奈良の「H」さんの煎ったろう

今回のポイントはスピード

焙煎機の改造は、じっくりとやることが多いのです。
しかし、今回は奈良から煎ったろうを持ってきて・・・
次の日には帰らねばならないという条件・・・
つまり・・・実質使えるのは一日だけ・・・
その一日でどのような改造までができるか・・
挑戦してみました。
(普通にお客さんが来るなかでの作業でした)

今回の焙煎機の改良点

自然排気の場合、ダンパーが一番重要になります。
そのダンパーをどのような構造にするかによってかかる時間が決まります。
スプーンの構造は、今までのやり方で完成しているのであまり問題がありません。
今回問題となったのがシリンダーの取り外しでした。
とにかくシリンダーを外さないことには底部分に穴も開けられないしカバーも外せない・・・
その部分がけっこう大変でした。
あと・・・以前はモーターの軸にそのままシリンダーが直結していたんですが
今回のものは、カバー部分にべアリングが取り付けられておりちょっと進化していました。
ちなみに、スプーンのガイドの隣のタケノコは温度計の挿入口です。

フロントの跳ね上げ

焙煎が終わって豆を排出するときには傾けると勝手に開いてくれる構造になっています。
しかし、シリンダー内をみたりするときにはフロントを跳ね上げるしかありません。
その時に止めるためのストッパーが必要になります。
そこで、ちょうつがいを止める部分に防震ゴムを取り付けてそれをストッパーとしました。
(多分・・・・一番楽ちんな方法だと思う)

微圧計部分

微圧計部分はあまりにもやぐく取り付いていたので
固定治具をつくっただけです。
(これをつくっただけでも「H」さんは立派です)
後はほとんどいじっていません。
個人的にいえば・・・・・
微圧計をチーズにそのまま取り付けて垂直にやるのはどうかと思ったんですが・・・
そのまま取り付けました。
この構造では微圧計がある分・・・
配管が外のほうを走らなければならず固定しにくいという欠点があります。
(配管を全部やりなおすのはめんどくさかったもんで・・・)

排気ダンパー部分

今回一番の目玉部分はこのダンパーです。
このダンパーの斜めにカットした部分・・・ここが今回の改造の一番の自慢です。
(みると・・・なんだと思っちゃうと思いますが・・・・)
今回のダンパーは煎ったろうの投入口の上半分をダンパーとして使っています。
スライド部分が単なる長方形の板の場合は・・・・
排気全開にしようとすると投入口の端までスライドさせねばなりません。
その状態でも外れないようにするにはガイドのレールがその分、長くなければなりません。
(レールが長すぎるとカッコ悪い・・・・)
それを防ぐために斜めのカットがあるのです。
これによりレールの長さを2センチぐらいは縮めることが可能になりました。
(このアイデアをみつけただけでやってよかったと思いました。)

最終更新日:2016年9月28日

「N」さんの煎っ太郎

煎っ太郎の改造は三回目です
今回は直火式の煎っ太郎でした
そして・・・今回は強制ファンと角度調節機構・・・
ついでにスプーンを大幅に改造しました
改造は・・・やっぱり場数ですねぇ・・・
だんだん早く上手になっていきます
(あたりまえといえば・・・当たり前)

...

煎っ太郎の改造で難しいところ

煎っ太郎は、豆を入れたりだしたりする口が大きいのです
これが実は曲者なんです
つまり・・・焙煎機を水平に近づけてくると豆がこぼれやすいのです
となると・・・コーヒー豆の量によってドラムの角度を変える機構を
つけねばならないということになります
それと今回の煎っ太郎は直火式のドラムでしたから 排気を大きな口に一本化できませんでした
そこで補助的なファンを取り付けて蒸らし段階ではそちらのファンを使うようにしました

焙煎機の改造点
スピードコントローラーで排気を行うのは良く使っているパターンです
はっきりいってこのやり方が改造としてはいちばん一番楽ちんなんです
ドラムの角度調整機構は今回始めて使ったんですがこれはいいと思いました
特に何段階かの角度をつくれることと豆の排出もハンドルを持たずに済みます
バネで押さえるのではなくおもりで押さえる方法も けっこう簡単でいい構造だったと思います
排気用の温度計を取り付ける方法は何度もやった方法なのでどってことなかったです

スプーンに関しては今回始めての試みでストッパーがついています
煎っ太郎の場合はドラムに角度あるために豆をスプーンですくいにくい欠点があるのです
そこで角度があっても救うようにストッパーが必要になるわけですが・・・
この構造を考えるのにはチョット苦労しました
通常の煎っ太郎では灰皿は固定です
だけどフロントにカバーがついたために掃除ができなくなってしまったので・・・
灰皿がスライドして掃除が楽にできるようにしました
傾けたときに灰皿が落ちないようにストッパーも取り付けてあります
あと・・・着火用の窓も取り付けました

