ドリップポットにお湯を移すということ

ドリップポットでお湯を沸かさずに
沸騰ポットや他のポットでお湯を沸かしておいて
ドリップポットに移す方法があります。
(お湯が暴れないことと、取っ手が熱くならないところがGood!)

ここで問題となるのはドリップポットが冷えているときの問題・・・
冷えているドリップポットに沸騰したお湯を入れると・・・
当然、お湯の温度が下がります。

ただし・・・
ドリップポットにお湯を入れたぐらいでは温度的には
たいした問題ではありません。

問題はポットの細口部分に最初に流れ込んだお湯の温度なのです。
この部分に流れ込んだお湯は一番大切な一投目の最初にコーヒーにかかるお湯なのです。

この部分は蒸らしに使われる大切なお湯で水蒸気が潤沢であることがポイントとなります。

ところが、このドリップポットの細口にたまっているお湯は この条件に達していないのです。
では、この状態でお湯をさしはじめるとどのような現象がおこるか・・
お湯をさしたときに粉が膨らむタイミングがあきらかに遅くなります。
この部分がお湯の温度をチェックするポイントとなります。

では・・・・
どうすればいいか・・・

これは非常に簡単で
最初の細口にたまっているお湯を捨てること・・・・
これだけで大丈夫です。

だいたい50ccぐらいを捨てればいいのです。
そうすればドリップポットのお湯の温度とイコールになりますから・・・

もし・・・理想の状態にお湯をコントロールしたかったら・・・
ドリップポットにお湯を少しだけいれて、そのお湯を捨てるか
もしくは、沸騰ポットに戻すことです。

それによって、ドリップポットの温度とお湯の温度がイコールになります。
あとは自分の好みの温度で抽出が可能になるわけです。

ドリップポットにお湯を移す

このころは、暴れるお湯をおとなしくする方法としてのお湯を移すという概念ではなく筒先の温度を上げる方法として書いていたようです。本来ならばおとなしい素直なお湯の作り方として紹介するべきだと思うのですがお湯を捨てて筒先を温めるというアイデアを自慢したかったのかなぁと思ったりします。

焙煎はバックが出来ない

当たり前ですが焙煎は時間を戻すことがてきません。
あの時もう少し火力を落としておけばよかったとか・・・
排気を開けておけばとか・・・・
残念ながらそんな都合いいことはできません。
うまくやろうとか、失敗できないとか思うとなおさらです。
もう少し煎らなきゃとか思って迷うと必ず一瞬落とすタイミングが遅れます。
煎りすぎてはいけないと思っていると豆のチェックが一回分早く落とすことになります。
失敗しないようと思って焙煎すれば勢いのないつまらない豆が出来上がります。

焙煎なんて最後はえい・いゃあ落とすしかないんです。
その一瞬でコーヒーの味は変わるけど飲めないわけではない。
打球を真芯でとらえるプロ野球の選手だって4割が打てないんですから・・・

とにかくコーヒー屋は、びびって見逃し三振だけは避けなければならない。
まぁ・・・おんなじ球種ばっかりだったらヒットも出やすいけど・・・
違う球種を焼くことが多くて・・・

結論・・・焙煎の極意は開き直りなり・・・

・・・・怒られそう・・・・

この当時は、三段焼きで非常にシンプルな焙煎をやっていた時代だと思う。
焙煎で細かいデーターをとっていなかった時代だと思う。
まぁ・・今と比べれはレベルの低い焙煎をやっていた平和な時代であったと思う。
あの程度の焙煎でえらそーに語ってはいかんと今は感じます。
   

どこの焙煎屋よりも現在の焙煎は操作が複雑なような気がする。

抽出の謎

現在エスプレッソがはやっています。
スターバックスの影響だとはおもいますが・・・
どーーも、アメリカのほうではドリップというものがすたっちゃっているみたいなんです。
問題は、なぜすたっちゃったかということなんです。
時代おくれなんでしょうか・・・
それとも、ドリップを教える技術者がいないからなんでしょうか。
もしかしたら、ドリップはめんどくさいから豆を多く使ってくれなくて敬遠しているのでしょうか。
(カフェプレスやコーヒーメーカーはあるようですが・・・・)
ぼくは、ドリップという技術がどーーーしても時代おくれだとは思えないのです。
アメリカ人たちがドリップを非常に一生懸命研究したとも思えないのです。
日本人のがドリップの名人といわれる人は多いと思います。
なのに、一般の人々がアメリカでドリップがはやっていないので ドリップが時代おくれと単純に思ってしまうことがちょっと不安なんです。
それを助長してしまう無知なマスコミが雑誌や本なんかで紹介なんかしちゃって 一般の方がそれを信じちゃうのがちょっと心配なんです。
ちなみに、ぼくの見解ではアメリカでは ドリップという技術を教えることのできる人がいないからだと思います。
日本では、コーヒー屋は個人商店の延長であり、 アメリカはしっかりとシステム化された企業だとおもいます。
だから、マニュアルにしやすいものを採用するというのが理由じゃあないでしょうか・・・・たぶん
(だってドリップのマニュアルって大変そうですから・・・・)

