直火式エスプレッソを科学する

(写真・エスプレッソを普通につかっている)

直火式エスプレッソはなぜ泡がでないか
エスプレッソ用のコーヒー豆(深いりの豆)は、 100gあたり250~500ccほどの炭酸ガスを持っています。 ドリップ式で最初にお湯をさしたときにコーヒーがふくらんでくるのは、 この焙煎時に吸着した炭酸ガスがはずれて泡としてででくるためです。
つまり、エスプレッソでも、ドリップでも同じコーヒーを使っているんだから 同じだけ泡がでなけれはおかしいということになります。 しかし、実際にコーヒーをだしてみるとあきらかに泡の量が少ないのです。 となると、泡がでたけれどすぐにきえたと考えるのが一番自然だと思います。 では、なぜ泡が、消えてしまったのでしょう。 それは、抽出液が高温すぎて泡が存在できないのではないでしょうか。
そこで、直火式のエスプレッソを改造して実験することにしました。

(写真・バルブから空気入れで空気を送っている)

エスプレッソのボイラー部分にバルブをつけてボイラー部分で蒸気ができるまでは、 バルブを開けておきます。 そして、蒸気が噴出すようになったら、バルブを閉めて抽出にはいるようにしました。 実際,蒸気が十分に噴出すようになってからバルブを閉めているのにもかかわらず。 すぐには、コーヒーがでできませんでした。 沸騰によって蒸気圧をあげるのには、思ったよりエネルギーが必要なようです。 そして、予想した通り泡の量は非常に少ないのです。 ただし、泡が高温のために消えているのではなくてすなおにででいないようなのです。 そこで、ボイラーにお湯を入れておいてバルブから、一気に空気を送り込んでみたのです。 そうしたら、きれいに泡がでました。 どうも温度よりもコーヒーの中を通過するスピードが問題のようです
となると、コーヒー豆の炭酸ガスが消滅することは当然ありませんので泡としてでなければコーヒーが でてくる前に気体の状態ででてくるんじゃあないかと考えました。 バルブを閉めてからコーヒーが出てくるまでけっこう時間がありました。 そのときに、コーヒーの香りだけが先に香ってきたのです。 つまり、バルブを閉めてコーヒーがでてくるまでの間に気体が出てくれば、 直火式のエスプレッソでは、泡が出ない理由になるんじゃあないかと考えました そこで今度は,直火式のエスプレッソの出口から、ホースをつないでどのぐらい気体がでてくるかを 実験してみました

(写真・実験装置)

(写真・エスプレッソからでる気体を集めている)

(写真・メスシリンダーのアップ、集めた気体の量)

結論

粉量ガス量ボイラー空気量粉からのガス量
50g220cc110cc110cc以上

*本来ボイラーの中の空気は、抽出前にバルブから蒸気といっとょに抜いてしまっているので粉から でた炭酸ガスは220ccと考えてもいいように思います。
表をみても判るように大量のガスが抽出前にでているのが判ります。 つまり、コーヒー豆の内部の炭酸ガス(焙煎で吸着されるのはコーヒー50gにつき125cc~250cc)は、 ゆっくりお湯が上昇するときに先に押し出されて コーヒーが抽出されるときには、泡となる炭酸ガスほとんど残っていないので、直火式の エスプレッソでは、泡が少なくなってしまうのです。 もし、高圧で一瞬に抽出ができれば(空気入れで空気をおくった時のように)泡の浮いた エスプレッソが直火式でも飲めるはずです。 そのように考えるとアルミ製のエスプレッソよりもステンレス製のエスプレッソの方が 沸騰から抽出までの時間が短くておいしいエスプレッソができるような気がします

最終更新日:2016年 9月 28日 (水)

エスプレッソ・寸切りの勘所

寸切りのタイミングを調べる一番いい方法は、ロングブラックを使うのがいいと思います。エスプレッソ単体では濃すぎて判定が難しいのに対してロングブラックならばカップにお湯を100cc入れておいてはかりを使って何グラムのエスプレッソを入れた時が一番おいしいか試していけばいいのです。何グラムで雑味が出るかがロングブラックではわかりやすいのでオススメです。

ちなみにぼく的には100g のお湯に対して30~35gのエスプレッソが雑味を感じなくでいいと思いました。ここに関しては人それぞれの好みと豆の違いはあると思いますが‥‥

エスプレッソの寸切りという技術

エスプレッソのげっぷがあまり知名度がなかったことと言葉のイメージが微妙であったので他の言葉探していました。そして考えた名前が・・・寸切り

エスプレッソの抽出が終了の手前でポンプの圧力が抜けたタイミングでカップをはずす・・・
それを今まではげっぷを入れないという表現をしてきたわけですがこれでは結構ネガティブな感じになってしまうのでちょっとポジティブな感じにするためにギリギリ雑味の成分が入りそうなタイミングになったら切ってしまう・・・
カップを外して切ってしまう・・・なんかちょっとポジティブでかっこいいかなぁと自画自賛

