超お気楽抽出法


この抽出法は、蒸らしなしで抽出するどんな素人でも確実にできる抽出法です。
お湯のさしかたもへったくれもなくテキトーにお湯をさして落ち切ったコーヒー液を何度か珈琲の粉の中を通すというだけのいれ方です。(ベースとなっている技術は、二度ごしという技術です)

一度目の注湯・太めのお湯でどば―――っと注ぐ
粉が浮いた状態で水位が下がった時の特徴である蟻地獄が出来上がる
珈琲の成分は完全に溶けてはいない

お湯を”どばーーーっ”と注ぐ
コーヒーは、こまかく挽いてドリッパーにいれます。
粉は、平らにしても穴をほってもなんでもOKです。
人数分のお湯を沸かしたら、なーーーも考えずに”どばーーーっ”と 注ぎます。
(めちゃめちゃ大胆に、そしていいかげんに・・・)
お湯を細くだとかそんなこと考えずに、”どばーーーっと”がポイント!
ちなみに、一度目の注湯あとは、あり地獄のようにコーヒーの粉がすり鉢状に かべにくっついた状態になっています。
これは、コーヒーの粉がお湯に浮いた状態であった証拠です。
本来のドリップならば完全にダメなんですが、この抽出法ではたいした問題ではありません。

一回落とした抽出液をもう一度コーヒーに通す

壁に付いた珈琲の粉が少なくなっている。

ドリップしたコーヒーをもう一度ドリップする
一度目と同じようにコーヒーの抽出液を”どばーーーっと”ドリップします。
簡単にいえば、コーヒーかすの中を2-3度抽出液を通すだけなんです。
そうすると、コーヒーの持っている嫌味などが最初にでてきても、 2-3度目にコーヒーかすの中を通したときにコーヒーのカスに嫌味なんかが 吸着されちゃってひじょーーーに飲みやすく”マイルド”になります。
ちなみに、ていねいにいれたコーヒーよりは、味がやっぱり落ちますけどね
(あたりまえかぁ・・・・・)

基本この超お気楽抽出法は、二度ごしの原理を使っています。
本来の2度ごしは、蒸らしも普通にやるのですがこの淹れ方では蒸らしをしない代わりに何度か珈琲の粉の中をくぐらせる方法をとっているわけです。


二度ごしの原理

この原理を説明しますと、一度目の抽出の場合、高温のお湯でドリップしてますから、 ものを溶かす力が強くうま味もしぶ味もとけます。
ところが、二度目の抽出の場合は低温で高い濃度のコーヒー水溶液で抽出することになります。 この場合、コーヒーの粉に残っている不純物はとけにくい成分のため、 高い濃度で低い温度の水溶液にはとける事ができないのです。 そのかわりに、コーヒーの粉の別の性質がでてしまうのです。 それは活性炭と同じ吸着作用を持っているということです。
不純物は吸着されやすいため、二度目の抽出の時、 不純物がコーヒーの粉に吸着されて飲みやすくなります。 ネルドリッパーの場合、コーヒーの粉が細かいので吸着作用が効果的に起こります。 (つまり、こまかくひくとコーヒーの表面積が大きくなって吸着作用がおおきくなる)
ちなみにこの吸着がおこるためには低温(60度以下)でなければなりません。 (活性炭の浄水器にお湯を通さないように注意書きがあるのは吸着作用は、低い温度でなければ 効果が弱く、逆に高温のお湯を通すと今まで吸着した物質がはずれて溶けだしてきてしまうからです。)
よって、二度目の抽出の際、コーヒーを暖めてから抽出するとおいしくなりません。
下の二つの器具も二度ごしと同じ効果があります。

誤解のないようにしてほしいのですが、おいしくはいったコーヒーを二度ごしすると 味は確実に落ちます。まずいコーヒーをうまくすることはできますが、うまいコーヒーを もっとうまくすることはできません。

超お気楽抽出法はこんなときに利用してください
この方法の1番オススメは、アウトドアです。
別に、サーバーが二つ必要なわけでなく、なべでも何でもいいんです。
2つのいれ物があればOKなんです。
それと、パーコレーターやなんかを持っていかずにすみますから 荷物が少なくてらくちんです。

この方法では、お湯が沸かせればあとは何もむずかしい操作がいらないので はじめての人でもコーヒーをたてたことのない人でも大丈夫です。
喫茶店ぐらいのコーヒーならばバッチリできます。
(ても・・・・できれば、真面目にコーヒーをいれてほしいなぁ・・・・)

焙煎について-蒸らしという言葉の謎

昔から使われている言葉ですが、ちょっと・・・
ぼくたちコーヒー屋が、焙煎で使うことばで「蒸らし」という言葉があります。
これは、焙煎機の排気を絞って釜の中を「蒸し焼き」状態にすることをいいます。
ぼくも、この言葉になにも違和感もなく使っていました。
当然蒸し焼き状態ですから、空気の流れはめちゃめちゃ遅いもんだと思っていました。
(たぶん、他のコーヒー屋さんも同じだと思う)
昔、自分の焙煎機に排気監視窓というものをつけたときに 排気を絞っているのにチャフ(豆表面の薄皮)が勢いよくとんでいるのにびっくりしたことがあります。
実際に風速計で測定した時にびっくりしました。
一番排気を絞った状態で一秒間に14リットルの空気が流れているのです。
(ちなみに、ぼくの焙煎機のドラムの体積は16リットル)
これだけ空気が流れているのに「蒸らし」ということばはちょっとおかしいんじゃあないでしょうか。
ただ、しっくりとくる言葉をぼくも思いつきません・・・・

20年ぐらい前は蒸らしを空気の流れでとらえていた感じでした。
つまり、蒸らしは空気の流れが遅い状態でそれによって湿度が上がるというような感じにとらえていました。これは自然排気の概念からくる流れなんです。
これを業務用に当てはめるのはちょっと無理があるのです。
強制ファンのパワーでは自然排気のようなゆるさはやっぱり無理なのです。
大量の豆を自然排気で煙を抜くというのは無理がある。
だから強制排気なんですが実は強制排気は弱い排気が苦手なんです。
排気を絞ると隙間は小さくなるけど圧力差は大きくなってしまって思ったほど下がらないのです。
フジローヤルの3キロと5キロの場合は、切り替えダンパーの隙間があって圧力差を弱めてくれるという効果があるのです。単独ファンのタイプはそれがないので弱い排気がめちゃめちゃ苦手なのです。

・・・とりあえず湿度を上げる方法を書こうと思ったけど長くなりそうなので解説はまた別の機会にします。

排気の流れを見るための窓と・差圧を測っているチューブ

抽出について-特性を知る

Drip$を舐めてはいけない
その器具の特性を知るためにはいろいろと試す必要がある。
たぶんこうであろうなどと勝手に思ってはいけない。
勝手に思った瞬間から考えなくなるからである。
遊びのつもりでいろいろやってあれって思って考えて・・・
そこから初めてその全容がはっきりしてくるのである。
その装置を一番知っているのは装置を作った人ではなく使っている人なのである。
Drip$は、今までの経験を一回取っ払って 初心に帰って試す必要がある。
今までの経験を信じると大きく間違える。
知識や経験がある人は、とにかく素人になることから始めねば 進歩はない。

すごく同意です。こんなことをホームページで書いていたのかと驚きました。
お湯のコントロールが確実だといろいろと検証できます。
お湯のコントロールが確実だと抽出精度が上がります
お湯のコントロールが確実だと珈琲の味がわかりやすくなります。
Drip$を使えば確実に珈琲のレベルが上がります。