松屋式抽出の内部の動画

前の店で松屋式の内部の様子を撮影した動画がほったらかしになっていたので解説がてらアップしてみました。それにしても撮影にけっこう時間も機材も使っていたもんだと感心しました。

粉の内部をチェックする。

30秒蒸らし
蒸らしで最初にお湯を細くかけた時に珈琲の粉の隙間をお湯が流れていきます。
まだその段階では粉からの泡が本格的にでで来ないので均等に濡れた状態なっています。
蒸らし時間によってガスの量が変化して珈琲の粉が浮かびやすくなります。

特に短い蒸らしの場合ガスが抜けていず粉が不安定な状態でお湯をささねばならず非常に注ぎにくい状態となっています。そして、お湯が抜けにくい分粉がお湯に浮いた状態になります。(下の濃い茶色の部分)終了後にお湯が抜けると同時に粉全体が沈む状態になります。

30秒蒸らしの松屋式

1分蒸らし
粉にお湯をかけた後全体に泡が発生して白く輝いた感じになっています。
その後1分の蒸らしの時間で泡が落ち着いて少しづつ隙間ができ始めます。
抽出に関してはその隙間をお湯が埋める状態になり終了時に粉全体が下がる感じはありませんでした。

1分蒸らしの松屋式

2分蒸らし
お湯がいきわたった後泡が全体に広がった状態になりました。
その後2分の蒸らしによって粉と粉の隙間がつくられていきます。
抽出時にはその隙間を利用してお湯がスムーズにしみこみ抽出時に粉が動くことなく抽出されていきます

2分蒸らしの松屋式

3分蒸らし
お湯がいきわたった時に細かい泡が発生します。その細かい泡が、蒸らし時間の間にくっついて大きく成長していきます。それにより、粉と粉の隙間がしっかり形成し珈琲の層が崩れにくくなっていきます。

3分蒸らしで松屋式

結論
松屋式で蒸らし時間の重要性は、最初にお湯をさした後の細かい泡が時間と共に結合して大きく成長し珈琲の粉と粉の隙間を作り上げていく作業にあると考えます。ここがきっちりと出来上がっていると粉は動きにくく珈琲の層としては強固で安定した状態をつくることが可能となるわけです。

関係ないですが、どの抽出でコーヒーの層全体がある程度浮いた状態ができていたのはお湯がたまり過ぎたためだと思われます。(器具の抽出速度の問題と思われる)

綺麗な水の流れをつくる

ドリップ$で流量を正確に合わせるための装置をつくりました。
まだ柱と球の違いを色々と考えているのです。
とにかく誰が見てもこれならば間違いないという正確な湯量をだすドリップ$で綺麗なお湯の柱をつくらねば納得してくれません。

そこで今回は水量調整を行ったドリップ$をつくってみました。
ポイントはシリコンチューブに4mm用ワッシャーを何枚かはめて水量を調整するという方法です。
このやり方ならば水の流れに乱れがなく綺麗な水の柱が確実に出来上がるのです。
(水量の微調整はシリコンチューブを少しだけ切って調整する)

パルスと水の柱の水量が同じに調整できたら、あとは点滴と水柱の差を正確に実験することができるようになります。

今度こそなんか結果を出したいと思います。

新しい綺麗な水柱をつくる専用のドリップ$

きれいな水柱と点滴のドリップ$・・・水量をだいたいあわせてあります

カナワンの価値

カナワンは、10杯用のペーパーで20杯を抽出できる道具です。
今まで通りに20杯のペーパーがあるのならば、それを使っておけばいいわけです。
20杯のペーパーが無くなった以上何とかしなければならないのでカナワンはできたのです。
つまり・・・大量だしをやるとなるとカナワンを使う方法以外はないわけです。
(松屋式の場合)
カナワンを使えば大量の粉を使っても粉が淵からこぼれることはありません。
ペーパーのように折れ曲がることがないのて非常に安心感があります。

その代わりにペーパーのチャック部分の弱さが問題となるのです。
大量だしの場合チャック部分高い圧力がかかりはじけちゃうわけです。

そこでそれを防ぐためにとめるくんが開発されました。

カナワンととめるくんのセットで最強となるわけです。
その場合は、3リットルの計量カップを使うとアイスコーヒーやポットサービスのようなときに大活躍です。

金枠にリングを取り付けている工程

カナワン用治具

カナワンを本格的に作るには当然治具が必要となります
単に一つだけならばそこまではいらないのですが、ある程度の量をつくるとしたら必ず治具の製作が必要となります。
治具があるかどうかは作業性が全く違うのです。