たぶん・・・この文章を書いたときはブルーボトルなんかがいなくてアメリカでは全くドリップが普及していなかった時代だったと思います。アメリカではフレンチプレスが家庭用みたいにいわれていて日本でもフレンチプレスをやらなければいかんのかなぁという時代だったと思います。
ちょうどぼくぐらいの年代の珈琲屋は、ネルも重鎮の人がいっぱいいたしペーパーでは田口さんのような有名人がいて目立つにはフレンチプレスに行くしかない時代でした。スペシャリティーと相性も良かったのでフレンチプレスこそ本当の珈琲の味を体験できる的な感じでぼくら世代の珈琲屋はフレンチプレスを押すようになったのです。
せっかくフレンチプレスが普及してきたのにブルーボトルが出てきたりしてアメリカでドリップが流行ってきちゃって今更もとに戻すのかという感じになっちゃったという感じでした。
ぼくの場合は、松屋式という特殊なドリップだったの重鎮の方々と被らなかったのであまりフレンチプレスに流れなくてすんだんですが・・・・
ブルーボトルがきたあと多くの珈琲屋さんがフレンチプレスからドリップに戻すのはけっこう大変だったと思います。

ぼくは一貫して松屋式でやってくることができました

抽出はお湯のコントロールに尽きる

松屋式という抽出法というのは結構理論がシンプルな抽出法です。
単にうまみだけを溶かすにはどうしたらいいか・・・
ここらか逆算してすべてがあるのです。
粉が動けば溶けにくい成分も溶ける可能性がある。
だから粉を動かさない。

抽出中に泡が出ればお湯が粉の内部まで入る粉と入らない粉ができで
うまみだけを溶かすことができなくなる。

結局抽出で大切なのは蒸らしと抽出のお湯のコントロールに尽きるのです。
蒸らしでは、できるだけ刺激を与えないお湯のさし方を・・・
抽出では、珈琲の粉が動かない程度で水位を上げることのできる程度のお湯のさし方・・・

お湯のコントロールに自信のない人はこれを使えば抽出は誰でもうまくいくのです。

蒸らし用のdrip$と抽出用のdrip$ L



立場の違い

よそのコーヒー屋さんのコーヒーを飲んでコメントを書こうとしていました。
いわゆるコーヒーに関しての意見を頼まれたんです。
このとき、迷いました。ぼくは、どんな立場でコメントを書けばいいんだろうと。
つまり、生豆を扱っている問屋さんならばコーヒーを飲んでもその生豆が問題ないかどうかが 絶対に気にかかってしまうと思うんです。
だから、すべて生豆の品質にむすびつけようと思ってしまうと思うんです。
焙煎だとか抽出なんかどーーでもいい事となってしまうと思うんです。
(極端に言えば、インスタントでもコーヒーメーカーのコーヒーでも 生豆の品質が良いコーヒーならばなんでもいい)
たとえば、素人の方で焙煎を練習している人にコメントを求められたら その人は間違いなく焙煎のよしわるしを聞きたがっているしすべての責任を 焙煎にむすびつけようとすると思うんです。
喫茶店を開こうとする人がコメントを求めた場合は、間違いなく抽出技術の 事を聞きたがっているわけです。
さてそうなるとコーヒー屋さんにコメントを求められた場合何を書けばいいんでしょう。
生豆は専門外だし抽出はぼくの責任だし、そうなるとおのずとブレンドと焙煎ということになります。
だけどねぇ、失敗した焙煎ならばいざ知らずそれなりのレベルの焙煎をやられるコーヒー屋さんの コーヒーを一回の抽出で判断できると思いますか。
焙煎をみていればそれなりの意見もだせるんですが 実際にみていない状態であてずっぽうで意見をいって、もし違っていたら申し訳ないですからねぇ。
だから、絶対に自信あるときでなければ意見っていえないものなんです。
そんなことがわかった一日でした。

本はすごい ! (永六輔 職人を読んで)

