり、蒸気を送るタイミングを間違うとコーヒーの味が濃くなるんではなくて逆の減少を起こすことになります。
ちなみに、排気温をはかる場所はコーヒー豆の集まっているところを通過していないところではかります。
そうしないと、コーヒー豆に熱を取られてしまった後の排気温では、乾燥逆転温度に達するのはずーーっとあとになってしまうのです。

熱風式焙煎の特性について
フジローヤルの焙煎機には炎が当たる部分が網になっている直火式と炎が当たる部分は鉄板で奥が網になっている熱風式の二種類があります。
熱風式の焙煎機を使った感じでは、
・豆がよく膨らむ
・香りがいい
・油のまわりが早い
などの特長がみられます。
この原因を考えてみました。
熱風式焙煎機のシリンダーに入り込む前の温度は450度ぐらいです。
排気温自体では豆投入から3分後に直火式では170度に達するのに対して 熱風式では140度ぐらいまでしか達しません。
つまり、同じ量のガスを燃やしてもこの温度差はなにを意味するかというと 直火では、燃焼した炎の熱の一部はそのまま排気としてでていってしまっているということです。
(だから、熱風式よりも排気温が高くなってしまう)
それに対して、熱風式では確実に熱風の状態でシリンダーに入り込んで豆に対してスルーで熱が抜けることが少ないのです。
その状態では、シリンダー内の温度分布にあまり差がなく低温で大量の熱風で焙煎が進むことになります。
直火式の場合は、炎が当たっているところと当たっていないところの温度差が大きく豆に対して熱しながら冷やしているような状態になっています。
(炎と冷たい空気を同時に吸う状態になるため・・・)
豆をいるということでいえば熱風式のほうが有利な気がします。
豆の表面から徐々に内部まで煎り上げられていき、豆全体がはぜるので直火式の豆よりも熱風式の豆のほうが煎りあがりの体積がおおきいのです。
このようにかくとどうみても、熱風式のほうが性能のいい焙煎方法のように感じると思います。
しかし、ここの焙煎方法には大きな弱点があるのです。
豆表面の細胞の崩壊をひきおこしやすい。
つまり、香りを豆の内部に閉じ込めたり酸素をふせいだりするはずの豆表面の細胞の崩壊は劣化のスピードを促進させてしまうのです。
直火式の場合、豆の表面の細胞を壊さずに済ませることができてコーヒーの成分の放出を最小限に押さえることができる可能性があるような気がします。
(通常、香りが飛びにくいので直火式は香りが弱いといわれる)
だから、直火式のコーヒーの方が濃いコーヒーができるといわれるゆえんだと思います。
ついでにいうと、炭焼コーヒーは直火式の中でも遠赤外線で直接豆に熱を伝える焙煎方法で、 排気として冷たい空気を吸って豆を冷やす構造で直火式の焙煎方法と同じ状態だと思います。
そう考えると、炭焼珈琲の方が長持ちするという話も現実味を持ってくる。
とりあえず、現段階の仮説ですが・・・・・

においセンサーの可能性について
ぼくのなかでは、焙煎したときのにおいだけで焙煎を評価してもいいんじゃあないかと思っています。
本来、焙煎というのは味や香りなど総合的に判断して評価するべきでしょう。
しかし、そんなことをいっていたら焙煎を評価する物差しなんてできません。
そこで、においだけを取り出して焙煎の評価に使おうと思ったのです。
ぼくは、過熱水蒸気の実験をやっていて、この焙煎方法ではこんな効果が期待できると結論がでたとします。
しかし、残念ながら普通のカップテストやいろいろな分析では思うような結果がでなかったのです。
ところが、普通のカップテストではなく、通常のドリップなんかで調べてもらうとけっこうぼくの思っている結果と一致するのです。
つまり、カップテストや抽出液の分析の場合、再現性を重視するあまりに精度を落としている部分があるんです。
それは、生豆の成分が煎り豆の成分に変化している度合いをみることなんです。
内部と表面の煎りむらと豆の成分の放出を分析しにくいのではないかと思ったのです。
(実は、サンプルロースターの構造をみててそう思った)
だったら、においというものだけを調べて焙煎の良し悪しを判断できる特性をみつければいいんじゃあないかと思ったのです。
データーの中から見えてくる真実をみつけてみたいなぁ・・・乞うご期待!