試運転の感想
とにかくバーナーにも余裕があるし・・・ドラムの容積にも余裕があります
たぶん1キロぐらいの焙煎までなら難なくこなせると思いました
ただし・・・とにかく煙の多さに閉口しました
このごろちっちゃな焙煎機の改造が多かったせいか
ここまで煙が多い焙煎機は久しぶりでした
店の中が一気に煙だらけでけっこうおもしろかったです
たまたま試運転で焙煎したコーヒーをお客さんに試飲でだしたら・・・・
美味しいと買っていていってくれました
売りもんになるコーヒーだと思いました

最終更新日:2016年9月28日

新型煎っ太郎物語

またまた改造頼まれる

ひかりのさとファームのために改造した煎っ太郎がめちゃくちゃ評判がよくって またまた改造をする事になりました。 
今回の改造の目玉は豆投入用のじょうごと 排気のダンパーを兼用にするというアイデアを試してみようとおもいました。
(結局、同じものをつくるのはおもしろくないもんで・・・・・・)
それと、フィスコの焙煎機を改造したときに使ったスライドダンパーが 結構気に入って今回も使ってみようと考えたのです。 

(写真・新型煎っ太郎)

今回の改造の目玉

今回の改造の目玉、豆投入シャッター兼スライドダンパーです。
じょうごはもともと金色のもので後の部分が全部銀色だったので わざわざ耐熱塗料で塗ってごまかしてみました。
使い方は、じょうごの中にコーヒーを入れておき、かまが適当な温度に達したら シャッターを開いて豆を投入します。 その後、シャッターを戻して焙煎が進むにつれて少しずつシャッターを開けてやると 排気の調節ができるのです。
簡単に言うと、じょうごが煙突になるという事です。

(写真・豆投入シャッター兼スライドダンパー部分)

珈琲豆を500gいれてみると・・・・

じょうご部分などフロント部分が完成したので実際にうまくかまにコーヒー豆が 入ってくれるかを試してみる事にしました。
スプーン兼温度計を差し込んだ状態にして実際に珈琲豆を500gいれてみると・・・・ 見事にこけました。
フロント部分が重すぎて豆を排出する状態になっちゃったんです。 スローモーションのようにゆっくりと傾いていくさまは、結構笑えました。
そこでうでを後ろの方に伸ばしてコーヒー豆をじょうごに入れても傾かないようにおもりを つけたのです。

(写真・焙煎機のおもり部分)

とりあえず試運転

今回の改造を頼まれた”K”さん夫妻がみにくるというのでそのときに 試運転をやろうとおもいました。(ちなみに、この機械は山梨県にいくそうです)
最初に軽く説明をしてくず豆をじょうごに入れてガスに火をつけました。 ちょっとすると切削油が煙となってでてきます。この量がめちゃめちゃおおい。 これには、参りました。やっぱりひとりでこっそりと試運転はするべきだとちょっと反省しました。
切削油の煙もなくなり、くず豆の焙煎も終わったので実際に使える豆を焙煎することにしました。 この焙煎機は、蒸れ具合や煙の状態が目でしっかりわかるので非常に使いやすかったです。 ”K”さん夫妻に焙煎したてのコーヒーをいれてあげました。 はっきりいってうまかったです。
このコーヒーならどこへだしても恥ずかしくないとおもいました。 とりあえず、ひじーーーーに、たのしい試運転でした(ぼくが、風邪でつらかった以外は・・・・)

(写真左・豆投入前)
(写真中・焙煎最中)
(写真右・冷却中)

最終更新日:2016年9月28日

煎っ太郎改造日記

小型焙煎機・煎っ太郎

半田市の自家焙煎の喫茶店・蘆花の山本さんから車椅子の人が 使うように焙煎機を改造してほしいと頼まれました。
この煎っ太郎は、素人が使うにはもってこいの機械で非常にきれいに煎れます。 (素人の方が定価 198000円の機械を買うとは思えませんが・・・)

煎っ太郎の問題点
・微圧計がない・排気の調整がない・温度計がない
つまり、焙煎の再現性が乏しい
チャフが飛ばせないためドラム内でのチャフの 煙臭が豆についてしまう
車椅子の人が扱うには豆の排出がおもすぎる
(写真・改造前の煎っ太郎)

とりあえず簡単なところから改造してみました

とりあえず、火力を調整できるように微圧計とバルブをつけました。
(この辺はめちゃくちゃ簡単)
冷却ファンのスイッチとコンセントをつけました。
(改造というには恥ずかしい)

この改造で重要になるのは、
ドラムにいくつぐらい穴をあけて排気の抜けをよくするか
ドラムにあけた穴からチャフがスムーズに落ちてくれるか
排気のダンパーの開閉部分の構造どうするか
温度計とスプーンをどのようにつくるか

