焙煎について-蒸らしという言葉の謎

昔から使われている言葉ですが、ちょっと・・・
ぼくたちコーヒー屋が、焙煎で使うことばで「蒸らし」という言葉があります。
これは、焙煎機の排気を絞って釜の中を「蒸し焼き」状態にすることをいいます。
ぼくも、この言葉になにも違和感もなく使っていました。
当然蒸し焼き状態ですから、空気の流れはめちゃめちゃ遅いもんだと思っていました。
(たぶん、他のコーヒー屋さんも同じだと思う)
昔、自分の焙煎機に排気監視窓というものをつけたときに 排気を絞っているのにチャフ(豆表面の薄皮)が勢いよくとんでいるのにびっくりしたことがあります。
実際に風速計で測定した時にびっくりしました。
一番排気を絞った状態で一秒間に14リットルの空気が流れているのです。
(ちなみに、ぼくの焙煎機のドラムの体積は16リットル)
これだけ空気が流れているのに「蒸らし」ということばはちょっとおかしいんじゃあないでしょうか。
ただ、しっくりとくる言葉をぼくも思いつきません・・・・

20年ぐらい前は蒸らしを空気の流れでとらえていた感じでした。
つまり、蒸らしは空気の流れが遅い状態でそれによって湿度が上がるというような感じにとらえていました。これは自然排気の概念からくる流れなんです。
これを業務用に当てはめるのはちょっと無理があるのです。
強制ファンのパワーでは自然排気のようなゆるさはやっぱり無理なのです。
大量の豆を自然排気で煙を抜くというのは無理がある。
だから強制排気なんですが実は強制排気は弱い排気が苦手なんです。
排気を絞ると隙間は小さくなるけど圧力差は大きくなってしまって思ったほど下がらないのです。
フジローヤルの3キロと5キロの場合は、切り替えダンパーの隙間があって圧力差を弱めてくれるという効果があるのです。単独ファンのタイプはそれがないので弱い排気がめちゃめちゃ苦手なのです。

・・・とりあえず湿度を上げる方法を書こうと思ったけど長くなりそうなので解説はまた別の機会にします。

排気の流れを見るための窓と・差圧を測っているチューブ

焙煎について-炭焼珈琲と過熱水蒸気

炭焼珈琲と過熱水蒸気
なぜぼくが過熱水蒸気に燃えるのか・・・・
昔、ある珈琲屋の社長さんから「炭焼きで煎った珈琲は長くもつ」といわれたことがあります。
(その当時は、あまり意味がわかりませんでした)
そして、たまたまある人から「君の煎ったコーヒーは1ヶ月、香りがもたないよ」といわれたのです。
(いやみではなく、素直な意見・・・相手は珈琲屋さんですから)
もともと、もたないのが普通かなぁと思っていたんですが、 だんだんもしかしたら・・・と思ってきたんです。
それは、過熱水蒸気の研究をはじめて松屋式ドリップをしていて後半ででる成分に 嫌味がでなくなりコーヒーの味が濃くなってきたのに気づいたんです。
もしかして、今までの焙煎方法では豆の内部の化学変化が不足して コーヒー豆がもたなかったんではないか・・・
そんなことを考えるようになったんです。
(単に焙煎技術がなかっただけだったりして・・・・・・)
そう考えると、炭焼珈琲が長くもつといわれたのにもつじつまが合います。
炭焼珈琲は、空気の流れに依存しなくて豆に熱を加えることができます。
豆の成分を抜きにくく熱を安定的に与えられる技のような気がするんです。
(炭焼の焙煎機では、普通のものよりも釜内の温度差がでにくいような気がする)
そして、豆の内部まで化学変化を起こしているので 香りや味がながくもったんじゃあないかと考えました。
もし、この仮説が正しければ過熱水蒸気の焙煎をうまくやれば炭焼の焙煎機よりも 制御が楽で炭焼の焙煎機と同じぐらい焙煎豆が長くもつ焙煎機ができるんじゃあないかと思っています。
さて、この仮説が当たってますことやら・・・・乞うご期待。