蒸気の熱伝達性と過熱水蒸気焙煎について
蒸気の熱伝達性というのは、乾燥空気の10倍といわれています。
ということは、乾燥空気の 1/10 の量で同じ熱量を豆に伝えることができることになります。
そして、大量の乾燥空気で豆を暖めると豆の成分が多く抜けることになります。
(過熱水蒸気を使った乾燥では、ビタミンなども破壊されにくいといわれている)
つまり、水を抜いたり熱を伝えるということだけを考えると乾燥空気よりも、蒸気を使ったほうが有利といえます。
しかし、コーヒー豆の持っているすべての成分を残しておくことが正しいのかというとそうとは限りません。
つまり、熱風式のように成分をある程度抜いても軽い感じのコーヒーの方がいいところもあるのです。
蒸気を使って水を意図的に抜いたり排気を絞って意図的に熱を加えたりとかは、コーヒー豆の焙煎自体を 焙煎者の意図で焙煎することを可能にする技術だと思います。
つまり、手軽な焙煎ならば熱風式の焙煎機で熱風式にあった豆(水の抜けやすい豆)を使って焙煎して 大量生産をすればいいのです。
そうではなくて、少量生産でよそのコーヒー屋さんと違う味のコーヒーを目指すときには、直火式の焙煎機で過熱水蒸気を使った焙煎機に価値がでるような気がします。
問題は・・・どちらがいいというのではなくてお互いが共存してコーヒーというものの幅を広げていくことだと思います。

蒸気をあてる時間について
過熱水蒸気という技術は、まだ未完成です。
豆に対して、どれだけの蒸気をあてたときが一番ベストかがまだ完全にわかっていません。
わかっているのは、
ずーーーーっとあてて焙煎するとコーヒー豆の科学変化がおきずに味が弱くなって逆効果になるということ
前半の蒸らしといわれる段階に入れるのが効果的であるということ
かたい豆は、ちょっと長めに送りやわらかい豆は短めにおくるということ
そんなことぐらいなのです。
たとえば、
水分量がこれくらいだったら何分だとか・・・
モカならば、何分とか・・
そこまでがわかってきたら、完璧なんですけどねぇ・・・
まだまだ先は長い・・・・かな

煙を消せる可能性について
焙煎機のクリンカーを研究していて思ったことがあります。
煙の大半は焙煎時にでる微粒子にオイル分が付着して煙の粒子になっています。
(基本的に、煙というのは液体か固体でしか存在しない)
その微粒子をもう少し大きくしたら・・・・
つまり、その微粒子に水蒸気を混ぜて重くしたら・・・・
サイクロンで落とせる可能性があります。
そうすれば、煙自体が消せる可能性があります。
そのためには・・・・煙突内の温度をモニターして決まった温度にするように 超音波を使った霧なんかを放り込んで煙の微粒子を重たくして・・・・
なんか・・・
本当にできそうな気がしてきたなぁ
・・・超音波を使うアイデアは、「K大学」の「H先生」のアドバイスでして・・・・

スペシャリティーコーヒーは、本当にスペシャリティーなのか・・・
過熱水蒸気を研究していてなぜかコーヒーの品質というものを考えてしまうことがあります。
ぼくの店では、エチオピア・デルガーゴという国連コーヒーを扱っていたりします。
いわゆる高品質といわれている豆です。
(それに不満はないのですが・・・・)
実は、焙煎を研究していると簡単に水が抜けて焙煎が非常に楽な豆と水が抜けにくくて焙煎が難しい豆があります。
エチオピア・デルガーゴなんかは、水が抜けやすくて非常に焙煎がしやすく楽な豆なんです。
焙煎屋にとってお気楽な感じの豆といってもいいでしょう。
それに対して、かたい豆は水も抜けにくく焙煎がしにくく大した豆ではないなぁと思っていました。
ところが・・・・そんな豆の方が化けることが多いのです。
つまり、過熱水蒸気を使って意図的に水を抜いたりしたときに・・・・おいしかったりするのです。
そんなときにちょっとおもったのが・・・・・
コーヒー豆が植物の種であるということです。
(あたりまえですが・・・・・)
植物の種は、もともと非常に丈夫にできています。
何十年とたった種でも発芽できる状況になったら発芽しなければなりません。
それまで、じっと自分を守っていなければならないのです。
害虫やカビなんかも弱いものにつくと聞いたことがあります。
つまり、水が抜けやすい豆って種としたら弱い豆じゃあないだろうかと感じたのです。
弱い豆に養分を詰め込んで太らせた豆じゃあないだろうか・・・・
人間の都合でつくったもんじゃあないだろうか・・・
そんなことをちょっと考えてしまいました。
まぁ・・・・楽に越したことはないですが・・・・