ざっと考えて上記のことが重要になると思います。
とりあえず、スプーン付温度計として用意したのが、てんぷら用温度計です。 これならば、測温部分が表示部分から遠くて非常に使いやすかったのですが、 豆の煎りあがりのチェックで豆をスプーンですくうときドラム内のかくはん用の 羽根にひっかけてしまって使いにくいことがわかりました。そのため、スプーンを いれるときのガイドをつけなければ難しいと思いました。
排気のダンパーの開閉は、投入口にふたをしておきそのふたにシャッターをつけることにしました。 当然、豆の排出のさいに邪魔にならないように開くようにしてみました。ところが、シャッターの開閉に スムーズさがなく、シャッターの目安もないのでその部分を作り直さないといけないと思いました。
ドラムにあけた穴に関しては、けっこう調子いいのですが、チャフが下に落ちて掃除ができる構造に する必要があるように思いました。
(写真左・赤いのはスプーン付温度計)
(写真中・ダンパーを半開の状態)
(写真右・豆を排出の状態)

本格的な改造

車椅子の人が操作するのに煎っ太郎の前後に動くのはちょっと不親切と思い、 すべての操作を正面の位置でできるようにしました。 当然、豆の排出も正面で行うことができます。
タイマーや照明器具も取り付けてとりあえず焙煎してみました。
スプーン付温度計が思ったように豆をすくってくれずにもう一度つくりなおすことにしました。
この段階でフロントパネル三枚、スプーン付温度計二本作り変えました。 もう少しで完成となります。
(写真左・台にのった状態の煎っ太郎)
(写真中・豆投入時の煎っ太郎)
(写真右・豆を排出時の煎っ太郎)

やっと完成しました

仕上げとして微圧計を正面に向けました。ちょっと格好をつけて正面のナットを 袋ナットにしました。生豆投入用のじょうごやスプーンを置く台を取り付けました。 チャフ受けが取り付けやすくなるようにガイドを取り付けてあります。

試運転をやってみました
大阪の澤田さんと蘆花さんとぼくの3人で煎っ太郎の試運転をしてみました。 煎った感じでは、ふかいりにしたとき排気が自然排気のため追いつかないように感じました。 よい点としては、煙の量やそのときに煙なのか水蒸気なのかを確実につかめる。 (煙突がなくてくちの部分から煙がでるからあたりまえですが・・・)
(写真上・煎っ太郎の側面)
(写真下・煎っ太郎の正面)

スプーン付温度計

この部分は、一番苦労した部分です。焙煎機の内部の温度をはかる 温度計とコーヒー豆のサンブルを取り出すスプーンをこれひとつで兼用しています。 焙煎機の内部は、コーヒー豆をかくはんする羽根がついており、 その羽根にひっかからないためには中心の部分しかつかえません。 そのため、まっすぐにスプーンを差し込めるようにガイドがついています。 そのガイドに沿わせてすべらせれば、スプーンで安全確実に豆を取り出すことが できます。
(写真左 ・温度計として焙煎機に差し込んで使う)
(写真左下・スプーンとしてガイドに沿ってぬいた状態)
(写真右下・サンプルを取り出した状態)

煎っ太郎の嫁ぎ先・ひかりのさとファーム

蘆花さんからひかりのさとファームの話を聞いたとき、煎っ太郎が使われるのだから たぶん、小さな喫茶店なんだろうと思っていました。ところが、煎っ太郎を納品に ひかりのさとファームにいったらびっくりしました。でかいんです。 とにかくでかいんです。
(写真左・ひかりのさとファーム全景)

めちゃくちゃ広い作業場に寂しくぽつんと働いていました。 最初の予定とは 裏腹にけっこう忙しいため、とても煎っ太郎では、焙煎が追いつかず結局は 5kgの焙煎機を現在は検討しているそうです。
(写真右・広い作業場での煎っ太郎)

ひかりのさとでは、富士ローヤル5kg釜が、現在では稼動中です。 焙煎室は、きれいで結構広くて非常に快適な環境です。 ハンドピックできるテーブルも広く取ってあり、なにもかもがゆったりと しています。このぐらいのスペースがあれば、月に1tぐらいのコーヒーが 生産できるように思います。あとは、生協など販路を開拓すればばっちり だと思いました。 中島さんに「煎っ太郎を引き取りましょうか」と聞いたら 「あれは、初めてコーヒーを焙煎する人に、コーヒーの焙煎されていく様子や 香りや煙などが手にとるようにわかって練習用の機械としてはまだまだ、 使いますからだめです。」とやんわり断られてしまいました。 実は、あの機械を欲しがっている人がけっこういっぱいいて何とかして欲しいと 頼まれるんです。どーーしても、業務用の焙煎機では、釜の中でコーヒー豆が どんな状態になっているかが肌で感じる事が出来ないんです。 それに対して煎っ太郎は、すべてが実感できるんです。欠点としては、一回の焙煎量が 少ない事だけなんです。 (写真・広い作業場で焙煎中の中島さん)

最終更新日:2016年9月28日