これからはポンプが止まって圧が下がった状態の雑味の成分をカットすることをエスプレッソの寸切りということにします。

とりあえずエスプレッソが薄くなってきたときに取り外すものも寸切りでいきます。
美味しいエスプレッソをつくるために旨味が溶けた時点でカップを外す・・・

これがエスプレッソの寸切りという技術です

カップの取っ手が手前にセットしてあることがポイント・・単に外しやすいだけ

エスプレッソのげっぷ

なんでも勉強になるもんです。
エスプレッソのげっぷなんて言葉があるなんで思いもしませんでした。
どんな現象かを説明しますと・・・・

エスプレッソのポンプが止まって圧が緩やかに下がりながらぽたぽたと珈琲が落ちてくるところ・・
これをエスプレッソのげっぷというらしいのです。

実際に実験してみるとこの部分の成分はエスプレッソが9気圧で動いている部分と明らかに味が違うのです。雑味というがだしがら感というかそんなネガティブな味が存在するのです。

抽出を早めに切り上げればげっぷの部分が入っても大丈夫かと実験してみると残念ながらダメなのです。本来ならば抽出オーバーにならないタイミングで止めてもげっぷ部分は同じ傾向の味がするのです。

げっぷを外す抽出法
一番簡単な方法は、ストップボタンを押したらすぐにカップを外す方法です。
もしくは・・・ストップボタンを押したらすぐに皿かなんかでげっぷの部分を受けるようにすれば大丈夫です。このやり方の良さはげっぷ部分の味を確かめることが出来ることにあります。これが結構勉強になると思います。

実際に早いタイミングで止めてげっぷ部分を皿にうけたものも遅いタイミングで止めて皿に受けたものもげっぷ部分の味に関しては同じ傾向になります。


エスプレッソを学ぼう

現在・・・家庭用のエスプレッソであるデロンギのマシンを色々試しています。
ぼくてきには松屋式の様にエスプレッソも旨味と雑味の分離が可能だと思っています。
そのタイミングをしっかりと把握すれは誰もが美味しいエスプレッソを楽しむことができるはずです。

コーヒーの性質上旨味の方が早く溶けるという大原則はエスプレッソで通じると思います。
そうなればどのタイミングまて旨味が抽出されているかをしっかりと試せばいいこととなります。
松屋式の様にビーカーで100ccづつ分けるなんて残念ながら出来ません。
なぜならば、2杯と言ってもせいぜい60ccぐらいにしかならずもっと細かく分けねば難しいのです。

そこで問題となるのがエスプレッソは2か所に分かれて抽出液が出て来るのです。
これを1か所しないと抽出液の分離は出来ないこととなります
(業務用では一杯用のものもある)

とりあえず・・・・1か所からエスプレッソが流れ出るようにじょうごの様なものを取り付けました。
あとは・・・絵を描く時のパレットを注文してあるのでそれが来れば一応実験は出来ると思います。

じょうごをエスプレッソの出口の所に取り付ける装置

取り付けた状態

後はこの状態でパレットに細かく珈琲を分けて味をみればどこまで旨味が溶け込んでいるのかがある程度判断が付くと思います。

アメリカ―ノとロングブラック

昨日・・・長野さんがエスプレッソを実演してくれまして・・・ぼくの中で一番興味を持ったのがアメリカーノとロングブラック・・・・
これは同量の珈琲をエスプレッソで作るのですが少しだけ違うのです。
濃厚なエスプレッソをお湯で薄めるのをアメリカ―ノ・・・・
お湯の入ったカップにエスプレッソを抽出するのがロングブラック・・・
このふたつは同じようなもののはずですが味は全く違うのです。

この味の違いはクレマを崩すかどうかの違いではないかと僕は考えています。

松屋式の濃厚な珈琲液をお湯の中に入れるか・・・
珈琲液の中にお湯を入れるか・・・

実はアメリカ―ノのお湯の注し方でけっこう違いが出るのです。
つまり、何も考えずお湯を注すとクレマが壊れて味が落ちるのに対して
壁に沿わせてお湯を注ぐとクレマの壊れるのを最小に抑えることが出来るのです。

松屋式でもお湯で薄める時に淵に沿わせてお湯をさすことにより香りを残す方法としてやるわけですがアメリカ―ノの方がこの薄め方の影響が大きい気がします。

アメリカ―ノのポイントはカップにエスプレッソを抽出して薄めるお湯は淵に沿わせてクレマをできるだけ崩さずに薄めること・・・
あとはかき混ぜずに飲むこと
これはエスプレッソの味を楽しむためです。
やはりエスプレッソはクレマが命ですから・・・

ロングブラックに関してはお湯の入ったカップエスプレッソを抽出するわけですが止めるタイミングがアメリカ―ノと比べると分かりにくくなります。そこでタイミングを見るコツはカップをみずに抽出されている珈琲の状態だけを見るようにすると結構分かりやすくなります。