においセンサーを使って実験

においセンサー本体

においセンサーとは

においセンサーというのは、本体内部に吸引ポンプを持っています。
そのポンプが一定のスピードで空気を吸うようにできています。
吸った空気がセンサー部分を通るときにセンサーに香りの粒子がついて電圧変化を生じます。
その電圧の強弱を表示しただけの装置です。
ですから、においの質とかは人間の鼻に頼ることになります。
ただし、においの強さに関してはにおいセンサーの数値はけっこう信頼性があるように感じました。
この装置を使って、焙煎による香りのでき方や保存方法による劣化のスピードなどいろいろと実験ができると思います。
ただし、そのためには同じ条件で実験できるように、それ専用の治具をうまくつくるかが重要になると思います。 もし、この実験がうまくいけば焙煎の良し悪しを評価するのにけっこう役立つ可能性を持つと思います。

実験装置

実験の方法

コーヒー豆を20g 透明容器に入れます。
この容器の構造はけっこう簡単な構造です。
(もともとは、砂糖入れ)
まんなかにあるパイプは容器の底近くまで達していてそのまんなかのパイプ部分から においセンサーで空気を引っ張る構造になっています。
そして、容器の上の方に2mmほどの空気取り入れ口となるあながあいているだけです。
つまり、においセンサーを動かすと上部にある空気取り入れ口となっている小さなあなから 空気が容器内に流れ込みます。
そして、コーヒーの豆の隙間を通って底近くまで伸びているパイプを通ってにおいセンサーのほうに 送られることになります。
そして、においセンサーからでてきたデーターは、コンピューターの方に送られてグラフを書くわけです。

実験の方法の改良

コーヒー屋でコーヒーのかおりをセンサーでひろう場合、どうしても困ることがあります。
それは、実験をやる室内にコーヒーの香りが充満しているのです。
ですから、連続して実験するときにはセンサー豆をはずしたときに値が下がるのに時間がかかってしまうのです。
そこで、今回考えたのは空気を取り入れる口の部分に活性炭のタンクを設け、その活性炭のタンクを通った空気が コーヒーのはいったタンクの中に入ってにおいセンサーの方へでていくようにしました。
これならば、コーヒーの香りで充満しているときでもそうでないときで同じ条件で実験できますから・・・

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

過熱水蒸気とクリンカーについて

焙煎機のクリンカーについて
焙煎機の煙突は必ず綿状のクリンカーが生じます。
これは、コーヒー豆からでた細かいちりなどを核として糖分や油分がツリー状に結晶化して 煙突の内側表面にびっしりと積もります。
だいたい、焙煎を300回程度おこなうとだいたい1cmぐらいの厚さになります。
つまり、煙突の直径が2cmほど小さくなって排気の能力が大幅に減少することを意味します。
それと、この綿状クリンカーは燃えやすく(主成分は油)燃えたチャフが煙突に飛んでいったり、 焙煎時に煎りすぎて豆に火がついたときなど煙突内が高温になってこのクリンカーが燃え始めると 手がつけられないぐらいの炎をだすことになります。
今回の過熱水蒸気の特性でこの綿状クリンカーの除去が可能となる可能性がでてきました。
(実は、まだ研究の途中だったりする・・・・・・)