このころの説明は、まだ過熱水蒸気の特性を理解しいない気がします。
過熱水蒸気の文献で出てくる特性で一番に来るのが乾燥逆転温度というもので、これは釜内の温度か175度以上になると湿度が高ければ高いほど水を引っ張る力が強くなるという特性でこれが蒸らしの基本原理となります。この時に水分が抜けるときに成分を引っ張りにくいことも良い点です。
日常の晴れた日の方が洗濯物が乾くと逆になる部分か結構面白い性質です。
もう一つの特性としては膜凝縮伝熱という性質があります。
過熱水蒸気が珈琲豆に当たると凝固熱分珈琲豆に熱を伝えることになるという性質です。
つまり、乾燥空気よりも湿度の高い空気の方が熱を運ぶ力があるということです。
乾燥空気で大量の温風を使わなければ豆の温度か上げられないのでスカスカになりやすいのに対して過熱水蒸気の場合は少量の熱風で熱を運ぶことが出来るということです。
そのために、通常の熱風で焙煎するものよりも成分が飛びにくいという性質が出てきちゃうわけです。
古い解説はここら辺までの過熱水蒸気の基本原理を語っているだけなんです。
珈琲に過熱水蒸気を使うというのはこれではだめなのです。
量が重要なのです。味を変化させてこその価値なのです。
だから過熱水蒸気というのは、どのタイミングでどれだけの量をいれるかを細かく実験しなけれは基本原理を語るだけになってしまうのです。
だからうちの過熱水蒸気の装置はどんどん改良されて蒸気の量をできる限り制御するように改良してきたわけです。

語ってきたことと真逆なシンプルな焙煎機・・アウベルクラフト
この焙煎にもいろいろと語ると面白いことがあるのです

焙煎について-焙煎の概念

さるでもわかる焙煎学・・・・
珈琲豆の内部に熱を加える方法は、たった一つの方法しかありません。
豆の表面の温度を上げて表面から徐々に内部に熱伝導で加熱するしかありません。
あたりまえのことを整理すると・・・・
排気温と豆の表面温度との差が大きければ大きいほど豆は熱を吸収するスピードがはやくなります。
(本体温度の上昇スピードがはやい・・・傾きが急になる)
豆の表面温度と豆内部の温度差が大きければ大きいほど豆内部に熱が加わりやすくなります。
(ひじょうに、あたりまえ)
この中で、問題となるのが豆の表面と豆内部の温度差なんです。
焙煎が、温度に依存する以上も豆の表面と豆内部の温度差があれば 化学変化の進行状態に内部と表面に差がでます。
この差を少なくすれば、コーヒーの味が濃くなる事になります。
(非常にあたりまえのことですいません)

めちゃくちゃ基礎を語っているなぁと思いました。焙煎の基礎中の基礎で今でもこの考えは賛成です。
熱風式であろうが直火式であろうが輻射熱が強かろうがヒーターで焙煎しようがすべてに当てはまるめちゃめちゃ基礎です。今更こんな基礎を読むとはぼくも思いませんでしたが基本に立ち返る大切さを感じました。

はぜをひろうマイク・珈琲は、温度計がなくても微圧計がなくてもはぜるのです。
別に数字で豆がばせているのではないのです。数字は人間のためだけにあるのです。

焙煎について-珈琲の立場に立って考える

 焙煎も抽出もすべて人間の側にたって行っています。焙煎ではガス圧だとか排気温だとか 数字に置き換えます。抽出でも湯の温度が何度だとか蒸らしが何分だとかやっています。 これは、すべて人間の立場であってコーヒーの立場ではありません。コーヒーの内部で 起こっていることは、コーヒーの立場になってみなければわかりません。 コーヒーの立場にたって耳をすませれば、どうすればいいかわかってくるような気がします。 そのあと、人間の立場で翻訳をすればいいのです。
うーーーん、哲学だなぁ。(とりあえず、ちゃかしてみる)

排気ダンパーについているルーペ・1度の差に意味があるのです

焙煎について-イメージによる焙煎

* ここでかかれていることは、ぼくの焙煎に対する勝手な見解です。
他のコーヒー屋さんは、他の考え方でコーヒーを焙煎していると思います。
どちらが正しいかは、ぼくも良くわかりません。
読んだ方が勝手に判断してください。