リングを固定するための治具

実はこのリングの取り付けは、このリングをしっかりと金輪に押し付けた状態をつくらないとうまくつかないのです。そのためにセラミックボードに溝をつけてリングを固定しているわけです。
これで作業効率が格段にアップすると思います・。

金輪にリングを当てた状態

カナワン製作中 

やっと・・カナワンを製作し始めました。
やる気がでて・・・
作るノウハウもじっくり考え・・・
作業台をかたずけ・・

エンジンがかかる前にガソリンが切れました・・

とりあえず材料を注文して水曜日に作ろうと思います。

一応2セットはつくりました。

  

カナワンドリッパー

「T」さんに言われて作ってみました。

別に大したもんじゃあないのですが・・・
作ってみました。
カナワンに金枠をくっつけてみました。

金枠とカナワンが別々である必要はないと言えばその通りです。
金枠の上のリングがカナワンと一緒になれば必要なくなるわけです。
これはこれでいいかも・・・

実際に作っていれた感想・・・
これの場合は、穴あけ君を使うことができます。
今までのペーパーのセットの仕方は、金枠にペーパーをセットして穴あけ君を使い・・
ペーパーを一度外してカナワンを金枠にのせた後、ペーパーをセットなおすという形になっていたりしたわけです。

その点・・・今回作ったものはほんの少しサイズが小さいので穴あけ君を使った時に外れることがないのです。この点はいいと思います。

唯一の問題点はペーパーがすてにくいということぐらいです。

まぁ・・・少しの間使ってみようと思います。

蒸らし蓋について

松屋式ドリップの最大の弱点は、蒸らし時間の長さにあります。
通常3分という長さが必要なんです。
これはお湯を粉にかけた後、粉の内部の炭酸ガスが水蒸気と入れ替わるために必要な時間なんです。
つまり、この入れ替え時間が短縮できる方法がみつかれば松屋式の最大の弱点が克服することができるということになります。
現在使っているドーム型のふたがその可能性を秘めています。
しかし、証明までは出来ていないのが現状です。
その仮説だけでも書いておこうと思います。

なぜふたが必要か(平らなふたの場合)
粉にお湯をかけるということは、粉内部は湿度0%に対して粉外部は湿度100%という状態が出来上がります。
その湿度の差が平衡状態を保とうとして粉内部から炭酸ガスが放出されて外部の湿度を下げようとして働きます。
外部の水蒸気は粉内部に入り込んで湿度を上げようとします。
ここで重要なのは、ふたをすることにより湿度を100%に上げるこということです。

30年前に使っていた蒸らし用の蓋

ドーム型のふたと平らなふたとの差について
湿度を上げることに関しては平らなふたとドーム型のふたでは差はありません。
大きな差はドーム型のふたは空間を持っているということです。
粉の内部の炭酸ガスは気体なのでて来るためには空間が必要なのです。
平らなふたはその空間が用意できていないのです。
それに対して、ドーム型のふたの場合は炭酸ガスが粉からスムーズに放出されるための空間が最初から用意されているわけです。
スムーズな入れ替えが行われることにより、短時間の蒸らしが可能となるのです。

あとは・・・それをどのように証明するかが問題です。

環で使っているアクリルドームの蓋

このドーム型の蓋の進化系が減圧ドーム蓋で空気を抜いて蒸らしの効率を上げるというものです。
これ自体はアイスコーヒーなどでよく使っています。時間短縮に役だっています。
これを使うと1分で蒸らしが終了します。

個人的に使っている減圧ドーム蓋

抽出はお湯のコントロールに尽きる

松屋式という抽出法というのは結構理論がシンプルな抽出法です。
単にうまみだけを溶かすにはどうしたらいいか・・・
ここらか逆算してすべてがあるのです。
粉が動けば溶けにくい成分も溶ける可能性がある。
だから粉を動かさない。

抽出中に泡が出ればお湯が粉の内部まで入る粉と入らない粉ができで
うまみだけを溶かすことができなくなる。

結局抽出で大切なのは蒸らしと抽出のお湯のコントロールに尽きるのです。
蒸らしでは、できるだけ刺激を与えないお湯のさし方を・・・
抽出では、珈琲の粉が動かない程度で水位を上げることのできる程度のお湯のさし方・・・

お湯のコントロールに自信のない人はこれを使えば抽出は誰でもうまくいくのです。

蒸らし用のdrip$と抽出用のdrip$ L