煙突のL部分

煙突のふた部分のアップ

煙突内を調べる

写真のL部分は、サイクロンから立ち上がって最初の曲がりの部分です。
この部分のふたを取って、この部分のクリンカーの状態を調べてみます。
(この部分は、ふたになっているので調べやすい)
もともと、最初に発生するのは綿状のクリンカーと考えています。
その綿状のクリンカーが、高温の状態で蒸気があたると綿状のクリンカーが水に溶けて タール状のクリンカーに変化します。
それにつれて、クリンカーの体積が大幅に減少します。
(綿状の部分とタール状の境界部分では綿状のクリンカーがタール状に変化しているのがわかる)

外の煙突の曲がり部分

煙突内のクリンカー

煙突内のクリンカーのアップ

外の煙突部分のクリンカー

そとにでている煙突は、当然ながら室内の煙突よりも温度か下がっています。
その分、蒸気が水に変わりやすくなっています。
そのため、外の煙突のクリンカーの方がタール状のクリンカーに変化している率が高くなります。
ちなみに、まんなかの写真は煙突の垂直部分の下からストロボを使わずに撮影しました。
黒く写っているのがタール状クリンカーでこぶのようにでっぱっているのが綿状クリンカーです。
この状態でずーーっと焙煎していくと綿状クリンカーは すべてタール状クリンカーに変化していくものと思われます。
ついでにいうと、この部分の掃除は半年以上掃除していません。
(自慢になりませんが・・・・・)
左の写真は、クリンカーのアップです。
写真よりも実際には、タール状に変化しているクリンカーが多いです。
(写真だと「こぶ状」のクリンカーが目立ちますが実際はそれほどでもありません)

結論

サイクロンの内側の筒状の部分では、タール状のクリンカーとなっていない
それに対してサイクロンの外側の壁部分では、タール状のクリンカーが一部生じている。
そして、タール状のクリンカーは、外の煙突の方が多く生じている。
この状態からすると、過熱水蒸気サイクロン部分では、高温のため水に戻ることがなく 外の煙突や煙突の曲がりのように空気の流れが乱れたところで蒸気が水に戻って 綿状クリンカーを溶かしてタール状クリンカーに変化させているんだと思う。
そのため、煙突の出口に近くなるほどタール状に変化するんだと思う。

とりあえず、タール状クリンカーは、綿状クリンカーに比べて体積がおおきく減少し 燃えにくく、煙突の効率を下げることを防ぐことができることがわかりました。

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

ひいた瞬間に発生するガスの量をはかる

以前のガス捕獲装置

今回のガス捕獲装置

ガス吸引弁

ひいた瞬間どれだけガスがでるか

この実験は、以前もやったことがあります。
今回は、ちょっとバージョンアップした形にしました。
それは、挽く部分が取り外しのできる岩谷のミルサーを使ったことで、 挽く部分の気密性をあげたのです。
それと、ガスの量を測るメスシリンダーに水を簡単に詰めることができるように メスシリンダーの底に吸引用の弁をつけました。 ポンプで手軽に吸引してメスシリンダー内を水で満たすことが可能となるわけです。
これにより、実験の準備がめちゃめちゃ簡単になって手軽に実験ができるようになりました。
これによってやりたいのは、焙煎時にどのタイミングでガスをコーヒー豆が持つかを定量的に調べたいと思います。

実験データー・ 6/8  ・ くず豆 ・ 50g ・ 30秒

通常・・・3分後から7分間蒸気を送る
全工程・・投入から終了まで蒸気を送る

温度時間(通常)ガスの量(通常)時間(全工程) ガスの量(全工程) 
14511:5615cc10:24 10cc 
15512:3215cc12:06 20cc 
17515:1070cc14:55 70cc 
18516:10110cc15:50 110cc 
終了 18:00190cc17:45 190cc 