職人というと大工さんや庭師さんなんかを想像します。
永六輔さんの職人という本でもやっぱり昔ながらの職人さんの言葉がかかれていたりします。
職人さんの言葉って、技術に裏打ちされているみたいて同じ言葉でも重いんです。
ひじょーーーーにおもいんです。(これにすごくあこがれる)
実は、NHKの番組で現代の職人さんを特集していました。
深しぼりの職人さんやいろいろな職人さんが紹介されていました。
それをみてて、昔ながらの技術をやっているから職人ではなくて 生き方が職人なんだなぁと思いました。
職人は、自分の仕事にプライドを持ち、新しいことに挑戦をし、新しい道具も 自分でつくっていたんです。
それをみて、ぼくは職人に対する漠然とした 劣等感がなくなりました。
これならば、ぼくも目指すことができると思いました。
どんな仕事であっても職人になれると思いました。
(永さんの失敗は、現代の中小企業でひたむきにがんばっている職人の声を聞いていないことだと 思いました)
ぼくはこれから、珈琲職人を目指します。 (ちょっとだけ、コーヒー商人にもなりますが・・・・・たぶん)

昔は時間があったんで本を読むことが多かったんです。
本は自分のペースで考えることができて好きでした。
今はどちらかというとすべてのことがスピードが速くて乗り遅れないようにしなければという感じて自分のペースで考えるなんてできていない気がします。
ちょっとゆっくりと自分ペースを思い出す必要がありそうです。

今から、もっともっと珈琲はうまくなる!

恥ずかしながら、珈琲屋をはじめて10年ぐらいになります。
たぶん、珈琲を知らずに 8年ぐらい過ごしたような気がします。
8年間は珈琲をなめていたような気がします。
焙煎機にコンピューターを取り付けて焙煎のデーターの収集や分析をやって珈琲を 理解した気になっていました。
ついでにいえば、焙煎機用に独自の制御盤なんかも使って いました。
(自分で開発しちゃいました)
そんなこんなで、珈琲のことは何でも判っていると 勘違いしていたんです。
特に、コンピューターで焙煎を管理すると珈琲の味は安定するんですけど 絶対にそれ以上にならないのです。
そのコンピューターがぶっ壊れてから始めて焙煎機自体の改造に 取り組む事ができるようになりました。

そして、わかったことは焙煎機は、完璧なものではないという 事実です。
つまり、焙煎機のメーカーは珈琲を知って焙煎機をつくっているわけではないという 事実です。
なのに、珈琲屋は焙煎機は絶対でその焙煎機でいかにおいしい珈琲を焙煎するかを一生懸命 考えてがんばっていたんです。
だから、がんばったわりに思うようにならなかったんです。
そのため、とりあえずいい生豆を使う事でおいしい珈琲をつくる他なかったような気がします。

そこに気が付いたので、ぼくは焙煎機を徹底的に改造する気になりました。
(現在では、珈琲の味が変わる事を恐れなくなりました。研究のためには多少の犠牲はつきものなのです。
てなわけで、うちのお客さんにはごめんなさいです。いつか、最高の珈琲をつくりまから・・・・)
ぼくが改造してうまくいかなかったり調子が良かったりをこのホームページでどんどん 紹介していこうと思います。
そうすれば、自家焙煎の珈琲屋のレベルはおのずとあがってくるような気がするのです。

フレーバコーヒー開業当時の焙煎データー・豆温と排気温と操作した時間などがプリントアウトされる。
このシステムによって焙煎の進歩が止まった。

この当時は、コンピューターで豆温と排気温でグラフを書いていました。そして、どの操作をいつやったかをすべて記録していました。上昇率も計算していたので今どきのコンピュータと大体同じ感じのことをやっていたと思います。では昔と今の違いは何かというとデーターの数の違いです。
この当時は30秒ごとに2つの温度を測り火力や排気がどのタイミングで操作されたかはぜはいつか・終了はいつかをプリントアウトするだけでした。

現在のデーターは、10チャンネルのデーターロガーを使っていて1秒ごとでコンピューターに送られてきます。センサーの取り付け位置も30年前と違って最適なところに持っていくこともできています。それと今はエクセルやエバーノートを使ってデーターを色々と調べる技術も発達してきています。
30年前は、データーに頼って焙煎を考えなくなってしまったのでコンピューターを否定しました。
今は、焙煎を考えるためのツールとしてコンピューターが存在する気がします。

現在の焙煎画面・過去のデーターやグラフを取り出すこともできる。

焙煎について-焙煎機の冷却器

冷却機のかくはんを動かすべきかについて
富士ローヤルの焙煎機には冷却機がついています。
そして、かくはん用の羽根がついています。
コーヒー豆の冷却というのは、できるだけ短時間に冷やさねばなりません。
ところが・・・少量の焙煎では豆が冷えないのです。
なぜか・・・それは、冷却機にある羽根が問題なのです。
冷却機にある羽根は、豆をかくはんするためともうひとつ豆を集める働きがあります。
大量の豆を冷却する場合は、冷却機の底にある空気の吸われる穴がコーヒー豆で見えない状態になっています。
その状態であれば、必ず空気は豆の隙間を通って冷やしながら抜けていきます。
ところが、豆が少量の場合は問題がおきます。
冷却機の底の穴が見えるようになってしまうのです。
その状態では、空気の流れの性質として「流れやすいところを空気はとおる」のです。
つまり、豆の隙間はまったく通らずに、直接底の穴から空気が抜けてしまいます。
だから、少量の豆を焙煎すると冷却に時間がかかってしまうのです。
それを防ぐ方法は、たったひとつしかありません。
冷却機のかくはん機を動かさずに手で豆を平らにならすのです。
そうすれば、冷却用の空気は必ず豆の隙間を通って効率よく冷やしてくれることになります。