焙煎の基本
・焙煎は熱によって起こる化学変化である。
・生豆の成分を煎り豆の成分に変化させるには、
一定のプロセスを与えるために一定の時間が必要である
・焙煎の時間を決めるのは、火力と豆の投入温度である。
・コーヒー豆は、水分が抜けなければ煎れない。
・排気を開けすぎると、成分が抜けたスカスカのコーヒーになる。
・排気を絞りすぎると、コーヒー豆が煙をかぶってしまう。
・豆のはぜに必要なのは、熱エネルギーである。
・排気を開けると、火力が相対的に落ちる。
・ドラム内の湿度が高い方が、豆に熱が伝わりやすく豆の成分が飛びにくい。
・外気温が低ければ、排気力は強くなる。
・鋳物の焙煎機は、熱しにくく冷めにくい。

上に書いたのが焙煎における基本的なルールです。
たとえば、火力が高ければ短時間でコーヒー豆を焼くことができます。しかし、コーヒー豆の成分は できません。だから、高速の焙煎機は嫌いです。(使っている焙煎屋さん。ごめんなさい)
電気の焙煎機は、熱量が足りないため排気を高くできません。(温度が下がるから)
排気でコーヒーの味を作るんだから、排気の調整か自分の思い通りにできない焙煎機もだめです。
熱風式の焙煎機は、排気が強くなってコーヒーの成分を残しにくいからちょっとだめです。
てなわけで、焙煎機は昔からあるようなガスの直火式の焙煎機が好きです。 特に、富士ローヤルの機械は大好きです。排気のファンも排気効率ではなくモーターのパワーで排気したり いろいろな部品が非常に改造に適している部分が大好きです。未完成な焙煎機を改造して完成に近づける のが結構楽しいのです。

火力がコーヒーをつくり排気が味をつくる・・・・
ここからが本題です。焙煎のプロセスのイメージです。
コーヒー豆は、排気を絞って焙煎するとドラムの中はサウナのように湿度が上がります。 そして、コーヒーは気持ちよくゆっくりと汗を流します。 一汗かいた後、窓を開けて乾燥させます。 元気よく豆がはぜ始めたら、ついでにたきつけてやります。 豆が煙でむせない程度に排気を開いてやります。

つまり、焙煎とは、コーヒー豆が嫌がらないような操作をして気持ちよく 生豆から煎り豆に脱皮させてあげるお手伝いをすることなんです。

焙煎について-コーヒーとかえる

刺激のない焙煎について・・・・ こんな話があります。水の中にかえるをいれてゆっくりと水を温めていくとかえるは ゆだって死んでしまうと・・・・・
(実際にぼくは実験してません。かわいそーーで)
かえるをほんのちょっとおどしてやればびっくりして逃げ出せるでしょう。

コーヒー豆のはぜというのは、コーヒー豆が生豆の成分から いり豆の成分に変わらなくっちゃと、 がんばっている状態だと思うんです。
ただただゆっくりとコーヒー豆の温度を上げていくと豆がはぜません。
これは、かえるがゆだって死んでしまうのと同じように 豆ががんばって変化しようとしていないような気がします。
かえると同様にコーヒー豆も少しは、びっくりさせていり豆の成分に変わるように 手助けしてあげなくっちあいけないように思います。
そうすることによって、コーヒー豆は劇的な変化をとげるような気がしてならないのです。
その劇的な変化の引き金は、ほんの少しの刺激で十分なのです。
変化する潜在能力はコーヒー豆のなかにたっぷりと含まれていてそれを引き出すためだけ なのですから・・・・・・
結局、焙煎とはコーヒーの持っている潜在能力をいかに引き出すかということになるようです。たぶん。