蒸気を「全工程」で送ったものと「蒸らし」だけに送ったものとの差を調べる

焙煎の方式は、まったく同じ状態でやりました。
その中で変化させたのは蒸気の送っている時間の違いだけでした。
ぼくの予定では、全工程蒸気を送るとはぜないはずなんですけどねぇ・・・
くず豆でなくいい豆を使ってもう少し、蒸気を送る時間を煮詰めてみたいと思います。
味に関しては、くず豆だったので余り詳しくはかけませんが、蒸気を全工程で送ったものは 苦味がでないようでした。
それと、いやな穀物くささやかび臭さまでが消えていて、 なんか飲めるじゃん!と思いました。
それに対して、現在の過熱水蒸気の送り方だと明らかに味がしっかりしていて いゃな味までしっかりとでています。
(たぶん、煎る段階の蒸気が化学変化の妨げになったんだと思う・・・単なる予想ですが・・・)

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)

マルヤス工業試作2号機

過熱水蒸気発生装置本体

蒸気分岐バルブ付近

排水ドレン付近

本格的な実験を始める
マルヤス工業から用意された試作機は、一分間に25ccの蒸気を作り出す能力がありました。
その試作機に、ぼくのつくった制御盤を接続して試験を始めることにしました。
この機械のよさは蒸気に圧力があるので三方バルブが使えるようなったことです。
ぼくが、最初につくった加湿器の改良版は蒸気の分岐はできるんですが残念ながら蒸気に圧力がなかったのです。
それに対してこの機械は蒸気に十分の圧力があったので、蒸気を焙煎機の釜の方へ送ったり煙突の側に送ったりの実験が 結構簡単にできたのがよかったです。
試験機としては使いやすかったしいろいろなデーターどりに活用できました。
どのタイミングでどれだけの蒸気を何分間送れば適切か・・・
これがわかれば焙煎の職人芸が数値化できる可能性を秘めていると思いました。

釜内に蒸気を送り込むパイプ

排気ファンに蒸気を送るパイプ

蒸気の噴出し口について
蒸気の噴出し口は釜内に送り込むパイプと煙突の方に直接送り込むパイプとあります。
蒸気は基本的に「蒸らし」の段階に送ると効果がでます。
(煎る段階まで送ると逆効果)
それ以外のときには、蒸気を直接排気ファンのほうにパイプで送り込み煙突から外へ排出させます。
なぜ、「蒸らし」の時以外、蒸気が不要なときに煙突の側に送っちゃうかといいますと ふたつの理由があります。
蒸気を室内に排出すると部屋の湿度が上がってしまって煎る段階では、その湿度が煎るのを邪魔してしまうのです。
つまり、「蒸らし」の段階では、湿度はあったほうが非常に役立つんですが、そのあと「煎る」段階になると 残念ながら邪魔になってしまうのです。
そのせいか、焙煎という作業では湿度はコーヒーの味を左右する重要な要素となるわけです。
梅雨時のように湿度の多いときは「蒸らし」は結構うまくいくんですが、「煎る」段階で失敗してしまうのは この湿度というものを理解していないことに依存しています。
逆に、冬などの湿度の低いときには「蒸らし」はうまくいかないけれど「煎る」段階ではうまくいくことになるのです。
もっと、掘り進めると焙煎機のドラムの長さが長いタイプと短くて直径が大きいタイプでは、焙煎機の性質が大きく違ってきます。
ドラムの長さが長くて直径が小さいタイプは「煎る」のは得意ですが「蒸らし」が苦手です。
逆にドラムの直径が大きくて長さがないタイプは「蒸らし」は得意ですが、残念ながら「煎る」のが苦手となるわけです。
オールドクロップのように「煎る」のが中心だった昔は、ドラムの直径が小さくて長さが長いタイプのほうが コーヒーがじょうずに焙煎できたと思います。
(この湿度の特性を理解すると、どんな土地でもどんな焙煎機でもとりあえずは使えるはずです)

もうひとつ、蒸気を煙突に送る理由は煙突にたまる「クリンカー」なのです。
通常焙煎機の煙突というのは、綿状の「クリンカー」がたまります。
この綿状の「クリンカー」は、細かいちりを核にして油分や有機酸などが煙突内で温度が下がって析出しツリー状に 成長していきます。
それが、煙突の内側にびっしりと積もっていくわけです。