もう一つの問題点

冷却器のそこはパンチングメタルでできており空気がスムーズに流れるようになっています。
基本空気がスムーズに流れないと冷却能力が落ちるのです。
パンチングメタルの穴が冷却の時に割れたコーヒー豆などでふさがれちゃうことが結構あるのです。
掃除していない焙煎機の冷却器をみるとけっこう詰まっています。
この冷却器の穴の掃除をすることにより冷却効率が上がるだけでなく火事の危険性も大幅に下げることができます

抽出について-河野とハリオのドリッパー

どうしても・・・わからない
ハリオのドリッパーと河野のドリッパーの味の違い・・
もっというと・・松屋の金枠との違い・・・
普通に考えて同じ形状のペーパーを使えばある程度味が似ると思う
特にお湯のさし方を同じにすれば似なければおかしいような気がする
しかし・・・どうみてもちがう・・
ハリオのドリッパーを使うと水っぽくなってしまう
粉を細かくとかお湯のさし方だとかいろいろとやっても・・・
どうしても水っぽくなってしまう
これをスパイラルリブの特長として片付けるのは簡単である・・
水が流れる抵抗が弱いと考えることもできそうである
しかし・・お湯のさし方でもっとコントロールできるはずである・・
しかし・・・それがどうしてもわからない
結局・・・まだ謎なんです

この文章を書いた当時は、ちょうどハリオのV60が新製品で発売された当時でした。
河野との違いがあることは実験してみてわかったんですがその理由がこの段階ではわからなかった・・・。現在の考え方はリブが紙と接触しているとこで起きる表面張力。
ここに原因があると考えています。濡れの状態のリブは水を引っ張る方向に力が働くのです。
松屋式のようにリブが全くないものは水の重さが絞り出す原動力となります。
だから、抽出は珈琲液の高さに依存します。ここは河野もハリオも同じなんですがリブに関してはドリッパーの上の方も下の方も同じ力が働いています。松屋式では上の方のフィルターは高低差がない分あまり漉すことができないのですが、ハリオのV60の場合は上の方のリブか水を引っ張るように働いで珈琲の成分が溶け出す前のお湯なんかも引っ張ってしまって珈琲が薄くなってくる特徴があるのです。
河野の場合は、半分しかリブがないので上の方は基本ろ過ができない分濃くなる傾向があります。
それと、ハリオの方がリブの本数や長さが長い分表面張力で引っ張る力が大きくなるような気がします。

同じ抽出法を使った場合薄くなる傾向があるV60

抽出について-雑味をとる方法

抽出したコーヒーの雑味をとる方法について
抽出したコーヒーがめちゃめちゃまずかった場合に味をかえる方法はいくつかあります
ただし・・・どの方法も美味しくたてたコーヒーには劣ります
つまり・・・まずいコーヒーをそこそこ美味しくすることはできますが
本当に美味しくすることはには無理があります

これは
珈琲の味=旨味+雑味-雑味というような式になるわけですが・・・
現実的に雑味だけをすべて取り除くという方法がないからです
そのため・・・抽出で旨味だけを抽出したものには絶対に劣る味になってしまうのです

・二度ごし
これは・・・雑味と旨味では雑味のほうが吸着されやすいと性質を利用します
珈琲をたてたあとのコーヒー粕にもう一度コーヒー液を通します
そうすると雑味がコーヒー粕に吸着されて飲みやすくなります
これはコーヒー粕を吸着材として使うわけですから
活性炭やゼオライトなどでも同じ効果が現れます
あと・・・竹炭などをマドラーとして使っても同様の効果が期待できます

・泡を使った方法
抽出したコーヒー液をテキトーな方法で泡立てます
(ミルクホイッパーでも泡だて器でも何でもOK!)
泡立ったコーヒーの泡をテキトーにスプーンですくってすてます
どれだけ泡を捨てるかは好みでOKです
これは、泡というのが雑味を吸着する性質を利用するものです
つまり・・泡によって旨味と雑味の分離を行うということなのです

珈琲というものは裏技がいっぱいあるんです。
多分・・・この辺は20年前のネタだと思うのですが結構簡単に追試できるので試してもらいたいと思います。大切なことは知ることではなく体験して納得することですから・・・


おうちゃくドリップで使った二度ごしという技術