刺激を変化させることができる高さ可変バーナー

焙煎について-焙煎機の平衡状態

そのとき火力をあげるべきか・・・・否か コーヒーの焙煎をおこなっている人でないと全く興味のわかないことを書きます。
焙煎機は、豆の温度をはかるセンサーがついていて、豆の投入温度もこのセンサーを 使います。ただし、このセンサーは、釜全体の温度をはかっているわけではないのです。 ちょうど、熱風の通り道にこのセンサーはありますから、熱風の温度を測定しているのです。 (当然、釜に熱が奪われるわけですから、少しは釜温度も反映している)
豆を投入した釜は、当然豆のが温度が低いですから、釜から輻射熱が豆にいきます。 つまり、ガスバーナーの火のエネルギーと釜の持っているエネルギー(輻射熱)を 加えたエネルギーが豆に加わるわけです。 その後、豆の温度があがってくると釜の温度よりも高くなります。 そうすると、もう釜からエネルギーは、もらえなくなります。 (熱は、高い側から低い側へ流れる)
つまり、今までと同じだけエネルギーを豆に与えたければ、釜の温度よりも豆の温度が あがったぐらいの時期に火力をあげてやらなければならないということなんです。
当然、気温なんかによって釜の冷え具合が違いますから、投入温度を一定でやる事には 危険があります。2回目以降の焙煎であっても焙煎後何分たっている釜かによって 大きく変化してしまいます。
釜自体をはかるセンサーがあれば、釜自体の冷え具合もチェックできるし 豆と釜の熱に関する平衡状態がわかって非常に役立ちます。

釜本体温度を測定しているセンサーと排気ダンパーに取り付けてあるルーペ

焙煎について-炎の不思議

カロリーと温度・・・・ ガスを燃やしたときの熱量は、どれだけのガスを燃やしたかで決まります。 (あたりまえですが・・・・・)
この熱量が、コーヒー豆の焙煎という作業の中で豆の温度を上げることに使われます。 (すんげーーー、あたりまえ)
熱風式焙煎機とは、ガスを燃やした時の熱風使って焙煎する方法です。
ガスを燃やしたときの炎の温度は1000度以上になります。
しかし、すぐに他の空気と混ざったりして高温の空気が大量にできるだけになります。
つまり、ガスをどれだけ燃やしたかによって熱量は決まりますから 炎が近くでも遠くでも熱量は変わらないことになります。 (ロスはこっちにおいといて)
となると、炎は少量で高温の熱風と考える事ができます。
直火式焙煎機で、炎とドラムを離すということは 直火式焙煎機から離れて熱風式焙煎機になるということです。
つまり、直火式焙煎機というものはガスを燃やしたときの熱量のみを 使う焙煎ではなく炎の温度をも使う焙煎法なのだということになります。 つまり、炎の不思議がつまった焙煎法なのです。
(ちょっと、直火式焙煎を誉めすぎかなぁ・・・・)

初心に帰る

実はYouTubeの動画を調べていまして・・・

簡単に言うとなんかネタになりそうなものを物色していたのです。

ブログに動画をいれるのは容量がかかるので代表に怒られるのですが

YouTubeの動画ならば単なるリンクなのでサーバーに負担がかからずに

OKなのです。

そして・・今回引っ張り出した動画はオーブントースターで焙煎した動画です。

それに関して少し解説をしたいと思います。

一粒焙煎・タイマー付き
この時代の画像は、結構画像自体が甘いなぁと実感

オーブントースターで一粒を焙煎するんですがとにかく光をしっかり当てなければきれいに映ってくれないのです。それと、ヒーターがONになると赤いライトが点灯したようなもんなので珈琲豆の色が狂うのです。だからとにかく強い光を当てておかなければならないのです。あと・・・困ったのはオーブントースターのサーモスタットです。あのサーモスタットが働くとはぜるためのパワーが起きてくれないのです。オーブントースターを壊してもいいのならばサーモをつぶしてやればもっとうまくいったと思います。まぁ・・・今のアイフォンならばもっときれいな動画が取れると思うのでまた挑戦したいと思いました。ついでに、

胚芽の焙煎の動画も貼り付けておきます。

排熱を可視化する

排熱というのは、バーナーにて送り込まれる熱に対して排気が追い付いていないために捨てられる熱のことを言います。焙煎は、この熱の出し入れのバランスで味をつくっているわけです。

その排熱を可視化する装置がこのライトです。

まぁ・・・簡単に言えばかげろうをスクリーンに映しただけなんですがね

排熱を可視化する