この「クリンカー」は、270度以上に達するとで引火しやすくなりますからたまたま、チャフなどに火がついた状態で 煙突までいってしまったりすると煙突内の「クリンカー」が一気に燃えることになるわけです。
実は、蒸気を送り込むと本来綿状の「クリンカー」になるはずのものがタール状の「クリンカー」になってしまうのです。
この状態だと、綿状の「クリンカー」と比べると非常に体積が減ってしまって煙突を詰まらせるまでの期間が長くなってくれることと 物理的に燃えにくくなってくれるという特徴をもっています。
ついでにいうと、蒸気を排気に混ぜてやると本来煙といっしょにサイクロンを抜けて煙突に送られるはずのちりの一部は 蒸気のために重くなってサイクロンで落っこちてくれるという効果もでるのです

釜内湿度測定装置付近

湿度センサーのアップ

釜内湿度記録計

焙煎機内の湿度を測定する
焙煎している最中は、当然200度前後まで温度が上がっているわけです。
(まぁ・・・あたりまえですが・・・・)
実際に蒸気を送り込んでいる間は、どの程度の湿度上昇があるのだろうか・・・
たぶん、コーヒー屋さんなら誰もが考えることではないでしょうか・・・
このことをマルヤス工業の溝田君にいうと、それにちょうどいいようなセンサーをみつけてきてくれました。
(はっきりいってこの測定器は、一ヶ月のリース代がめちゃめちゃ高かったらしい・・・)
焙煎機内の湿度のはかりかたですが非常に簡単な方法をとりました。
焙煎機に穴をあけてそこから一定量だけ空気を抜きます。
(ここでは、真空ポンプで決まった量づつく空気を抜いていた)
なぜ一定量だけ空気を抜くのが大事かというと排気ダンパーのを変化させたときにセンサー部分に 送られる空気の量が変化するのを防ぐためです。
真空ポンプで空気を抜いて湿度をはかるとめちゃめちゃきれいなグラフがかけるようになりました。
この装置をつかって、一番の成果はなんといっても「いちはぜ」の重要性です。
焙煎という作業でコーヒーは15%前後の目減りを起こします。
(中煎りぐらいでの話)
その水の抜け方というのは最初の「蒸らし」で約7%が消えます。
そして、あとの7%ぐらいがこのはぜのときに一気に消えるのです。
ですから、湿度センサーの数値は必ず「はぜ」に合わせて針が大きく振れるのです。
ちなみに、そのはぜ手前の焙煎度合いの豆は、煎ったコーヒーのだすガスの量が極端に少ないのです。
ついでにいうと「2はぜ」の時には、湿度計の針は余り振れませんでした。
・・・・・・・・・・・・・
蒸らしに要した10分間に抜ける水の量とたった1分か2分の「はぜ」の間に抜ける水の量が等しいのには ちょっとびっくりしました。

水分計

余り役に立たなかった水分計
期待しながら余り役に立たなかったのが水分計です。
水分計は、豆を一定量セットするとゆっくりと加熱して水分を取って 最初の重さとの差を計算するといういたって簡単な装置です。
ぼくと、溝田君の予定では焙煎途中で豆を取り出して水分計で 水分の含有量をはかっていけば、どの時期にどれくらいの水分が抜けているかが わかると思ったのです。
しかし、コーヒー豆の焙煎はめちゃめちゃデリケートで あまりきれいなデーターにならなくてあきらめてしまいました。
結局、その実験ではほんちゃんのコーヒー豆を途中まで焙煎した途中に落として冷却して 実際にどれだけ減ったかを調べる方法をとることにしました。
この方法は、コーヒー豆のロスはでますが結構0.2g単位のはかりで測定すると 結構の精度ででてくれるのです。
この方法が確実で、現実的だと思いました。

こんな感じの装置を使って過熱水蒸気の研究をしました。
実際に実験した時のデーターもどんどんのせていきます。
なぜ、ぼくが過熱水蒸気という技術に魅力を感じたかとかが だんだんわかってくると思います。
まだまだ、この技術は研究途中ですが、とりあえずマルヤス工業とぼくとの 共同特許までこぎつけたので、安心して実験結果を公開していくつもりです。
(基本概念の特許ですから・・けっこう範囲が広いんです)
興味がありましたら、メールで質問してください。
わかることならばお答えします。

最終更新日:2016年 9月 29日 (木)